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日本維新の会は統一地方選で何人の地方議員を誕生させられるのか?(改良版)

1.前回のnoteの改善点

前回、日本維新の会の統一地方選での獲得議席について数値を用いて予想しました。

この予想では参院選の比例得票率と2022年の地方自治体選挙の維新の候補の得票率の関係を調べ、前回の最低ラインから予想しました。
このnote作成後、選挙あたりの候補者の数も考慮して欲しいという声があったので、候補者の数も考えて予想をします。

2.今回の予想と前回の予想の手法の変更点

前回は地方自治体選挙の得票率と参院選の比例得票率の2つの変数のみを使っていましたが今回は擁立者数を考えなければなりません。しかし、これまで維新の地方自治体選挙では、選挙ごとの擁立者数は大阪以外だと1人~2人が多く、大阪でも4人や5人が多いです。今回の統一地方選では大阪では10人以上擁立していることも少なくないですが、これまで10人以上擁立していたのは東大阪市と尼崎市だけで9人擁立した事例はなく、8人擁立したのは前回の統一地方選の八尾市のみです。これでは精度の高い予想にはなりません。

今回はその問題点を擁立率という新たな割合を用いることで解決して予想しました。
擁立率とは、擁立者数/定数で、定数に対してどれだけの候補者がいるのかということを表してます。定数50人に対して1人擁立であれば擁立率は2%です。また、小選挙区、1人区であれば擁立率は100%です。
擁立率は同じ数の擁立者数の場合でも定数の違いで難易度の違いを表すことができますし、擁立率自体を変数として扱えます。(擁立者数では、定数の違いによる難易度の違いを表せない)

今回は擁立率と統一地方選後の地方自治体選挙の得票率と参院選の得票率を重回帰分析を行い、一つの式に表すことで、擁立率と参院選の得票率を入れるだけで前回と同様に統一地方選の予測得票率を出し、それを前回最下位当選者の得票率で引き算をしたとき、0以上であれば当選と判断します。
重回帰分析とは2つ以上の何かを行うこと(説明変数)が、何らかの結果(目的変数)にどのような影響を及ぼすか、相関関係を数値化して予測することに活用される分析手法です。
例えば、売上を見るとき、商品の価格や品質といった要素が関係していることが推測できますが、売上を上げるためにどの要素がどれぐらい売上に影響しているのか把握できれば対策がスムースとなります。
この時、擁立数別に擁立率を出しているので、擁立数別で当選できるかを判断できます。擁立数が2人以上の場合は票割りのことを考え補正値を足しています。今回は一律ではなく、少し細かくやっています。
大選挙区の基礎自治体選挙と中選挙区(複数人区)はこの手法を使います。
ただ、1人区に関しては、擁立率は常に100%であり、候補者も必ず1人なので、これまでのやり方でやります。

3.予想の注意点

今回の予想は実際の選挙結果とは全く異なりますし、その地域の特性や地盤は全く考慮していません。また、京都党や減税日本など国政に進出していない地域政党の影響は全く反映出来ていないのでご了承ください。
(大阪市議選の西区のように前回は2議席とってるのに1議席と予想している場合もあります。)
また、無投票選挙区は選挙自体が行われていないので予想がしようがないで予想外です。全体集計の時に人数も出しますが前回無投票ではない選挙区のみの人数ですので、例えば、大阪市議選の住吉区や大阪府議選の箕面市豊能郡選挙区は予想外で議席数にも反映されませんので予想+αが見込めると思います。

4.統一地方選の予想(基礎自治体選挙)

今回は前回2019年の統一地方選後の選挙全てを対象にしました。
以下が一覧になります。

表1 今回、重回帰分析する選挙の自治体

また、参院選の比例得票率は2021年の衆院選以前は2019年の参院選、2021年の衆院選後は2022年の参院選を使っています。


表2 重回帰分析の結果(基礎自治体選挙)

目的変数を地方自治体選挙の得票率にして、重回帰分析をしました。
得られた回帰式は表2の係数のところにあり、地方自治体選挙の得票率をY、擁立率を擁立率をX₁、参院選比例得票率をX₂とするとY=0.780077307X₁+0.253506411X₂-0.025289279になります。


表2の見方

この表の中で重要なのは重決定R2、補正R2、有意F、P値、t値です。
重決定R2はR2乗、決定係数や寄与率と呼ばれ、この回帰式がどれだけ地方自治体選挙の得票率を説明できているかを表す指標です。R2乗は0~1の間で値をとり1に近づくほど精度が高いということを意味します。しかし、R2乗は説明係数が多いと1に近づいてしまう性質があるので、重回帰分析の今回の場合は補正R2を使います。
補正R2は自由度調整済決定係数と言われ、先ほどの性質を取り除いたものになります。
有意Fは説明変数が変わっても意味が無いという確率を表しています。
一般的に有意F<0.05ならば意味のある回帰式を求めることができたということができます。
P値は一つ一つの説明変数が目的変数に対して関係があるかを表しています。一般的にP値<0.05ならば関係性があると言えます。
t値はそれぞれの説明変数が目的変数に対して影響があるのかを表しています。t値の絶対値>2ならば関係性があると言えます。t値の絶対値が大きいほどその変数が与える影響が大きいと言えます。


