Ancestorsがヤバい。
Ancestorsというゲームがある。
『Ancestors The Humankind Odyssey』(邦題:アンセスターズ:人類の旅)
Panache Digital Games,Private Division
このゲームは大雑把に言えばサルがヒトに進化していく過程を体感するアクションアドベンチャーだ。
プレイヤーが操作するのは現生人類に至る前のサルたちで、彼らを進化に導くイベントを発生させることでゲームを進めていく。
このゲームは、難しい。
それは操作面や敵の強さというよりも、言語による説明がないのだ。
これは不備ではなく意図的にそうしたデザインとなっていて、それが難しいと思うプレイヤーの為に説明を増やす救済策も用意されている。逆に画面上の操作説明をすべて消し去ることもできる。
アフリカの地にて進化への旅がはじまる
まずはじめに子ザルとして恐ろしい世界にぽんと放り出され、そこからなんとかして群れのもとへとたどり着かねばならない。
サルの一群のうち、一頭with子ザルを操作していくが、太古の大地で生き延びることはなかなか厳しい。一族がすべて死んだとき、このゲームは終了する。
飢え、毒、闘争、恐怖。さまざまな苦難を乗り越えつつサルたちは身体的な経験を積んで、脳の能力を拡張し、進化を遂げていく。
「ヒト科の動物に、ホモ・サピエンスになる方法を教えるつもりで行動しましょう」とポーズ画面で表示されることがあるが、まさにそのとおりで、彼らははじめ両手で何か持つことすら知らない。
捕食される危険から身を遠ざけ、よく食べ、よく眠る。
周りにあるものを利用して、簡単な道具が使えるようになる。
小さな変化が次の世代に受け継がれ、徐々に現生人類に近寄っていく。
ニューロンの発現が彼らを進化させる。
その方式はゲーム慣れした人にとってなじみ深いスキルツリー方式※だ。
※スキルツリー:得られる能力を枝分かれさせて配置し、経験値などに応じて徐々に開放させる方式
旅の途上、多くの氏族が命を落とす。
危険に満ちた森で出くわすトラ、沼に潜むワニを前にヒト科は無力だ。
なにより、カワウソは恐怖の対象だ。
現代ではかわいいウソとか、吉岡聖恵とかいわれたりしているようだが。
騙されるな!
この地に住まうカワウソは獰猛な海獣である。
ヒト科ホミニダエを襲うカワウソをとらえた貴重な1枚。
この光景を目撃して自分はカワウソという生物への認識を改めた。
やつらは危険だ。
もし中新世アフリカに行くことがあれば、まず水辺には近づくことはしないだろう。
さて。
『Ancestors』はヤバいゲームだ、と思った。
でもヤバい理由を見いだせていないし、じつはまだクリアできていないのだが、それでもこのゲームについて「ヤバいな」という衝動を書いておきたかった。
このゲームは自分が遊んだ限り、革新的なゲームといったものではない。
また、現実感ある描写にこだわって作られているものとも違う。
前述したニューロンの成長のように、ゲームをある程度遊び慣れた人にとってはどこかで見たような要素や、明らかにサルの体躯と不釣り合いな細い枝の上で睡眠をとれてしまうなど、いかにもゲーム然としたその姿は古臭く感じる人もいるだろう。
2019年にリリースされた現代的なグラフィックを持つオープンワールドゲームではあるが、どことなく2~30年前のゲームを遊んでいるような、そういった不親切さと探索のよろこびが味わえるゲーム、それが『Ancestors』だ。
Ancestors公式ページ(英語) https://ancestorsgame.com/en/
今後もプレイを進め、また書いてみたい。
欄外:このゲームをやっていて思い出したゲーム
・『SEVENTH CROSS』
(ドリームキャスト/1998年/NEC)
ある惑星を舞台に、小さな生物から徐々に進化していくゲーム。
Ancestors以上に色々なことがわからない状態で進めていくゲームで、気付いたら進化していた、ということもよくある。
Ancestorsではカワウソの脅威を思い知らされたが、このゲームではカニの強さに恐怖した。
・『キングスフィールドⅡ』
(プレイステーション/1995年/フロムソフトウェア)
一人称視点で孤島を舞台に進むファンタジーRPG。
水面に落ちて死に、巨大なイカに襲われて死に、よく死ぬゲームでもある。Ancestorsで捕食者に食い殺されるたびにこのゲームのことを思い浮かべてしまった。何回も死につつ、プレイヤーがいろいろと試して進めていく雰囲気もすこし似ている。
↓ちょっと思い出したゲーム
・『ゼルダの伝説』
・『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』
・『SIMPLE2000シリーズTHE原始人』
・『太陽のしっぽ』
みんなも『Ancestors』やろう。