イギリス生活1年弱、ほぼ初見でIELTSを受験してみた話
2022年の5月中旬に、YMSのビザでイギリスに入国して、もうすぐ1年。
YMSビザが有効な2年間のイギリス生活も、折り返しに差し掛かってきました。
1年弱イギリスで過ごしてみて、日本にいた時と比べたら格段に英語が身についています。
とはいえ、当初予想していた"渡英1年後の英語力"には遠く及んでいません。
まだ残り1年ありますが、帰国後の就職活動で「英語が話せます!」と胸を張って主張できるほどの英語力が付く気が全くしません。
今やっている仕事もレストランでの皿洗いなので、特段何か新しいスキルを身に着けたりできているわけではありません。
「このままでは、日本に帰国する時に持ち帰れるものが何もないな…」
私の中で静かに焦りが生じてきています…。
そこで最近考え始めた選択肢が、「イギリスの大学院に進学する」というもの。
世界的にもレベルが高いイギリスの大学院で学ぶことによって、新たな知識、考え方、スキルを身に着けることが出来ますし、世界的に人脈が広がります。
そして2年間のYMS終了後でも、学生ビザを取得することができれば、大学院に在学する期間だけまたイギリスで生活することができ、その分より英語力も高まるだろう…という算段です。
お金や成績など、大学院に進学するためには課題がいくつかあるのですが、とにかく前向きに考えてみよう!
そんな感じで大学院進学に関する情報収集を始めたところ、どうやら英語力の証明としてIELTS(アイエルツ)の成績を提出する必要があるらしい…。
と、いうことで、早速去る4月29日(土)、マンチェスター大学でIELTSを受験してきました!
今回の記事では、初めてのIELTSをイギリスで受験してみて感じたことなどを書いていきたいと思います!
なお、本記事執筆時点(4月30日)では、まだ試験結果を受け取っていません。結果が返ってきたら、改めて別の記事で紹介したいと思います。
1 IELTSについて
(1)海外留学、海外移住のための英語力の証明になる
まずは簡単に「IELTSとはいかなるものか?」という点から紹介していきたいと思います。
ということで、イギリスやオーストラリア、ニュージーランド、カナダへの留学や移住の際に、英語力の証明として認められている検定試験です。
日本だと、大学受験や就職活動の際の英語力の証明としては、TOEICのスコアや英検を基準にする大学や企業が多いため、IELTSはややマイナーな試験という印象は受けますが、こちらヨーロッパではIELTSかケンブリッジ英検が王道の英語力の証明ツールです。
IELTSには大きく分けて2つのタイプがあり、英語圏の大学・大学院進学の際に証明として使われる"アカデミックモジュール"と、英語圏への移住・就職の際の証明として使われる"ジェネラルモジュール"というものがあります。
また、それぞれのモジュールで、鉛筆で紙に記入するタイプのペーパー試験と、パソコンに入力するタイプのコンピューター試験(スピーキングを除く)の2通りの受験方法があります。
(2)1.0から9.0のスコアで英語力を評価
次に、IELTSでは、英語力をどのように証明するかについて見てみましょう。
IELTSでは、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの各分野とオーバーオール(総合)で、1.0から9.0まで、0.5刻みでスコアが示され、数値が大きくなるほど評価が高いことを表しています。
ちなみに、2022年のIELTS公式のデータ(https://www.ielts.org/for-researchers/test-statistics/test-taker-performance)によると、日本人受験者のスコア平均は、
リスニング:6.0
リーディング:6.1
ライティング:5.7
スピーキング:5.5
オーバーオール:5.9
となっているようです。
(なお参考までに、G7のうち英語を母国語としない国や、東アジア・東南アジアの国々と比較してみると、日本のオーバーオールの平均スコアは最下位です。)
(3)ちょっと高めの受験料(=£195)
今回私は、ブリティッシュカウンシルが主催するIELTSの試験を、マンチェスター大学の会場で受験をしたわけですが、受験料としては£195(32,175円、£1=165円換算)かかりました。
日本で受験する場合には、ペーパー試験で25,380円のようなので、為替レートを勘案すると、日本で受験した方がお得ということになります。
2 受験の動機と目標スコア
(1)英語の勉強のための受験
