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『猫と陽だまり』

詩を書くとき

わたしはいつもドキドキする

とんでもないことを書いてしまわないかと


本当のことを

書いてしまわないかと


わたしの裏側が捲れて

見えてしまわないかと


心の内側に隠し持っているナイフが

いつか飛び出して

相手の心を串刺しにしてしまわないかと


好い人面すんなよ

おまえ

ほんとうはそんなヤツじゃないじゃん

知ってんだぞ

って


吐き棄てながら

ズタズタにしてしまわないかと


猫が嫌いだったのは

おんなじ眼を持っていたから


好い人面すんなよ

おまえ

ほんとはそんなヤツじゃないじゃん

知ってんだぞ

って


本当は

庭の陽だまりの中に

あの子は何を見ていたのだろう


わたしは

わたしの裏側の暗がりが怖かったんだ

と解ったのは

皆の中にも暗がりがあるのだと

やっと心で知ったから


陽射しの中に立つと

影が出来るのは仕方のないことだと

やっと理解出来たから


暗がりはね

闇はね

逃げれば逃げるほど追いかけてくる


立ち止まって

振り返って

ちゃんと見ればいい


それもわたし

わたしの一部

そう

全てではない

一部なんだよ


そして

猫の目も

怖くなくなった


自分勝手で気まぐれで

どんな自分とも上手に一緒にいる猫の目も


本当は

庭の陽だまりの中に

美味しそうな魚が泳いでいるのを

みていただけなんだよ



そしてわたしは今

陽だまりの海で

自由に泳いでいる


良い奴だったり

嫌な奴だったりしながら


本当のことや

夢物語を

書いたり書かなかったりしながら


ね。



2019年 1月 創作。


🦄こちらは、YouTubeのユーカラの朗読チャンネルの方にもアップしております。よろしければ合わせてご覧ください。💐


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