夕焼けと記憶
夕焼けを見ると、無性に写真を撮りたくなるのは、スマホを持ち出した高校生の頃から変わらない。この写真は、わずかばかりの残業に追われた、仕事の帰りがけに撮ったもの。職場の駐車場で、誰に見られている訳でもないのに人目を気にして、さりげなく撮ったものだからうまく撮れなかった。こういう小ささは、我ながら好きじゃない。
でも、たったこれだけの夕焼けで感動して、一日の仕事の疲れが少し吹っ飛ぶ心を持てている状態の自分は、嫌いじゃない。
残業をしてもまだ明るい世界に体を放り出せるのは、この時期の特権だと思う。もうとっくに夏至を過ぎているはずなので、これからどんどん日は短くなっていく。
今日は高校生の頃から撮り溜まった夕焼けフォルダを、少し公開してみたい。
1.始めての夕焼け
高校一年生にして、家から見える夕焼けに魅せられて、握りたてのスマホで初めて撮った夕焼け。当時は電線に刺さっている感じもイイと自分に酔っていた気がするのを無性に覚えている。今見れば、被っていない方が綺麗とも思うけれど、これはこれで、当時の気持ちを思い出して好きな一枚。
2.夕焼けと帰り道
これも高校生の時の一枚。高校からすこし遠回りして帰るときの道から見える景色だけれど、いったいどういう経緯で遠回りしたのかは全く覚えていない。ただ、スマホに記録された撮影した時期が、ちょうど部活動に悩んでいた時期だったので、もしかしたらこの景色を見て、少し癒された自分がいたかもしれないと思う。
3.励ましてもらった夕日
これは、よく覚えている。相変わらず高校時代。当時受けた部活動の昇段審査に落ちて、どうしようもなく落ち込んだ帰りがけに撮った一枚。落ち込んでいるのに皮肉なくらい空も、空に浮かぶ夕日もあまりにも綺麗で。気づいたらスマホを構えていた。話はそれるけれど、1枚からこんなにも鮮明に当時を思い出すのだから、写真は不思議だ。今振り返っても、撮って良かったと心から思える1枚。
4.故郷を感じて
これは大学に入って故郷を離れ、一か月も経たないうちに5月の連休で帰ってきた時の夕焼け。あまり綺麗には撮れていないけれど、当時にしたら冒険の1か月から帰ってきて、夕日に故郷を感じて撮ったのかもしれない。相変らず電線が突き刺さっていて笑える。
5.東京の夕焼け
大学時代、一人暮らしをしていた近所の、同じ川に架かる橋から撮った2枚。東京でもこんなに綺麗に夕焼けって見えるんだなあと、夕暮れ時に橋を通ったときはたびたび写真を撮った。当時よく聴いていたback numberの『東京の夕焼け』と、BUMP OF CHICKENの『東京賛歌』を思い出す。東京にしては田舎街だった第2の故郷は、今でも帰りたい場所になってくれた。それが嬉しい。
6.甲子園と夕焼け
甲子園にプロ野球を見に行った時、ナイターゲームが始まる前の様子。今から試合が始まる高揚感にも負けず、夕日を撮りたい欲が出てくれた。ここでもやっぱり、綺麗だった。
7.雪と夕焼け
もはや夕焼けというよりは夕日だけれど、これは雪国で育っていない自分にとってはレアな光景だった。まず雪が残るということ自体が珍しい。加えてこんなにも綺麗な夕日をみせられたら、立ち止まって撮らない選択肢はない。この時は確かアルバイトの帰りだった。立ち仕事で疲れた体は、きっと回復したに違いない。
8.海外の夕焼け
人生でたった一度だけ行った海外での夕焼け。阻むものが何もない地平線に沈んでゆくであろう夕日はあまりにも逞しく、大きかった。でもやっぱり綺麗なのは日本で見るのと変わらなくて、世界のどこにいたって綺麗な夕焼けは見えるんだなんて当たり前かもしれないことを、この身で感じてきた。
一部だけど、これが私の夕焼けの記録だ。夕焼けというよりは夕日みたいなのが半分くらいあったけれど、、
こうして写真に残したことで、当時の記憶がよみがえるというのは何とも言えない懐かしい気持ちになる。そしてそれが夕日と紐づいているというのも面白い。これからも、綺麗な夕日はスルーしないで写真におさめたい。何より、そう思える心を、失いたくない。