ニュースを見て嫌な思い出が蘇ったり
という一文を読んで、嫌な記憶を思い出してしまった。
その一文は、今話題の女性騎手のニュースで読んだ。
彼女は、禁止されているにも関わらず複数回にわたり調整ルーム内にスマホを持ち込んでいたという。
私は競馬に明るくないので彼女のことはよく知らないのだけれど、女性で活躍できる騎手は珍しいということは想像に難くない。今回の騒動があったとしても彼女の残した功績は大きいだろう。
しかし「泣きながら引退届を書いた」って、どういうことなんだろう。
だって、違反をしたのは自分じゃないか。それに、JRAから受けたのは一時騎乗停止処分だったのに、自ら引退を選択。それで泣くとは、これいかに。
中学時代にもこういうモヤモヤ、あった。
修学旅行の夜、同室のメンバーのうち班長を含む数名が別室へ移動し、就寝時間を過ぎても戻ってこなかった。
残されたメンバーは「どうしようもないな」という空気の中で寝支度をして。ある者は協調性のないメンバーへの憤りを隠さず愚痴り、ある者は数名の不在をカモフラージュするためかけ布団の下に畳んだ座布団を仕込んでみたり。
結局、別室に行ってしまった子たちは夜中に引率の女性教諭に連れられて戻ってきて、翌朝改めて説教を受けていた。
とくに班長だった子への叱責がすごくて「あなたは班長なんだから、むしろ止める立場でしょ」という甲高い声が聞こえてきた。
先生は今日もヒステリックだなぁと目を伏せながら、言っていることはごもっともだなぁ、と冷えた心で思った。
今思えば、当時学級委員だった私も彼女たちの行動を止められなかったので同罪だ。
何故止めなかったのか、止められなかったのか。今となっては思い出せないけれど、たぶんその子がクラスの人気者だったから言えなかったんだと思う。中学時代、スクールカーストというのは絶対的な指標だったのだ。
部屋に戻ってきた子たちは泣いていた。
泣きながら「迷惑かけてごめん」って言われたんだけど、正直私はその時何の感情も湧かなくて。
だって、バレたら怒られることくらい分かってただろうし、それを覚悟で行ったのではなかったのか。
だからつい、
「もういいよ。終わったことだし」
という言葉が口をついて出た。
たぶん、文字よりも無機質で、冷たい感じで。
とは言っても、その時は無意識だったので、相手がどう思うとか全然考えていなかった。
彼女たちへの苛立ちが、隠せなかった。
自分の過ちに気がついたのは、その後の学校生活。
私は女子グループ一帯からハブられるようになった。
それ以外にも、日頃の蓄積とか色々あったのかもしれないけど、修学旅行の一件が引き金となったのは間違いないだろう。
今でこそ、あの時もう少し言い方あっただろって思うけど、当時は私もなんだかイキってて、私別に悪いこと言ってないし、なんで私が悪いみたいになってんの?って思ってたから、ハブられても何とも思わなかった。
(きっと私のこういう態度も面白くなかったのだろう。)
私は何とも思ってなかったけど、担任は気にしていたようで、放課後呼び出された時はドキッとした。
そんな生徒同士のいざこざに口を出すタイプじゃないと思っていたから意外だなぁと思ったのと、もしかしてそんな先生から見てもヤバいほど私っていじめられてるように見えてるのかな?と不安になった。
まぁ、私がおそらく担任の想像よりもケロッとしていたから拍子抜けしてたけど。
部活の子たちとは仲良いから大丈夫って言ったら、じゃあ部活行っといでって。それで話は終わり。
ものを隠されるとか、落書きされるとか、ましてや直接の暴力や悪口を言われたわけでもなく、ただただふんわりとした敵意だけを感じながら、卒業を待つ日々。
部活を引退してからの数ヶ月は、消化試合だった。
自分の中学時代を知る人がいない高校に行きたいと思って、進学先は家から少し遠いところにした。
中学時代のクラスメイトとは、卒業以来会っていない。
二十歳になるタイミングで同窓会の話も出て、学級委員で幹事をやることになって招集されたから、そのメンバーには会った。
でも「準備は手伝うけど当日は行かない」と言ったら、途中からは幹事も外された。だから同窓会がどんな風だったのか全然知らない。
行って、当時の子たちが私を見てどういう反応をするのか見てみたかった気もするけど、やっぱり少し怖い。
それに、そもそもクラスメイトが私のことをちゃんと覚えているかも怪しい。
それはそれでなんだか悔しい。
私の感情をぐちゃぐちゃにしておいて、スレた中学時代を過ごさせておいて、何とも思ってないのかよって思ってしまうと思う。
嫌な気持ちになるだけなら、やっぱり行かなくて正解だったかな。
大人になってから思い返すと些細なことだけど、でもことあるごとにこうして思い出してしまうということは、やっぱり私にかなり影響を与えた出来事なだったんだろうな。
と、他人事のように考える。
そんな私が人並みに上手に人付き合いが出来るようになったのは大学に進学してからだ。
まぁ、その話はそのうち、気が向いたらしよう。