【悲報】我が家、警察の突入を受ける
2月9日(金)の早朝6時、我が家に警察が突入しました。
以前の記事で、私はイギリスのチェスターでハウスシェアをしているという話を書きましたが、まさにまったく同じ家です。
以前の記事のタイミングから、ハウスメイトが一人入れ替わり、あの悪名高いシェフのBが家を去り、新たにAという仲間が加わっていました。
AはBとは打って変わってフレンドリーなナイスガイで、家の使い方も食べた後の食器を片付けないのと、きつい香水のにおいをプンプンさせる以外は、だいぶまともな入居者です。
彼が家に加わって、2週間くらいしたとき、キッチンで顔を合わせたので、簡単に雑談をしました。
その際に、「仕事は何をしているの?」と訊ねたら、「アマゾンのドライバーをやってるんだ」と言っていたので、私はその時は「ふーん、そうなんだー」くらいに思っていました。
しかし、それから数週間経っても、彼は一日の大半を家で過ごしたままです。
「仕事に行く」と言って、朝8時頃家を出ては、朝9時過ぎには帰ってくるという生活リズムで、それ以外の時間はだいたい家にいて、たまに夜友達と飲みに行っていました。
そして、いつもお昼には彼のガールフレンドが彼のお昼ご飯の面倒を見に来ます。
ガールフレンドは、キッチンを使った後、とってもきれいに掃除をしていってくれるので、個人的には少し助かっていました。
ただ、そんな彼のライフスタイルから、私は心の中で彼のことを「ひも男」と名付けていたのです。笑
そんな生活が数週間ほど続いた、2月9日の朝、事件は起きます。
6時30分にホテルの夜勤のシフトを終え、のんびり歩いて家へ帰ると、いつもの家の場所に、いつもの白いドアがありません。
同じような建物がずっと続いている通りなので、
「1ブロック間違えたのかな?」
と思って、隣の家の、ドア番号(住所)を確認すると、ちゃんと我が家の隣の番号です。
中に入ってみると、廊下に破壊されたドアの破片が転がっており、カジュアルな服装の男女が物々しく動き回っています。
あいさつをするのも忘れて私の第一声は、
「What's going on!?(何が起きているの!?)」
すると私の一番近くにいた、グレーのパーカーにジーンズという格好をした男性がポケットからもぞもぞ身分証を取り出しては、
「我々は警察だよ。」
と言われた瞬間、直感で「Aがなんかやらかしたんだな…」と感じました。
まさに私の直感は間違っておらず、奥から出てきたこれまたカジュアルな格好の女性が、
「私たちは、Aを違法薬物の取引の罪状で逮捕しました。この家の倉庫から大量の薬物が見つかったので、あなたも少し奥で話を聞かせてくれる?」
と、言われるがまま、リビングで、他のハウスメイトであるオンライン英会話講師のCと大学院生のモロッコ人Iと一緒に、女性警察官からいろいろと聞き取りを受けました。
一通り聴取が終わると、すぐに我々は解放され、4人の警察官も数十分かけて家じゅうを隅から隅まで捜索した後、壊れたドアと、泥だらけの足跡をあちこちに残したまま、(パトカーでなく)普通の白いバンで颯爽と帰っていきました。
混乱したままの私は、何があったのか、Cに事情を聴きます。
Cによると、朝6時ごろ、大きな音が聴こえて、下の階から人の声が聴こえたので、様子を見に行ってみると、警察が突入していて、Aが逮捕されていた。とのことです。
(Iは音には気付いたけど、気のせいだと思って寝続けていたそう笑)
Iが「ノックすればよかったじゃん、わざわざドアを壊すなんて…」
と文句を言いましたが、すかさずCは、
「ノックで警察の存在に気付かれれば、容疑者は証拠を破壊する可能性があるから、警察は迅速に容疑者の身柄の確保することを優先するんだ」
とイギリス人ならではの見事な回答。
たしかに、警察官たちは、パトカーを使わず、制服も着ずに、一般人を装った徹底ぶり。(まさに刑事ドラマのよう…。)
しかし、そのCもフロントドアが壊されたことは不満に思っているらしく、
「なんで金曜日なんだ…」
と、土日で工事業者がお休みになり、ドアがすぐに修理されないだろうことを嘆いていました。
…そうは言っても仕方がないので、残された我々3人は、家にあったごみ袋をつぎはぎして、ドアをふさぐ作業に取り掛かりました。
興奮していたせいもあってか、3人で協力し合ってのこの作業は、結構楽しく感じました。笑
そして、一時しのぎではありますが、正面玄関をふさぐのに成功。
同日、話を聞きつけた大家さんは、さっそく業者さんに依頼して、とりあえず玄関を板でふさいでくれました。
ちゃんとしたドアが取り付けられるには、もう数日時間がかかるそうです。
それにしてもなかなかない経験。
この話を職場でいろんな人にしたところ、最初こそ驚いていたものの「薬物ならあり得るか」となぜか妙に納得するみなさん。笑
移民歴の長い同僚の一人は、
「いいか、イギリスという国はジャングルみたいな無法地帯だ。いつ何が起きても不思議じゃない、と思っていた方がいい。」
と忠告してくれました。
そして、他の同僚たち同様、皮肉いっぱいにこう続けるのです、
「Welcome to England!!!」
~イングランドへ、ようこそ!!!~
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