表2からいえること

表2を見ると、補正R2が0.92415‥となっており、回帰式で地方自治体選挙の得票率というデータの92%を説明できます。有意Fは5.33×10⁻⁵¹であり、意味のある回帰式であることが分かります。P値は擁立率が1.61×10⁻²²、参院選比例得票率が2.09×10⁻⁷で地方自治体選挙の得票率と大きく関係があることが分かります。t値は擁立率が13.1、参院選比例得票率は5.63であり、擁立率のほうが参院選比例得票率より地方自治体選挙の得票率に影響を及ぼしていると考えられます。

基礎自治体選挙の予想結果

TREND関数は回帰分析を用いて将来の数値を予測する関数です。これを用いて、各選挙、各擁立数別の予測得票率を求め、前回最下位当選者の得票率で引き算したとき0以上であれば当選と判断します。
複数人擁立の場合は補正値をたします。
補正値
定数15未満 0.04
定数15以上18未満 0.03
定数18 0.0275
定数19 0.025
定数20以上27未満 0.0225
定数27以上33未満 0.015
定数33以上 0.01

擁立者数は10人まで擁立率で見ています。
理想予想議席が先ほどの手順で導いた議席予想。
今回は2月20日時点の維新が擁立していない選挙の分を除いて計算したものを予想議席とします。また、前回から対象の選挙は変わっていません。

表3 基礎自治体選挙の議席予想

予想議席では283議席となっており、日本維新の会の統一地方選の目標の達成には非改選分をを除いて約460議席が必要ですが、今回の予想では基礎自治体選挙のみで283議席は獲得で、残り中選挙区、1人区で177議席獲得する必要があります。

※擁立しすぎの選挙や票の偏りもあるので、議席は多少減るものと考えてほしいと思います。

5.統一地方選の予想(中選挙区)

次は道府県議選、政令市議選の道府県議選です。
19年の統一地方選後の定数が少ない補選や中選挙区の選挙でデータを取りました。

表4 データに使われている選挙 ()がないのは補選


表5 中選挙区の場合の重回帰分析の結果

補正R2は0.82であり、82%が回帰式で説明できることが言えます。
また、有意Fが0.05未満であり、意味のある回帰式であることが分かります。
P値は擁立率は0.05以上、参院選比例得票率が0.05未満であることから、中選挙区においては擁立率(定数や維新の候補者の数)が地方自治体選挙の得票率には全く関係がないと言えます。一方、参院選比例得票率は関係があると言えます。t値も擁立率も1.33であることから影響はないと言えます。参院選比例得票率のt値は5.49であり影響があると言えます。

中選挙区の予想結果

擁立率は、4人擁立まで検討しています。複数人の場合は補正値を足しています。補正値は以下の通りです。
補正値
定数2 0.1
定数3 0.045
定数4 0.425
定数5 0.04
定数6 0.0375
定数7以上14以下0.035
定数20以下 0.03

表6 中選挙区の議席予想

現時点の擁立状況を考えた予想議席は248議席でした。この段階で目標の議席数には達しました。
無投票選挙区は含まれていないので本来は少し増える可能性が高いです。

6.統一地方選の予想(1人区)

1人区は前回の手法を使います。以下の自治体の選挙をデータにしています。予想対象は大阪、兵庫、奈良です。

表7 データに使われている選挙(1人区)


図1 参院選比例得票率と地方選(定数1)得票率の関係

R2が63.8%なのでこれまでのとは違い精度は少し低いです。

表8 予想議席(1人区)

予想議席は31議席と出ました。しかし、そもそもそもの式で説明できないものが36%あるので表全体の15議席、また、当選出た31議席のうちなら12議席はそもそもの式から外れているので正確とは言えないです。

7.全体結果


表9 全体予想結果

全体の予想結果はこうなりました。合計561議席で十分目標達成は可能と言えます。
実際は関東の中選挙区はそこまで当選できないと思いますが統計的には可能性があるということがいえると思います。

8.まとめ

重回帰分析をおこなうことで、基礎自治体選挙では擁立率、参院選比例得票率ともに地方自治体選挙の得票率に関係性があり、擁立率のほうが関係性が強いことが分かりました。つまり、地方自治体選挙の得票率と定数や擁立者数の関係性が高いことが言えます。
中選挙区の場合だと地方自治体選挙の得票率と擁立率には関係性がなく、参院選比例得票率のみ関係性があることが分かりました。つまり、擁立者数や定数によって地方自治体選挙の得票率が変動することはないということが言えます。
全体の議席予想では今回の統一地方選で561議席を獲得できると予想します。予想では目標は達成できると予想します。

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