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それぞれの4分間|M-1グランプリ2024感想


毎年楽しみにしているM-1グランプリ。今年の大会が終わってしまった。

年々出場者数も増え、今年はついに10,000組を超えた。第1回の時なんて1,600組くらいだったのに。これはえらいことである。

昨年の優勝は令和ロマン。第1回で中川家がやってのけた、トップバッターで優勝という快挙を成し遂げた。
一般的に、トップバッターは基準とされてしまうので優勝しにくいと言われるが、面白ければ順番なんて関係ねぇということを証明してしまった。あまりにもカッコよすぎる。

その令和ロマン、昨年優勝した瞬間にボケの高比良くるま*さんが「来年も出ます!!」と宣言した通り、今年も順調に決勝へとコマを進めていた。
史上初の連覇なるか?と、かなり注目度の高い大会だったように思う。

*高比良くるまさんの高は、正しくははしごだか

と、まるでお笑いに詳しい人のように語っているが、ただただ、お笑いが好きなだけの1ファンである。なので、ここから書くのは、今大会の感想であり、解説ではない。解説ではないけど、素人なりの全力感想である。
そこのところをご理解いただいた上で読み進めていただけるとありがたい。


まだ見てない。結果を知りたくないという方はここらでブラウザバック願います。





FIRST ROUND

1組目:令和ロマン

阿部一二三選手(が引いた笑神籤えみくじ)によってまたしてもトップバッターになってしまった令和ロマン。会場中がまさか、といった雰囲気だったのも束の間。
「終わらせましょう」
その一言だけでグッと自分たちの世界に引き込んでしまう。さすが前回王者と言わざるをえない。
子どものキラキラネームの話かと思いきや、苗字まで考えてるの笑うしかないし、教室の角をとるために「ワタナベ」が良いっていうの、全然考えたことなかったけど、確かにって思った。たぶんみんなが確かに…!ってなっちゃったからあれだけの笑いが起きたのだろう。
あと、「渡邊/渡邉」さんは「渡辺」で良いよって言ってくれるけど、「齋藤」さんは「刀Yの方」って言ってくるの、私も経験ある。
文句の付けようのない、素晴らしいトップバッターだった。今年も。


2組目:ヤーレンズ

自分の推しコンビ。やっぱり面白かったな~。
ヤーレンズは、楢原さんの意味わからんボケに対する、出井さんのスン…としたツッコミの何とも言えない空気感が好き。
おにぎり屋の店名「一握の飯」に対して、「石川啄木の『一握の砂』から引用してますか?」って、なかなか出てこんな…ちょっと高尚なネタ?って思ったけど、その後の石川さゆりの引用が出てきて、こっちのが断然分かりやすいやんけ!っていう流れだったのか~と。「握り海峡飯景色」ってゴロ良すぎて声に出したくなる。
その分、やっぱり石川啄木の時間がちょっともったいなかったかもなぁ~と思ったり。審査員の皆さんが言っていた「中盤以降の爆発力」ってその辺も関係してるんだろうか。乗り切れなかったというか。
細かい積み重ねで点が伸び悩んだかもだけど、それでも十分高得点と言える点数だったし、私の好きなヤーレンズだった。


3組目:真空ジェシカ

4年連続決勝進出!レベルが上がり続ける中で連続出場は本当にスゴい。

川北「今一番求められてるのって、商店街のロケだなって思って」
ガク「確かにね。今一番求められてるのは、商店街のロケだね」
川北「いや今一番求められてるの子育て支援だよ。お前がちゃんと否定しろ

漫才冒頭

この掴みだけで笑ってしまった。ガクさんが突っ込まないパターンあるんだ。
結局商店街ロケのネタに入っていくのだけど、商店街を進んでいくに連れておかしな雰囲気になってきて「今年の都知事選みたいだ…」って時事ネタ混ぜ込んでくるのもよかったし、最後のオチ「仮想中華」ってワードの響きが強くてめちゃ笑った。
上戸彩さんが素で「好きだわ~」って言っちゃう気持ちわかる。好きだわ~。