上記のとおり「大学院進学にスコアの提出が必要だから」という動機がメインになりますが、もう一つ別の動機もありました。
それは、「英語を勉強するため」という動機。
こちらで語学学校に通っていたころはそれなりに勉強をしていたのですが、語学学校を終えた後は、毎日英語環境で生活してはいるものの、「仕事の疲れ」という言い訳のもと、モチベーションが維持できず、机に向って英語を勉強する時間がほとんどなくなってしまいました。
英語で会話をしたり、英語でドラマやポッドキャストを視聴したりしているのですが、それらはやや汚い英語というか、正しくない英語が多く使われています。
日常生活を送る分にはそれでも問題はないのですが、「将来、公共の場やビジネスの場で英語を使えるようになりたい」と考えたときには、やはり、正しい文法や適切な語彙を習得する必要があります。
語学学校に通っていた際には、こうした正しい英語を先生から教えてもらい、宿題や復習等で勉強できていたのですが、イギリスで肉体労働者として普通に暮らしていると、日常生活の中で正しい英語に触れられる機会はやや限られてしまいます。
このような状況から脱却すべく、"試験"という目標を自ら設定し、勉強のためのモチベーションを高めようと思ったわけです。
(2)勉強不足による、ぶっつけ本番
さて、今回はIELTSへの初めての挑戦ということで、個人的には「お試し受験」のつもりでした。
大学院出願前に今回の試験以外に、もう2回くらいは受験するくらいのつもりなので「なるべく早めに1回目の試験を受けておきたい」そう思って、4月29日の試験を4月3日に申し込みました。
つまり、準備期間としては約1か月弱。
IELTS試験対策用の問題集を1冊購入したものの、仕事やプライベートの用事などでまとまった時間がとれず(言い訳)、問題集を余裕のあるときにちょっとずつ進めていくという方法で勉強しました。
しかし、結果的には、リスニングとリーディングの問題を約3試験分解いただけで、ライティングとスピーキングについては、手がつかず、ぶっつけ本番。
やはり独学だと、フィードバックをしてくれる人がいないので、ライティングやスピーキングの部門は勉強がしづらいです。
(3)とりあえず目標スコア6.0
さて、私が出願しようと思っている大学院のコースが求める最低スコアは、
"オーバーオール6.5、かつリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングすべてのセクションで6.0を下回らないこと。"
とされています。
しかし、これはあくまで最低ライン。
個人的には、10月の出願までにオーバーオール7.0~7.5あたりを目指したいと考えています。
とは言え、今回は初めての受験で、会場の雰囲気等を知るためのお試し的な性格の受験です。
色々な要素を勘案して、今回の目標スコアをオーバーオール6.0と設定してみました。
勘案した要素としては…
・英語環境で1年弱過ごしたこと
・語学学校に8か月通ったこと
・語学学校卒業時点でCEFRのB2レベルのクラスに所属していたこと
・制限時間内にすべての問題を解き切ることの難しさ
・問題や試験に慣れていない=対策が十分でないこと
・日本人のオーバーオールスコア平均5.9は越えたかったこと
という感じです。
特に、語学学校では最終的にCEFRのB2レベルに所属していたため、IELTSスコアとCEFRレベルの対応表を参照すると、CEFRのB2レベルはIELTSスコア5.5~6.5相当ということなので、「6.0は採れてほしいな」という願望的な側面は大きいです。
3 試験当日
朝少し早めの4時半起床。身支度を済まして、5時半に家を出ました。
チェスター駅から、電車でマンチェスターへ。直通電車で1時間。
受付時間は7時半から8時までの30分。それを過ぎると会場の扉は閉められてしまい、中に入れないとのことで、電車が遅れないかヒヤヒヤしましたが、無事時間前に会場にたどり着くことができました。
(1)厳重な受付
会場に着いて、まず講堂に案内されました。
そこでカタコト英語の担当者から、受付の流れや禁止事項などの説明を受けます。
「試験に持ち込み可能な筆記用具(鉛筆1本、ボールペン1本、消しゴム1個、鉛筆削り1個まで)と、透明ボトルの水以外は全てこの講堂に置いていくように」という指示を受け、財布とスマホを含め、所持品を全てカバンの中に押し込み、若干の不安を感じながらも講堂の椅子に残します。
受付には長い行列ができ、受付のサイン、IDの顔写真と本人照合、指紋の採取という、なりすまし防止のための厳重な受付を一人一人時間をかけて通過します。
