2022年第26回参議院議員通常選挙議席予想(5月)
1.現在の内閣支持率と政党支持率
5/22時点までの内閣支持率の推移は以下の通りである。
先の衆議院選以降支持率は50%を常に超えている。最も驚くべきは不支持率の低さだ。不支持率は25%~30%の間を推移している。
次に政党支持率を見てみる。
昨年10月の終わりから11月に見られるのが選挙ブーストと言われるもので、選挙戦を通じて無党派層が支持政党を固めるようになることで起こる現象である。立憲、維新は臨時国会による増加があるものの、その後下落している。しかし、国民民主だけは選挙ブースト後、最近まで支持率を維持していたことが見て取れる。
2.低内閣不支持率での参院選事例
2001年参院選
軒並み不支持率1桁台という異常な数字が並んでいる。
そして2001年参院選の結果は下の表である。
※改選1名選挙区27、改選2名選挙区15、改選3名選挙区4、改選4名選挙区1
自民党が64議席を獲得し単独過半数を確保していた。改選1人区は岩手、三重を除き、全て自民党が確保した。比例でも20議席を獲得、民主党に2倍以上の差をつけた。
2013年参院選
支持率は60%程度あり、不支持率は10%~20%台である。
不支持率は現在の岸田政権の不支持率20%~30%台なので少し低い程度。
2013年参院選の結果は下の図である。
※改選1名選挙区31、2名選挙区10、3名選挙区3、4名選挙区2、5名選挙区1
この時は自民党は単独過半数にわずかに足りなかったものの65議席を獲得している。しかし、比例は2001年ほど獲得しておらず、18議席であった。一方、野党は1人区は岩手、沖縄の獲得にとどまった。民主党は比例700万票にとどまり7議席のみとなり、17議席にとどまっている。
3.内閣支持率50%台での参院選
実は参院選前の5月~7月で過半数の世論調査で内閣支持率が1度でも50%を超えていた参院選は01年以降の01年、04年、10年、13年。01年13年は過半数の世論調査で内閣支持率が7月まで50%を下回ることがなかった。04年は急激な支持率低下があり、自民党が議席を減らしている。10年は超イレギュラーである。
2004年参院選
2004参院選の時の内閣支持率と不支持率(7月11日が投開票日)
出典 https://w.atwiki.jp/giinsenkyo/pages/48.html
2004年では急激な内閣支持率の低下、不支持率の上昇が見られた。
選挙結果はこちら
結果は、参議院においても二大政党制の傾向が強まることになった。しかし、自公過半数を維持した。なお、2004年が最後の山陽地方以外出身の総理大臣下での参院選である。
2010年参院選
2010年は参院選1か月前に菅直人政権が誕生している。内閣支持率は急激な上昇を見せたが投票日に向かうにつれて急激な減少を見せている。
投票日は7月11日。
菅直人政権誕生後~参院選までの内閣支持率推移
出典:https://w.atwiki.jp/giinsenkyo/pages/33.html
2010年参院選の結果は下の図
実は自民党単独では民主党より比例票、選挙区票ともに下回っている。しかし、議席では自民党の方が多い。
内閣支持率が参院選前3カ月以内で50%を超えている場合は04年以外では得票数の上では与党有利である。しかし、野党躍進のためには内閣支持率の急落は必須な条件である。
4.参院選と衆院選の選挙ブースト
下の表のように参院選は衆院選に比べて選挙ブーストが起こりにくい。また、統一地方選ではほぼ選挙ブーストというのは起こっていない。
また、上の図のように必ずしも選挙ブーストが大きく起こるとは言えない。例えば、2001年は野党に選挙ブーストは起こっていない。
5.第26回参院選全体予想
個人的には2013年の参院選に非常に近い選挙になると思う。
共通点と相違点はこちら
みんなの党が存在しないことと国民民主の存在が大きな変数と思う。
また、内閣支持率が50%台であることは、まだ野党が善戦する可能性はあるということだ。
6.参院選予想(全国比例)
議席予想では選挙ウオッチさんの機能を使わせていただきました。
では参院選予想はこちら↓(投票率は50%で計算)
参院選全国比例
自民20公明7 立憲8維新6共産3国民3新選2社民1NHK0
と予想
幅を持たせた場合
自民17~21
公明6~8
立憲6~11
維新5~9
共産3~5
国民2~4
新選1~3
社民0~2
NHK0~1
