見出し画像

カワイイ先輩はサイゼの注文の仕方から違う


中学時代にあまり良い思い出はないけれど、ある先輩との出会いは私にとってかけがえのないものである。

その先輩とは吹奏楽部で出会った。
パートリーダーをしていたのだが、皆まとめてついてこい!というタイプではなく、仲良く楽しくを念頭に置く人だった。


先輩はいつもカワイイものを持っていた。

出来合いのグッズだけでなく、みんなが持っている無地のノートも、先輩はデコレーションして可愛くアレンジしていた。それも、当時のギャルがこぞってやっていた派手なものじゃなくて、淡いピンクを基調としたふんわりとした雰囲気の。

中学時代の私は、自分とカワイイを結び付けることを「キャラじゃないから」と突っぱねていたところがあったので、「そういうキャラ」の先輩が心底うらやましかったし、どうしようもなく憧れた。「カワイイ」だけじゃなく、好きなことを追求できるその姿に。


先輩が卒業するタイミングで「最後にパートのみんなで遊ぼう」という話になり、中学校から少し離れた場所にあるサイゼリヤに集合した。
サイゼリヤは中学生のお財布にも優しい。

サイゼリヤというと、私はまずパスタかドリアの二択で悩み、その後、その日の気分によってどのパスタもしくはドリアにするかを選ぶ。
一皿食べれば満足できる。私は今も昔もワンプレートの料理が大好きなのだ。

さっさと注文を決めて、皆は何にするのかなぁと周りを見回すと、先輩が「私はフォカッチャと、辛味チキンと、カプレーゼと…スープはどうしようかなぁ…」と悩んでいた。

サ、サイドメニューで定食を構成しようとしている…?

流石に注文を全部覚えているわけじゃないので、内容は雰囲気と受け取ってほしいのだけれど、私は先輩のこの注文の仕方に衝撃を受けた。

なんとなく、メインとなる料理を選び、足りないようならサイドメニューも注文するというイメージだったので、サイドメニューのみを注文する先輩に「その発想は無かった……」以外の感情が見つからない。


「いつもそんな注文してるの?」と、当然のように先輩の同期が尋ねる。

「この方が色々食べれて楽しいじゃん」

先輩もまた、当然のように答えた。
先輩は、サイゼリヤでも自分の「好き」を追求していた。


やがて注文した料理がテーブルにやってきた。
多くの皆の前には大きめのお皿が一つ。ところどころに小さなお皿が一つ。

そして先輩の前には小皿がいっぱい。
色んな料理が並ぶ様は、誰よりもワクワクするテーブルだった。





こちらの企画に参加しています。

周りの方が書いているのをお見かけして面白そうだったので…!福島太郎さん、はじめましてで恐縮ですが、ご査収ください。



いいなと思ったら応援しよう!

こじらせアラサーOLリィ
最後までお読みいただきありがとうございました!「面白ぇ女」と思っていただけたらスキ❤️やコメント、シェアのほど、よろしくお願いします。チップは私の執筆のおとも・マウントレーニア カフェラッテにさせていただきます!🙇‍♀️