ACL2022 Final サウジアラビア遠征 #2
1. はじめに
前回アップした「ACL2022 Final サウジアラビア遠征#1 」を想像以上に多くの方に見ていただき嬉しく思います。改めて読むと情報が不足している部分も数多くありましたが、一つ参考としてお読みいただけましたら幸いです。
#1では主に「サウジアラビアへの行き方・費用」に焦点を当てて記事を書きましたが、今回の#2では「試合当日の流れ」に焦点を当てて投稿します。最後には自分の雑多な感想も記させていただきました。
#2と付けていますが、続きでなくそれぞれ独立した記事になっておりますのでこちらだけお読みいただいても問題ございません。よろしくお願いいたします。
2. 事前準備
国内のアウェイであればツアーを除いて各々が自由にスタジアムに向かうことが多いですが、今回は基本的に全員がバスで一斉に向かいます。そのためオフィシャルツアーで申し込んだ方以外は事前申し込みが必須です。観戦チケット+往復バスで15,000円です。
※現地在住の方向けに別プランはある模様
以前も同じ流れでしたので、おそらく次回以降も同様なのではないかと予想します。
以下は浦和レッズオフィシャルに掲載されている文言です。
航空券も手配してホテルも確保していたので、万が一このチケット+バスが完売したらどうしようと思っていましたが杞憂に終わりました。
試合日が近づくと下記のメールが来ました。
3. 当日の流れ
移動
集合場所となるホテル(Holiday Inn Olaya)にはホワイトボードが掲示されています。
各々の集合時間を確認し、ホテル内のパーティ会場のようなところに集合する訳ですが、遠い異国の地で多くの日本人がいるというのはなんとも不思議な感覚でした。この場でチケットも配布されたのですが、なんとコピー用紙…。
今回試合が行われたのは「キング・ファハド国際スタジアム」。
Holiday Inn Olayaからは約24km。バスで30分程度です。
とても立派なスタジアムです!収容人数は68,752人!
まさかの水没収
Twitterを賑わせていた水没収騒動。事前情報ではペットボトルの持ち込みOKとされていたのですが、直前でNGに変わった模様。ちなみに2019年も同じ流れだったので少し警戒はしていました。この気温+乾燥で水なしは相当キツいのでなんとか皆密輸を試みます。スタッフさんまでもが「水はうまく隠してください」と言ってくれています笑
日本の手荷物検査とは違ってバッグの奥底やポケットの中までしっかり調べられます。見つけたら容赦無く没収されるのですが、見て見ぬふりをしてくれる係員もいたり…。タオマフにくるんだり、ダミーを一つ用意して犠牲にしたり…、一番安全なのはフラッグケースに入れての密輸だったようです。自分は緩いレーンだったのか3本の密輸に成功しました。
スタジアム内で水の購入は可能でした。ペットボトルではなく、タピオカドリンクの容器みたいなものです。
この水の価格が曖昧で、1SARで1本という情報もあれば、10SARで8本と言われたり謎でした。ちなみに私は「30SARでありったけの水をください」と言ったのですが渡されたのは20本くらいでした。テキトーすぎる!
※1SAR=35〜37円
試合観戦について
座席確保は心配しなくても大丈夫です。空席を詰めてくれますし、席が足りないとなったら幕をズラしてくれたりと柔軟に対応してくれました。語弊がある言い方ですが、国内よりみんな優しい対応してくれます笑
座席は砂だらけなので、「雨避け」ならぬ「砂避け」としてゴミ袋あると良いです。
Twitterには浦和サイドの映像がTwitterにあがっていました。
試合後
試合についてはご存知の通り。まだ全てが終わった訳では無いのでとくに書きません。
試合後は、各々バスに乗ってホテルor空港に戻ります。
試合当日は集合場所のホテルに時間通りに来ることができれば、とりあえずスタジアムの往復は迷うことなくできます。
4. 私が感じたサウジアラビアのフットボール文化
サウジアラビアのスポーツはサッカーが一番人気だそうで、Wikipediaには下記のように書いてあります。
オラワ!オラワ!
実際にリヤドの街では「買い物をする時」「Uberに乗る時」「歩いている時」など、あらゆる場所でサッカー人気の高さに驚かされます。この時期にいる日本人は「オラワ(浦和)」と理解されており、街中では何度も「オラワ!オラワ!」と話しかけられます。「煽ってくるヒラルサポーター」「ヒラルを倒してくれと言ってくるアルナスルサポーター」「冷静に浦和との試合を分析してくる人」などが多数いるのです。街中だけではなく、空港の職員さんや仕事中の店員さんまでもが、オラワについて色々声かけてきました。
正当な煽り文化
「ヒラルサポーターが煽ってくる」と記しましたが、決して「不快な煽り」「腑が煮え繰り返るような挑発行為」をされるという事ではありません。「満面の笑みでのさわやかな煽り」「浦和サポーターとの交流を図るため」という印象で、みんなフットボールが好きなんだな、と感じます。スーパーマーケットで出会ったヒラルサポーターに「ヒラル5!オラワ0!」と言われ、友人が「ウラワ5!ヒラル0!」と返したときも楽しそうに笑っていました。
浦和レッズのオフィシャルTwitterに長年粘着してくることに対し、本当に怒りを感じているファン・サポーターもいると思いますが、実際に交流すると大きく印象は変わると思います。
日本では「煽り=悪」と捉えている人が多いように感じますが、これは正当なフットボール文化であり魅力のひとつだと私は感じています。
5. サウジアラビア遠征して思うこと
ここからは私個人の感想となるので、興味の無い方は読み飛ばしてください!
