ゼロから始めたボードゲームデザイン の話(キャラクターカード編)
こんにちは、制作グループ「RedSeed」のデザイン担当・あをこと申します。普段は主にイラストを描いたりしています。
「RedSeed」は友人4人組で結成した制作グループで、「何か人を楽しませることができるモノを作りたい!」 という気持ちで生まれました。
この記事は、そんな私たちの処女作であるボードゲーム、「あの美女からご指名いただきました」の制作記録です。
今回は主に、このゲームにおいて最も重要なコンポーネントである「カード」のデザインについて、「次回に生かしたい3つのポイント」を書きたいと思います。
その前に、まずゲームの紹介をさせてください
本題に入る前に、そもそも今回作った「あの美女からご指名いただきました」(以降・「あの美女」と略)というボードゲームがどういうゲームなのか? について簡単に紹介させてください。
ズバリ、「美女たちの力を借りながら、No.1ホストを目指す」というゲームです。
プレイヤーはホストになって、来店するさまざまな美女(お客さま)を接客 → 美女に「パトロン」になってもらい → 美女ごとに異なる「能力」を使って、アイテムをゲットしたり、他プレーヤーの邪魔をしながら → より多くの愛(ポイント)を稼いだ人が勝利、という流れ。
「ホストの世界観を楽しみながら、戦略性のあるカードバトルができること」がコンセプトです。
1.同じデザインで複数枚用意する場合、テストの段階で色もチェックするべし
さて、本題です。
このゲーム、言わずもがな一番重要なコンポーネントは「美女」たちのカードです。
ホストになってさまざまな美女をオトしていく、というコンセプトの本作、
企画段階で紆余曲折あった末、「メイド」や「バーテンダー」など、さまざまな職業の32人の「美女カード」を用意することになりました。
……32人!?
つまりこれ、32枚違う絵(キャラクター)を描く必要があるってこと……。
企画段階ではテンションが上がってマヒしていたのですが、いざ作業に入ってから、ようやく「この枚数尋常じゃねぇな」と(笑)
枚数に恐怖を感じた私は、テストプレイの段階でキャラクターラフを作成。
この際に、「イメージが違う」「やっぱりこのキャラクターを入れたい」などの意見をもらい、それを反映しつつ本描きに入っていきました。
こんな感じで用意しました。
後から思ったのですが、この段階で一度、全てのキャラクターカードにイメージでカラーをつけておけば良かったです。
ふだん1枚のイラストを描く時は、色をその時の気分で決めていました。その癖で、キャラクターを並べた時の色の偏り(「キャラの色が被っている」「この色味のキャラがない」など)を本書きになるまで確認していなかったのです。
結果的に、最後に一覧を見つつちょっとずつ色を調整していく必要が発生して、時間がかかってしまいました。
テストの段階で色をある程度決めていれば、もう少し作業が削減できたかなと思います。(むしろ背景とか要らなかったなと思います)
2.カードに入れる要素は極力、減らすべし
さて、先にキャラクターの話をしてしまいましたが、
実はキャラクターのデザイン以前に、カードデザインで一番難しかったのがこの「要素の配置」でした。
当初、「キャラクターカード」に入れる必要のある要素は次の6つでした。
① キャラクター ②キャラクターの名前 ③ レベル ④勝利点 ⑤コスト ⑥もらえるアイテム情報 ⑦能力の説明 ⑧セリフ
① キャラクター
メインとなる美女のイラスト。
② キャラクターの名前
美女の名前。(というか職業)
③ レベル
そのカードのレベル。そのカードが大体どのくらいの強さなのかの指標。
④ 勝利点
そのカードのポイント。最終的に勝者を決めるための指標。(10点で勝利)
⑤ コスト
そのカードを入手するために必要なアイテムの数。「ダイヤ」「バラ」「シャンパン」の3種類。
⑥ もらえるアイテム情報
アイテムを入手するために、そのカードからもらえる「シャンパン」の数。
⑦ 能力の説明
キャラクターごとに異なる能力の説明。
⑧ セリフ
そのキャラクターのイメージを持ってもらいやすいようなセリフ。
最初、単純にカードデザインを考えたときの案がこちら。
なんだか、目が散って見にくい……。
検討を重ね、問題点としては、以下の2点だと考えました。
(1)そもそも要素が多い。
(2)どの要素が重要なのかわからない。
そこで、(1)については、要素を本当に必要なものに限定。
③レベルと④勝利点を同じ指標にすることに調整し、⑧についてはメインの要素ではなく、背景に手書きで入れる「おまけ」的な扱いにすることに。
(2)については、ゲームのシステム上での優先度を決定。
③④勝利点→⑦もらえるアイテム→⑤コストの順に大きさを変えることにしました。
勝利点とアイテムについては、どうしても同じくらいの重要度かつ別要素として入れ込む必要があったため、苦しんだ末にトランプにように上下に配置することに。
「隣に配置したほうが見やすいかも?」とも考えたのですが、使用するタイミングが違うため、「逆に離れた位置にあるほうが混乱しないのでは」と考えて、最終的にこの形に決めました。
これが100点の正解ではなかったかもしれませんが、今の自分たちが考え出せるベストな状態には持っていけたのではないかなと思います。
少しでも遊びやすくなっているといいなぁ。
3.文字やアイコンは読みやすさを大切にすべし
最後に、デザイン性と機能性(見やすさ)のバランスです。
今回、カードには②キャラクター名と⑦能力 の2つの文字要素を入れました。
この2つの文字数はすべてカードによって異なるため、ビジュアルの良さと文字の見やすさの適切なバランスをとるのが非常に難しかった……!
キャラクターは目立たせたいけど、文字が読めないとゲームがやりにくいのです(笑)
中にはかなり長文の能力を持つキャラクターが存在していたので、テストプレイ中に「読みにくい」「頭に入ってこない」などの声が多発。
(この段階では文字が細かった)
他のメンバーの意見を聞きながら、「フォント」「文字の大きさ・太さ」「行間の空き具合」などを調整していきました。重視したのは、デザイン性よりも文字の見やすさ。
少し離れた席に座っている人でも読めるよう、太めの文字で読みやすいフォントを選んだつもりです。
唯一、文字を斜めに表示させる表現については、コンセプト的に見栄えの良さを優先し、そのままで行くことに決定しました。
今まで、あまりデザインのフォントを意識したことはなかったのですが、フォントが変わるだけでだいぶ印象が変わるものですね……!
本職のデザイナーさんの場合、「こういう時はこのフォントを使う」などの黄金ルールなどを持たれているのだと思います。もっと勉強しようと思った次第です。
また、背景のデザインも試行錯誤しています。ホストの世界観を表現しつつ、キャラクターや文字が埋もれないように……という点を意識しました。
苦しんでいる様子が見て取れます(笑)
途中、「最初のデザインが一番よかったんじゃないか?」と迷走したり、「こんなのもともとデザインできる構成じゃないんだよ!!」と夜中に叫んだりといろいろありましたが、
苦しんだ分、ボードゲームであるからには遊びやすいことが大前提なんだと、改めて実感させられました。
まとめ
以上、デザイン作業を振り返ってみて、「こうすればよかったなぁ」と思うポイントを書いてみました。これから作成する方にとっては少しでも参考になれば、同じようにデザインに苦しんだ方にとっては少しでも共感できるポイントがあれば、うれしいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
では、また。
ボドゲ制作をはじめ、さまざまなコンテンツ制作に取り組んでいます。読んでくださった方に、少しでも楽しい気持ちになっていただければ幸いです!