第二部 私案「新移民・帰化制度」~(1)日本を守るための新移民制度
これまで、日本の帰化行政や民法、永住制度の不備を指摘してきたが、それらをまとめて、新時代の移民制度を提案したい。
新移民・出入国制度のコンセプトは、不逞外国人の潜入を防ぎ、日本を守ることである。筆者は法律の専門家ではないので、他の法律との整合性の問題などは考えていないが、抜本的に移民及び出入国の制度を見直すための素案ということでお読みいただきたい。
この私案では、非移民3種類、移民2種類、そして帰化の制度を定めることとする。商用ビザ、学生ビザは、移民に直結しないので考慮していない。
それではひとつ一つの項目について、見ていこう。
①短期滞在の観光ビザ及びビザ免除
原則的に現行の制度を踏襲するが、ビザ免除の国を精選する。
3か月以内の滞在の観光客に原則として観光ビザを発給する、親族訪問、家族の看病・介護など、特別な理由がある場合のみ、6か月以内の滞在を認める。
アメリカなど、日本人に対して観光ビザを免除している国の国民に対しては、同様に3か月以内の滞在の観光客にのみビザを免除する。それらの国であっても、3か月以上の滞在の場合には、ビザ申請を必要とする。一旦国外に出た場合、事前に再入国申請がなければ、1か月以内の再入国を禁止する。
就労は特別の場合を除いて禁止し、事実が発覚した場合には即時自費、或いは国籍を持つ国の費用で国外に追放し、雇用者には懲役を含む厳しい罰則を定める。
中国、韓国、北朝鮮、ロシアなど、日本と係争関係にある国や、国連等の制裁の対象になっている国の国民には、ビザ免除は絶対に行わない。逆に国交はなくても、親日的である台湾の国民にはビザ免除を行う。
②労働ビザA(単純労働ビザ)
労働力不足が深刻になることを踏まえて、これを新設する。しかし、前述の、係争関係にある国の国民には、原則としてビザ発給は行わない。職場での不当な外国人差別が起こらないように、雇用条件は厳しくする。また、優秀な人材は③に移行できるように、研修や技能審査などを雇用主の責任で行う。
ビザ申請者は、20才以上で、当該国の義務教育を修了し、日本政府が行う日本語試験を受け、一定以上の水準をクリアしなければならない。不法滞在を防ぐために、家族にはビザを発給しない。さらには、HIVや肝炎などのウイルス検査を受けさせ、本国にいる5親等以内の家族を含め、犯罪歴の有無を精査した上で発給する。
1年ごとの更新で、最長3回の延長を認める。不正に取得した場合には、もちろん、即時国外追放とする。
③労働ビザB(技能労働ビザ)
現在の就労ビザと基本的に同じ条件とする。②からは技能審査によって、これに移行申請することができる。
配偶者と未成年の子供には、本人の滞在許可期間に合わせて、家族用の滞在ビザが認められ、配偶者には別に労働許可証を申請することも可能とする。
3年ごとの更新で、最長33回の延長を認め、それ以降の滞在希望者は、④の申請を認める。
④長期滞在ビザ
すでに③を持って3回ビザを更新している者や、すでにこのビザを持っている者の配偶者と2親等以内の親族以外の申請は認めない。5年ごとにビザを更新しなければならないが、何回でも更新可能とする。
また、難民や亡命者と認められた場合、審査の上このカテゴリーで受け入れる。
しかし、これを認められた者であっても、取得後に犯罪に手を染めたり、不正に申請した事実が発覚したりした場合には、国外追放とする。
現行法の一般永住者は、申し出により新法で自動的にこれに移行する。申請しないものは3か月の期限で国外退去とする。
⑤永住権(日本版グリーンカード)
原則として、④で合法的に10年以上滞在している者が申請可能とする。日本人の配偶者の場合、配偶者の戸籍に婚姻の事実が記載され、尚且つ、本国発行の結婚証明書がある場合には、即時申請を認める。実子については親の申請と同時に、婚姻前の未成年の子供については、5年後に認める。
最初の10年は1年ごと、それ以降は10年ごとに更新する。選挙権がないこと、公務員になれないこと、裁判員になれないこと以外は、全て日本国民と同じ権利を認め、義務を課す。但し、憲法上の国民とは解釈しない。
3か月以上の無許可で海外に滞在した場合、国内外で禁固以上の刑罰を受けた場合は権利を剥奪し、国外追放とする。日本で懲役を受けた場合には、服役後に即日国外退去とする。軽犯罪の場合、3回目で国外追放とする。
特別永住者は新法で自動的にこれに移行するが、希望者には特別に帰化申請を認める。
⑥帰化
グリーンカード取得後、5年以上経過した場合、書類審査、筆記試験(国歌の歌詞を漢字混じり文で正しく書く試験と帰化試験)、さらに面接試験(国歌斉唱試験を含む)に合格した者に認める。日本国旗とご真影の前で宣誓をした上で国籍(戸籍)を与える。
戸籍には永久に帰化の事実を記し、転籍しても記録は残す。国籍取得以前の犯罪歴や、申請時の不正が帰化後に発覚した場合、国籍を剥奪し、本国へ送還する。
以上である。もちろんこれを実行するためには、民法や国籍法以外にも、様々な法改正が必要だ。仮令そうでなくても、政府にこんな大胆な改革ができるとは思えないが、「日本は日本人だけのものではない」と言うような、頭のおかしい政治家がいる時代である。国民自身が、国を守るために真剣に考え、問題提起する必要がある。それ故に、敢えてハードルが高い改正案を提示した次第である。
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