受験番号的には180番前後までありましたが、実際に全員会場に来ていたのかはわかりません。
しかし、それくらいの人数がいるんじゃないかなという印象は受けました。
ちなみに、ぱっと見た感じだと、受験者の3割が東アジア・東南アジア系、3割が中東系、3割がアフリカ系、残り1割がヨーロッパ・ラテンアメリカ系というような感じでした。
(2)上げて落としてくるリスニング
受験者全員が受付を済ませた後、20人から30人ほどのグループに分けられ、実際に試験を受ける教室へと案内されました。
担当試験官(アメリカンアクセントだった)の指示のもと、まず最初にリスニングテストが実施されます。
時間は40分。
リスニングパートは全部で4つに分けられ、電話の会話の内容の聞き取りや、ツアーガイドによる観光地の紹介を聞き取るといった内容のものです。
解答用紙に単語を記入したり、選択肢の中から該当するものを選ぶといった解答方法になります。
そして、音声は一度しか再生されません。
私の手応えとしては、壊滅。
パート1、パート2は比較的簡単で、
「いける!」
と思った矢先、パート3で急激に難易度が上がります。
リスニング音声の英語は、かなりクリアで聞き取りやすい英語、何なら日常会話の方がよっぽど難しいのですが、問題の中にある選択肢と聞き取った内容を照らし合わせる作業をしているうちに、私の頭の中での情報処理がリスニングの音声のスピードに追い付かなくなり、パニックに陥ってしまいました。
パニック状態のままパート4に突入し、パート3同様処理が追い付かず…。
リスニングは対策がしやすかっただけに、少々ショックでした。
まだまだ勉強と、試験の形式への慣れが必要だなと感じます。
(3)意外といけた?リーディング
さて、お次はリーディング。
全部で3つの長文があり、それぞれの長文ごとに13問前後が割り振られ、計40問。制限時間は1時間。
事前に問題集に取り組んだ際には、1時間のうちにすべての問いに解答することが1回も出来ませんでした。
が、本番では試験終了40秒前くらいにすべての問題を解き終えることができました。
解き終えたからと言って、当然全部正解しているとは限りませんが、個人的な手応えとしてはあまり悪くありません。
日ごろの英語での読書の成果がここで発揮されたのでしょうか!?
ただ、私の経験上、手応えが良いと感じた試験ほど、結果が悪いという傾向があるので、あまり期待せず結果を待つことにします。
(4)文字数足りていない疑惑のライティング
筆記試験の最後の部門は、未対策のライティング。
問題はパート1とパート2に分けられ、こちらも制限時間1時間。
パート1はグラフから読み取れる情報を150語以上で要約するというもの。(150字ではなく150語なので、一つの単語(例えば"water")で1語としてカウントされます。)
パート2は、与えられたテーマについて、賛成か反対か、なぜそう考えるのか、自分の経験等を踏まえつつ複数理由を挙げ、250語以上で記述するというもの。
手応えとしては、
「良くはないけど、対策してないし、まぁこんなもんか」
という感じ。
自分なりに「ある程度伝わるんじゃないか」と思う文章は書けたものの、自分でもスペルや文法怪しいなと思った部分はありますし、同じような表現を何回も使用してしまったこともきっと減点対象になるはずです。
何より不安なのは、文字数足りていないんじゃないかと言う点。
時間が1時間しかないので、試験中にいちいち語数を数えている暇はありませんし、150語や250語は、少なそうに見えて思った以上に多いです。
今後は、語学学校でお世話になった先生や、オンラインのサービス等で添削してもらいながら勉強する必要があるな感じました。
(5)汗ダラダラで臨んだスピーキング
さて、筆記試験の日程が全て終わり、一旦お昼休憩へ。
スケジュールによると、12時15分に筆記試験が終わる予定だったのですが、実際にライティングのテストが終わったのは12時20分。
事前の案内のメールでは、私のスピーキングの試験の時間は15時30分頃と記載されていたので、どこで時間つぶそうかな~なんて考えていました。
講堂に戻って、自分の荷物を回収し、財布とスマホが盗まれていないことに安堵しつつ、念のため受付に張り出された名簿でスピーキング試験の時間を確認しました。
名簿の中の15時ころの時間帯の欄に、自分の名前がないか探してみたところ、おやおや見つかりません。
視線を名簿の下の方に移していきますが、名前がありません…。
名簿の上の方を探してもなかなか見つからないな…と思った矢先、あるではありませんか私の名前が名簿の一番上に!
