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英語コミュニケーション術の背景(学校における英語教育改革についての考察1)

これは学校における英語教育改革について、英会話講師のとしての観点から主観的な意見を中心に考察をしたものです。

まずはじめに、私の英会話の講師という立場から、英語言語学としての歴史的な背景については割愛し、あくまでのコミュニケーションツールとしての英語の背景と側面から考察をさせていただきます。

英語を使ったコミュニケーションの特徴

英語を使ったコミュニケーションの文化には、日本語のそれとは違った要素がたくさんあります。その中でまず、基本となる点の一つがShowing interest (相手の発言に対して興味を示す)です。英語教授学の中ではSpeaking Strategy(会話戦略;話術)**の中のInteraction strategiesに位置付けられており、英語コミュニケーションをとるために最低限の要素とされています。

Showing interestとは

Showing interest (相手の発言に対して興味を示す)にはいくつかのタスクがあります。相手の話を聞き、内容を理解し、「私はあなたの話に興味を持っていますよ」と示すことが必要となります。

それはどのように示すことができるのでしょうか。

レベルが上がるにつれてタスクは増えますが、現在世界中で採用されている英語力評価基準 CEFR(*1)のA2レベル(英検準2級程度)で教える内容は以下のとおりです。(*2)
1. take response(応答)
2. asking follow up questions(フォローアップ質問をする)
3. giving your opinion(自分の意見を伝える)

A: Hey! How was your weekend?
B: It was very good! I had lunch with my old friend from London.
A: Wow! sounds nice. (1)
A: Where did you go for lunch? (2)
B: I went one in Chiba.
A: Great! I've heard that restaurant has nice view! I should try once too. (3)

会話を続けるための要素の一つが「意見」

とくに3番目の要素であるgiving your opinion(自分の意見を伝える)は日本語文化にはあまりない要素のため、実際にレッスンを行っている中で難しいと感じることが多くあります。

意見は同意でも異論でも構いません。ここで注意しておきたいのは、あくまでもコミュニケーションを目的とする会話であり、ディベートやディスカッションではないので、異論だとしても深い意味はありません。

ただ、「私はあなたの話を聞いていますよ」というアピールをするためのタスクの一つなのです。

主体的意見が必要とされる「英会話コミュニケーション」

当たり前のように思えますが、コミュニケーションのための会話に必要なのは、語彙力や文法力はもちろんですが、構文力や会話戦略が必要なのです。ましてや日本語とは言語の文化的背景が全く違います。

文部科学省では「今後の英語教育の改善・充実方策について 報告~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」の「英語教育改革の背景」のなかで”主体的に課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成”と記載をしており、結果記述式などのより主体的な表現を行うことを今後重視しようと提言をしています。

それは、まず基本的な要素として英語を使ったコミュニケーションは主体的意見を必要としている言語だから、という前提を知っていただければと思います。

これを踏まえて、学校における英語教育改革についての考察を続けていきたいと思います。


参考URL
(**) Being Strategic: Adult Learners and Speaking (Cambridge University Press / Cambridge English Language Assessment)
https://www.cambridge.org/elt/blog/wp-content/uploads/2017/02/Being-Strategic-Adult-Learners-and-Speaking.pdf
(*1) CEFR 外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment)
英語4技能試験情報サイト http://4skills.jp/qualification/cefr.html
(*2) face2face Elementary (Cambridge University Press)
(*3) 文部科学省「今後の英語教育の改善・充実方策について ~グローバル化に対応した英語教育改革の五つの提言~」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/houkoku/1352460.htm