映画紹介:Spotlight
こんばんは。
赫 斑点です。
今日は短めに紹介です。
【地方紙の新聞記者がタブーに挑む、実話】
この物語は、まだWindowsが95からXPに変わるくらいの頃の話。
アメリカのある地方紙が、長年地域で隠されてきた、カトリック教会の不都合な真実について、泥臭く取材し、記事にするまでの物語である。
【職権乱用の虐待事件の裏には大きな心理問題がある】
ここで指す虐待とは、殴る・蹴るといった外的暴行ではなく、より湿り気を帯びた、体を這い犯す方の内的暴行である。
こういった話題をとりあげる映画は他にも有名な作品が多く発表・公開されており、例えば「闇の子供たち」や「トガニ〜幼き瞳の告発〜」などが挙げられる。
私は学生時代、少年少女を対象にした性犯罪の告発・意識改革を主題にした、映画作品の日本における存在意義と将来のあり方について卒業論文を書いた。
そのため、このような題材を扱った当作品についての社会的価値について書きたいところだが、実際本作はアカデミー賞 作品賞・脚本賞を受賞しており、すでに社会からの評価は明白となっているから、私の出る幕は当然ないし、私はそこまでの人間ではない、you know。
しかしながら、本作を見るメリットは事件の詳細を知るだけでなく、ジャーナリストの実務を知る観点から見ることにより、「広報として記事を書く人間がどのように取材を進め、どんな辛いことや危惧すべきことがあるのか」という仕事内容の原始的な部分を体系的に感じ取ることができる、学習・追体験映画として活用することもできる。
【図書館活用、公文書活用について】
本作の時代設定は90年代後半〜2000年代初頭のこと。
世界貿易センタービルの崩壊事件があったころに被る。
インターネット情報の解像度がまだ低く、図書館所蔵書類の原本を参照する必要があった。もちろん持ち出し禁止である。
その資料を調べ上げるためにどんなアナログな方法を使い、それだけ時間と手間と人手をかけたか、が印象的に描かれている。
また、同時多発テロという大事件発生による、報道順の急な変更と不条理。取材元からの嘆きに挟まれいっぱいいっぱいになる記者たちの様子も余すことなく盛り込んでいる。
このデジタル社会に慣れてしまった我々デジタル世代マスコミ関係者にとり、本作を鑑賞する意義は職務的並びに当事者感情を追体験できる、以上2点から、
今まで鑑賞されていない広報・マスコミ対応関係者は、仕事に従事する前に見るべき映画ではないかと考察し、心より鑑賞をおすすめしたいと思う。
【追記】
本作の他にあげた作品、その他例としてあげたい作品と、物語の「視点の位置」をまとめておきます。
もし見る気力があれば、ぜひご覧になって見てください。
・闇のこどもたち
→NPO団体の日本人、タイを取材する日本人フォトグラファー、命を買う日本の豊かなある家族。
※それぞれの「日本人」が直面し、守り利用する命について考察できる。
・トガニ〜幼き瞳の告発〜
→子どもたちを救う先生、子どもたち、犯罪者、両者弁護士、民衆。
※韓国の不条理な法廷ルールへの皮肉、障害を持つ子どもたちの尊厳、一度失った尊厳を癒やす大人、について考察できます。
・先生を流産させる会
→女がキモい中学生、身ごもった先生、女子校クラスカーストの上位に立つ人間。
※先生が女としての営みを行っていることについて、愛情に飢えこじれた女子たちの怒りと異物感と集団の攻撃性と、、、について考察できます。
ご一緒に是非。
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