なんとまさかのトップバッター!
(ABC順に並んでいたようで、私の姓がAkazawaのため、一番最初になってしまったようです)
試験開始時刻は12時30分、現在の時刻は12時29分。
そしてスピーキング試験の会場は、隣の建物!
急いで会場の建物に向かいますが、入り口が見当たりません!
メールには「建物の南の入り口から入ってください」と書かれていたので、南側を一生懸命探したものの、それらしき入り口がありません。
次に西側へ向かうと、教会の入り口のような大きな立派な木製の扉があったのですが、閉ざされています。
もう一度南側から、東に回ってみると、ありました!入り口が!
時刻は12時31分。
急いで建物に駆け込んだところ、待ちかねていた受付係の人から「君はあAkazawaか?」と訊ねられ、息を切らしながら「Yes,」と応え、なんとか受付をすることが出来ました。(ちなみにここでもID照合と指紋認証が行われます。)
既にこの時点で汗ダラダラ。笑
荷物を全て受付に預けた後、担当の試験官に案内され、汗ダラダラのまま会場の教室へ。
私の試験官は、アフリカ系のマダムでした。
今まで出会ったことのないタイプの英語のアクセントの所有者で、最初の数問は聞き取れず、聞き返してしまいましたが、それ以降は耳が慣れ、試験官の質問は全て理解することができました。(この点は英語環境で1年弱生活してきた成果かもしれません。)
スピーキングの問題は、英語学習に関するテーマで、比較的話がしやすいテーマで幸いでした。
なるべく話が途切れないように、文法を気にせず、自分の言いたいことをひたすらしゃべりまくりました。
思い返してみると、名詞の形にすべき単語を、形容詞の形で話してしまったり、語彙が足りず同じ動詞や形容詞を何回も使いまわしてしまったりと、減点となりそうな部分が多々ありますが、汗ダラダラ、事前対策ナシ、半ばパニックの状態で試験を受けた割には、現在の自分の英語力を精一杯発揮することができたと思います。
これでスコアが低くても、それが今の自分のレベルだな、と一番納得するであろうのがスピーキングのテストでした。
4 私のスコア予想
さて、と言うわけで、私なりに試験の手ごたえとIELTS公式HP(https://ieltsjp.com/japan/about/about-ielts/ielts-band-scores)記載の採点基準から分析して、スコア予想を立ててみたいと思います。
リスニング:4.5
リーディング:6.5
ライティング:5.0
スピーキング:5.5
オーバーオール:5.5
正直、予想を立てたからと言って、それが結果になるわけではありませんが、実際の結果と照らし合わせてみて、自分の予想と合っていたか、どう違っていたか、楽しく分析してみたいと思います。
結果は試験日後から13日以内にわかるとのことでした。
お試し受験のつもりだったとは言え、今から結果が待ち遠しいです。
5 結論:勉強しろ
明白ですね。
まだ結果が返ってきていないので何とも言えませんが、個人的には、限られた短い時間の中で英語を処理する能力がまだまだ足りていないなと感じるものでした。
試験自体は年間を通して開催されるので、しっかり対策をしつつ、もう何回か受験して、目標の7.0~7.5をとれるように勉強を続けたいと思います。
IELTSの受験について、おもしろくもない私の話をダラダラ長く書いてしまいましたが、最後までお付き合いくださった読者の皆さま。お読みいただきありがとうございました。
もし機会があれば、皆さまも是非IELTSにも挑戦していただき、私がここに書いた気持ちを感じてもらえたらこの上ない幸いです。
結果が出たらまたこのnoteを通して報告したいと思います。
お楽しみに~!!