4組目:マユリカ

敗者復活枠のマユリカ。
登場時、阪本さんが全然興味なさそうにちょっとうつむきがちなのに、中谷さんが「高校の同窓会に行ってな」って話し始めた瞬間に「えっ」って顔を上げる瞬間、目がキランってなる感じだけで面白い。
私やっぱり強烈なワードに弱いみたいで「うんこサンドイッチ」とか「キモいモーニングセット」とかゲラゲラ笑っちゃった。初見の漫才なのに、チューリップでサラダ作った田所とコーヒー飲みすぎで10分しか寝れない湯船のこと覚えちゃったもん。
点が届かず敗退が決まった瞬間の「大急ぎで負けに来たんですか?」ってコメントにもめちゃくちゃ笑ってしまった。ごめんなさい。でも、本当に面白かった。


5組目:ダイタク

初の決勝でラストイヤー。さすがの面白さだったなぁ。
ヒーローインタビューのコント漫才は、双子じゃないとできないネタのオンパレード。不倫がバレないように相手の妻に「君が見たのは俺だよ」と言って回避させてあげるとか、姿見に寄りかかって2人でネタ合わせしているように見せかけるとか、いやいや無理だろっていうところとギリできるかもしれん…っていうラインが絶妙だったな。
そのままエピソードのしゃべくりじゃなくて、ヒーローインタビュー風だったのが私は好きだった。いやそこを誇るな!ってツッコミたくなる感じが。
テンポもよかったと思うんだけど、思ったより点が伸びなかったな~。残念。


6組目:ジョックロック

私は初めてみるコンビだった。結成2年で決勝ってスゴいな。ヨネダ2000も決勝出た時って結成2年だったっけか。
導入のところのテンポがゆったりで、ちょっと大丈夫かな?って思ったけど、コントに入ったところでめちゃくちゃ流暢に喋ってて「あ、こういうスタイルなんだ」って分かった。
その後はもうどんどん引き込まれて。

ゆうじろー「…という情報がマイナンバーカードから読み取れました!!」
福本「やっぱりカード作るのちょっと怖いなーーーーー!!!」

この最初のくだりでもうダメだった。笑いが止まらなくなった。初めてオズワルドの漫才見た時と同じ感動を味わった気がする。
何より2人がめっちゃ楽しそうなのが良かった。漫才は楽しくてなんぼだよな。


7組目:バッテリィズ

こちらも私は初見のコンビ。
これはもう…最初から最後までエースさんのアホさに笑ってしまった。一瞬映った審査員のアンタッチャブル・柴田さんものけぞっちゃってたもんね。

寺家「哲学者のソクラテスって人が…」
エース「哲学者って何?」
寺家「……」

寺家さんが「こいつアホなんやった……」って言葉を飲み込んで頭抱えてる感じがもうそれだけで面白かった。
寺家さんがめちゃくちゃ説明したのをエースさんが「全部聞き取れたのに!」って叫ぶところとか抱腹絶倒。「わからなかった」まで言わないところが芸術点高い。
審査員のオードリー・若林さんの「ワクワクするバカが現れた」っていう言葉がすべてを表しているような気がする。緻密な漫才もいいけど、こういう底抜けに明るい漫才ってやっぱりいいなぁ。元気出る漫才だった。


8組目:ママタルト

せり上がりの時の2人の必死さが伝わる動きが何とも言えないかわいさがあって笑ってしまった。
ママタルトに関しては、まず肥満さんのビジュアルがズルいと思う。あんなん出てきたら笑うしかないもの。あの大きな身体でめちゃくちゃに動き回られたらそりゃみんな笑う。
檜原さんも、ずっとあのハイなテンションでツッコミし続ける体力すごいと思う。全然息切れてる感じしなかった。
ただ、スピード感のある漫才が好きな自分としては、間がちょっと気になったかなぁ……。4分という限られた時間の中にツッコミ待ちの時間があるのもったいない。もっと色んなボケを見たかった。だから、惜しいな…!っていう気持ち。次に期待!


