UnityでMVをつくるノウハウまとめ
MVや映像作品をつくっているビデオディレクターのレーズンです。
ここ数年、映像を作るときにUnityを使いまくっています。
そんなUnityで、映像やMVをつくるには?
それと、おもしろい部分、有用な部分を紹介するのがこの記事です。
「おもしろい部分」は下の方に書いてあるので、そっちが気になる方はスクロールしてください。
自己紹介がてら、レーズンが今までに携わった、Unityを使った映像プロジェクトの最近のものの一部を紹介します。
実写合成をしたり ( CG監督 )
もちろんフルCGも。( 監督)
他には、TBS「お笑いの日」のオープニング映像、
七人のカリスマ「めちゃめちゃカリスマ」の3DCGパート、
バーチャルユーチューバーの配信のお手伝いや、バーチャル小道具をつくったりいろいろしています。
すこし踏み込んで、Unityで映像用の仕組みをつくったりもします。
下の動画は、現実の光がリアルタイムでCGに反映される仕組みのテスト映像です。
こんな感じで
試行錯誤しながら、色々な映像をUnityで作ってきました。やっと最近になって制作手順というか流れみたいなものが固まってきたので、UnityでMVを作りたい人、Unityを使った映像を発注したい人に向けて紹介しようというのがこの記事です。
3年前に自分が読みたかった記事を未来の誰かに向けて書く。
今のUnityには
MVをつくるのに基本的な機能が最初から用意されています。
ほとんどの場合は、このあたりの機能で作れるでしょう。
・動きをコントロールする「Timeline」
・カメラワーク「cinemachine」
・画のクオリティを作りこむ「HDRP」
・映像を書き出す「UnityRender」
順にざっくり紹介していきましょう。
動きをコントロールする「Timeline」
楽譜みたいなものです。
元々はゲームのデモシーンを作る用の機能ですが、映像でつかうのもイメージしているのかな。
音楽の波形と音に合わせて、動きやエフェクト発生のタイミングなどを設定します。一般的なCGツールでいうところの ノンリニアアニメーション の機能。例えば、歩く映像を作るなら、先に歩く動きのアニメデータを作っておいてTimelineに並べます。
カメラワーク「cinemachine」
便利なカメラアプリみたいなものです。
普通のカメラよりこっちでやったほうが色々できて便利…というか映像をつくるならこっちが標準です。
被写体を自動で追ってくれたり、自動で手振れをつける機能なんかもあり、いろいろ便利です。
もともとゲーム用なので「複数のキャラクターがカメラに収まるようにする」「カメラがすこし遅れてキャラクターを追う」など、CGツールでやると意外とめんどくさいようなことも、サクッとできます。
先ほどのTimelineに並べて、複数のカメラを切り替えたりもできます。
グラフィックのクオリティをコントロールする「HDRP」
従来のRPが部屋で撮った写真だったら、HDRPはスタジオで撮った写真です。
写真のクオリティにライティングは超重要。CGは現実のシミュレーターという面をもっているため、同じくライティングが画のクオリティを大きく左右します。
HDRPは、Unityの光の計算をより高機能にする仕組みです。同じモデルを使ってもHDRPを利用するだけでクオリティが上がるくらい。
ただ、まだかなりクセの強い機能ですので、本番前に検証してクセに慣れるのがオススメです。
アニメっぽい表現や、少し昔のゲームのようなグラフィックを目指すなら無理してHDRPを使う必要はありません。ボクは映像が目指す方向によって選んでいます。
従来のRP(ビルトインレンダーパイプラインと呼ぶ)の歴史は長く、こちらをきれいに見せるノウハウもたくさんあります。そちらを学ぶのもあり。軽いし。
最初は従来のRPを使って、機能が足りなくなると途中からHDRPに切り替えたりもできます。
映像を書き出す「UnityRecorder」
Unityから映像を書き出すときに使う機能。アルファ付きの映像も出せます。
なんとProResも書き出せます。シンプルに書き出すのは簡単ですが、凝った出力をしたいときには少し向き合う必要があります。
まとめると・・・
①. シーン内に用意したステージのモデル、キャラクターをセッティング
②. HDRPの設定 ( volume ) 、ライト、カメラを置いて画作りする。
③. Timelineで動きをつける。
④. Unity Recorder で書き出す。
⑤. 映像編集ソフトで編集する。
だいたいどんなプロジェクトでも、こんな感じです。
さらに、必要に応じて機能を開発したり、研究したりします。
モーショングラフィックやCGで映像をつくるよりも、実写の映像を撮る意識に近いかな。キーフレームでアニメーションを作っている感覚は薄く、実写映像で作品を作ってきた経験がめちゃめちゃ活きてます。
くわしく書く
と...記事の長さが10倍になってしまうので、今回はざっくり知れるという事を目指して書きました。細かいノウハウは、要望が多かったり気分が向いたらポイントを絞って書くでしょう~。
各機能をすぐに知りたい人は、この本を買って各機能の部分を読むのがおすすめです。ちょっといい値段ですが、ネットでいろいろ調べるよりまとまっていて、質も高い。自分も早く買えばよかったなと思っています。
Unityの一番おもしろいところ~その他のツールとの連携~
いろいろなツールと連携したり、ツールをどんどん作っていけるところが、Unityの一番おもしろいところです。
モーションキャプチャーのお手伝いをした tofubeatsさんの「陰謀論」MVでは、tofubeatsさんのアイデアでunityのデータを配布しました。
配布したUnityデータを利用して、バーチャルのtofubeatsさんに触ったり、他のプラットフォームであそんでもらったりしました。
Unityを利用することで、
MVで作った世界にVRで入れるように公開するとか、
iPhoneの顔検知の情報を流用するとか、
めちゃめちゃザツな顔のモーションキャプチャーをするとかできます。
また、最初に書いたような現実の光を反映する機能をつくる
などなど・・・実験的な映像用の道具を、作って試して遊ぶ環境があるというのが、なによりおもしろい。
敷居は高いですが、映像表現で遊びたい人、変わった映像をやりたい人は、触れてみると楽しいです。
有用ぽい部分
イメージしやすい有用な部分として
Vtuberの3DはUnityで動いている事がおおいので、UnityでMVを作れる人に頼むと「MVだとなんかキャラ質感がちがうなあ・・・?」みたいなことがないです。(たまーに見かける)
という感じで
ざっくりUnityでMVを作るということについて書いてみました。
読んだ人にとって有用な記事になっているとうれしいです。
3年前の自分が読んだらどう思うかな。
レーズンにMVや、Unityを使った映像の相談や依頼がある時は
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関連:昔インタビューしていただいた記事です
アイドルのMVをゲームエンジンUnityで制作!? Devil ANTHEM.のMV『UP』制作の裏側。 | アンドエンジニア
https://and-engineer.com/articles/X9HQcxYAAC0A31pJ
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