2019年のサウジアラビア遠征
私は2019年のACL決勝で初めてサウジアラビアに行きました。2017年は「現地に行く」という考えにすら及ばなかったのですが、サポーターの皆様が実際に現地に行く姿を見て「次は行きたいな」と思いました。そして2019年ACL決勝で再度アルヒラルと対戦することになるのですが、幸い2019年はサウジアラビアに観光ビザが発給されます。渡航しやすくなったという点も後押しとなり、無事現地に行くことができました。
この時、私は会社を辞めてサウジアラビアに行っています。有給を取って行くことができればそれがベストな訳ですが、当時勤めていた会社は「この案件のことは〇〇さんしかわからない」というのが慢性的に起きていたため長期休みを取ることが不可能でした。決勝進出が決まり、上司に「サウジアラビアで浦和レッズの試合があります。行きたいので辞めさせてください」と伝えました。後先考えずに仕事をやめましたが、なんだかんだ生きていけているので後悔はしていませんし、あの時会社を辞めて現地に行って良かったと今でも思っています。
サポーターとしての自覚と妥協
2019に現地の決勝に行って依頼「サポートする」という概念が変わりました。自分の中で「サポーターとしての自覚」が芽生えたように思います。海外アウェイは当然ながら埼スタよりも人数が少なく、一人一人が「できることをしなくては」という使命感に駆られます。私のような一般サポにできる事は「声を出す」「旗を振る」くらいですが、少しでも良い雰囲気を作るためにやれることをやろうと言う気持ちでやりました。
一方で、クルヴァの皆様には本当に頭が上がらないと痛感しています。「幕や旗の準備」「準備で一般サポより早くスタジアム入りする」「幕をどこに出すか・なにをするか考える」細かいところは私にはわからないので更なる苦労がたくさんあるとは思いますが、頭脳・体力・時間・精神を削ってくれていることは容易に想像できます。
このようなことをやれと言われても自分はできないので、少しでも試合中の雰囲気をよくできるように、せめて「声出し・旗振り」をしっかりやろうと思えるようになりました。クルヴァに入れない人にとって、浦和レッズに対して本気で向き合う良いきっかけが海外アウェイの魅力のひとつだと私は思います。
スタジアムでの"声"
今回、試合前や試合中に色々な声が聞こえました。選手の声ではなくサポーターの声です。記憶を頼りに書いているのでニュアンスのみになってしまいますが、印象に残ったのはこの二つ。
「気持ちはわかるけど、記憶には残るから写真やめましょう!」
試合前に言っていた言葉です。世の中にスマートフォンが普及し、いつでも写真が撮れる時代の中、浦和レッズのゴール裏は「試合中のスマホ禁止」など時代と逆行するような場所です。それでもやはり海外に来たら「記念に一枚…」となるかもしれません。この言葉で「何の為にここまで来ているのか」を改めて考えさせられました。
ホームでも、同じ気持ちでやりましょう。
「あげろあげろ!サウジまで来たんだろ!」
試合中に聞こえた言葉です。試合中は「気温・乾燥・疲労」で倒れそうでした。もっと倒れそうな人はたくさんいたかと思いますし、実際に倒れた方も目にしました。そんな中、サポーターを煽る言葉として、この言葉を耳にしました。その瞬間「この90分のためにサウジまで来てるんだ」と改めて自覚し、より熱が入りました。
この他にも色々な言葉が飛び交っていて、どれもポジティブにさせてくれる内容でした(が、言葉を覚えていません笑)。用意してきたセリフではなく、その場で自然と出た言葉というのことに色々グッときました。
若者よ、行けるなら行っとけ。
皆それぞれ事情はあると思いますが、行けるなら若いうちに海外アウェイに行った方が良いと思います。価値観が変わりますし、良い経験になります。そもそも「サウジ行きたい」というのは浦和レッズを応援しているからこそ考えられること。JリーグのクラブでACL決勝に行くことができるクラブはどこなのか、というのは歴史が物語っています。
ビザの関係で20歳未満は少々困難ですが、お金さえあればほぼ無条件でいける20歳以上の大学生は一番行ける時だと思いますので是非とも前向きに。
就職後は、長期休みが取れる会社ばかりではありませんし、体力のピークも徐々に落ちてくるため弾丸スケジュールや長時間フライトなどでも無理が効かなくなってきます。
「お金ないよ」っていう方もいるかもしれませんが、ご両親に借りるなどしてでも行く価値はあると思います。(親以外に借りるとトラブルになるから注意!)
少なくとも本気で現地に行くために、ギリギリまでスケジュールや費用などを考える価値はあります。考えているうちに「あれ?本当に行けるかも…?」となってくるかもしれません。
6. おわりに
明日は一人一人が自分ごととして全力でやりましょう。