9組目:エバース

初見の方、三度みたび。これはかなり好きなネタだった。
うるう年に約束した15年後の2月29日は、2月28日か3月1日かという問いに対して、「さすがに末締めだろ」って町田さんがボソッとツッコむところでがっちりつかまれてしまった。会場の笑い声からもそんな感じした。
説明が多いネタだったけど、ちゃんと全部情景を思い描けた。皆が皆、桜の木があった場所に建ってしまったショッピングモールを頭に浮かべた上で、佐々木さんのボケに対してそれはないだろ!それはあるかも…!と笑っていたと思う。文字で書かれてるならともかく、漫才のスピード感でそれが出来るって実は結構すごいんじゃなかろうか。
あと「好きな男を待ってる時の女くらい顔見たらわかるわ!」っていうツッコミ、めちゃくちゃカッコいいセリフのはずなのになんでこんなに面白いの。漫才ってすごいなぁ。


10組目:トム・ブラウン

実に6年ぶり2回目の決勝進出でラストイヤー。6年前の大会というと、霜降り明星が優勝した年だ。
何年経ってもトム・ブラウンはトム・ブラウンでしかなくて、それが嬉しい。今回も最初から最後まで全部意味わからんかった。最高。
ホスト通いの女の子の肝臓を守りたいって話から何でこの漫才が出来上がるのか全然わからない。トム・ブラウンの頭の中、どうなってるの?気になるけど、覗いたところでやっぱり意味不明だと思うし、考えちゃいけない気がする。
本人たちも観客も、一番体力のいる4分間だったんじゃないだろうか。
このネタ見てからNIGHT OF FIREが頭から離れない。どうしてくれるんだ。


最終決戦

1組目:真空ジェシカ

ピアノがデカすぎるアンジェラ・アキのコンサートって何?どこからその発想出てくるの?
そしてガクさんが「ピアノデカすぎ!」とツッコんだ後の川北さんの動き怖すぎてずっとニヤニヤしてしまってた。ガクさんがいつどうやってツッコむんだろうって。そしたら「静かすぎて隣の長渕がうっすら聞こえる」っていう想像の斜め上すぎた。他の人がやったらこのボケ弱くない?ってなりそうなのが、真空ジェシカの持つ空気感で爆笑しちゃうんだよな。2人の世界観に飲み込まれてしまった。


2組目:令和ロマン

2本目も1本目と甲乙つけがたいネタを持ってくる。やっぱり強い、令和ロマン。
今度は戦国時代にタイムスリップ。おしゃべりだけでも十分面白いのに、今度は動きも加わって笑いに拍車がかかっているように思った。
「2.5次元みたいになってるぅ」っていうけむりさんのツッコミからの、一呼吸おいてからミュージカル始まってマジで2.5次元じゃん!ってなる流れは最高だった。
余談だけど「やらない後悔より、やって大成功」っていうくるまさんのボケ、ボケだけど、なんかいいなって思っちゃった。座右の銘にしたい。


3組目:バッテリィズ

1本目の勢いそのままに、って感じだった。
おじいちゃんのお墓参りも行けてないのになんで知らん奴のお墓見に行かないといけないんだって、その通りすぎてめちゃくちゃ笑ってしまった。ボケなんだけどごもっともで、ごもっともなんだけどアホっていう。
「俺のおじいちゃんもおもちゃいっぱい買ってくれたから!!!」って、かわいすぎかよ。無邪気で優しいボケはノンストレスで見れる。
ボケ・エースさんがめちゃくちゃ激しいけど、寺家さんがツッコミを挟むタイミングが絶妙で、全部聞き取れるのかなりスゴいと思った。




すべてのネタが終わり、優勝は令和ロマン。M-1史上初の2連覇、本当におめでとうございます。
結果は結果だけれども、全組全ネタ面白かった。ずっと笑いっぱなしだった。こんなに面白くても優勝できないなんて……って思うコンビばかりで、本当にハイレベルな大会だなとあらためて。

マイクと己の身のみで戦う漫才って、やっぱりカッコいいな。
今年のM-1も最高に熱かった!楽しかった!ありがとう!!




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こじらせアラサーOLリィ
最後までお読みいただきありがとうございました!「面白ぇ女」と思っていただけたらスキ❤️やコメント、シェアのほど、よろしくお願いします。チップは私の執筆のおとも・マウントレーニア カフェラッテにさせていただきます!🙇‍♀️