自民党は安定した戦いを見せ比例でも20議席に到達すると予想。新型コロナウイルスへの関心が日本全体で低下しており、政権を批判する材料が少なくなっている。また、ウクライナ情勢を考えると現状を変えるような動きは小さくなると予想。
公明党も安定した戦いを見せ7議席を獲得すると予想。公明党は創価学会の強力な組織票があり、極端な投票率の変化がない限り7議席から動くことはないだろう。
立憲民主党は比例8議席維持と予想。2021年衆院選以前の政党支持率を保つことができていない。衆院選と同じぐらいの得票ならば10議席程度を見込めたが、政党支持率、参院選比例投票先ともに衆院選前より下落していることから8議席程度にとどまると思われる。しかし、内閣支持率が極端に高いわけでもないので政権への態度不明層の支持を集められるかが焦点だ。
日本維新の会は現有から1議席増やしての6議席と予想。衆院選では躍進したもののその後は勢いがない。しかし、2016年のおおさか維新の会でも比例で500万票をとっていることから、500万票を下回ること考えにくい。また、慰安婦発言で勢いが失速した2013年でも600万票を獲得している。また、当時とは違いみんなの党が存在せず、新党大地の鈴木宗男氏は維新にいる。そう考えると600万票以上の獲得は現実的だが、ウクライナ情勢であまり大きな変化をさせたく無い有権者も多い。700万票には届かない可能性を予想。しかし、変化をさせてもよいと考える有権者が多ければ議席を大きく増やすことにもなるだろう。
共産党は3議席と予想。2013年は民主党が下落した代わりに共産党が5議席を取り躍進したが、れいわ新選組の存在で思ったほど浮動票を取り切れないと思う。しかし、ウクライナ情勢が重なりが共産党にいい方向に行くか悪い方向に行くかは不明だ。憲法改正が急激に進むことを恐れて共産党に入れる有権者が増える可能性もある。しかし、ウクライナ情勢で自衛隊を違憲とし、将来廃止を訴えてる共産党に共感を得られない無党派層が多いかもしれない。
国民民主党は3議席を維持すると予想。トリガー政局の失敗でここ最近の支持率は下落しているが、衆院選以前より支持率は高くなっている。維新の度重なる不祥事で国民民主に入れる有権者は一定いると思われる。2013年もみんなの党は4議席を獲得している。予算案賛成自体は安定政権を求める無党派層には好影響を与えた。しかし、トリガー条項の復活はなされていない。ただ、期待票は存在すると考え3議席とした。
2013年参院選後、みんなの党は消滅した。国民民主の岸本氏は離党し和歌山県知事選への立候補を表明。これが国民民主消滅の1歩目になるかもしれない。
れいわ新選組は2議席と予想した。れいわ新選組は若年層の支持が多く、世論調査では把握しづらい。今回、山本太郎氏が鞍替えで出馬という事で批判もあるが、東京では大きな比例票の集票が見込める。しかし、れいわ新選組はコアな支持層が政治団体「参政党」などに離れているという指摘もある。しかし、一定存在すると思われるが、数自体は少なく影響は少ないと思う。
社民党は1議席を死守し、政党要件も満たすと予想。福島みずほ氏の改選であり、昨日、社民党は元広島市長の秋葉氏の擁立を決定、1議席の可能性が非常に高まった。
NHK党は2019年ほどの勢いがみられず、参政党への票の流出が一定あると思われる。また、政見放送芸は3度目にもなると面白がって投票する人も少なくなると思う。ただ、渡辺喜美氏がNHK党で立候補する可能性がある。その場合は1議席獲得する可能性はある。
その他の政治団体は参政党が議席を獲得する可能性はある。しかし、極右政治団体が乱立しているほか、NHK 党との競合は避けられない。ただ、選挙区で政党要件を満たすことはあり得ると思われる。
7.参院選予想(選挙区)
個別の選挙区ごとの評価は別途noteでする予定なので、数だけを紹介する。
参院選選挙区予想
自民36~43~46
公明6~7~7
立憲8~12~17
維新3~4~8
共産0~1~3
国民1~2~3
新選0~1~1
社民0~0~0
NHK0~0~0
無所属・諸派3~5~11
8.参院選予想(選挙区・比例の合計)
自民党が改選議席で過半数を確保、非改選を合わせた場合は公明と合わせて過半数を確保すると予想。立憲は20議席、維新は伸び悩み10議席。共産4議席、国民5議席、れいわ3議席、社民は議席を死守すると予想。
まとめ
自民党が改選単独過半数となるかが焦点となる。しかし、内閣支持率が50%台であることは野党にとってチャンスととらえることもできる。選挙ブーストを大きくかけられるかが勝負だ。