令和に購入できるイメージエポックタイトル(2024年版)
先日、ライターのカワチ氏主催のYouTubeチャンネル「カワチたちの夜」にて、ゲームメーカー「イメージエポック」について語る会に参加した。
イメージエポックは2005年に合資会社として設立し、翌年株式会社化。2000年代後半から2010年代中期にかけてさまざまなRPGを開発したが、2015年に破産した。
同社は2010年11月に行ったいわゆる「JRPG宣言」が語り草になっている。
「JRPG宣言」とは同社発の作品製作発表イベント内で行われた宣言だ。その内容を簡単に言うならば「いま(2010年周辺)日本製RPGは苦境にある。しかしイメージエポックはRPGに可能性があると信じて製作する。」といったものになる。
これは、あえて「JRPG」という言葉を選ぶことで日本製RPGの立ち位置を明確化し、印象付けを行うキャンペーンだった。以後、この「宣言」に則り、自社パブリッシュのRPGがリリースされていった。「JRPG」という言葉はこの宣言以前から、おもに日本国外で存在したといわれる。同キャンペーンの中で提示されたこの言葉に含まれる「否定的な意味合い」という認識は、当時日本の一定のプレイヤーの内面に漠然と存在した日本製ゲームの凋落ムードに少なからず結びつき、「JRPG」という言葉をある程度広める契機となった。
今回の放送内容も、この「JRPG宣言」をもとにイメージエポック開発のRPGやその特徴、当時のRPGの状況などを振り返り、「宣言」と同社のスタンス、そしてかつて在籍したクリエイターの現在について語り合うものとなった。
さて、そんなイメージエポックだが、現在存在しないメーカーということもあって購入できるタイトルは限られる。この記事では私が現状ダウンロード版を購入できるタイトルを調査してまとめた。これから遊びたいという方は参考にされたい。
Fate/EXTRA
Fate/EXTRACCC
セブンスドラゴン2020
セブンスドラゴン2020-II
クリミナルガールズ
『クリミナルガールズ INVITATION』
なお、『クリミナルガールズ INVITATION』はSteam版も販売されている。
こちらは海外版をベースにしており、本作の特徴である「おしおき」の表現にオミットされた点があるようだが、現在はModの導入によってVita版と同等の表現にすることができるようだ。
以上6タイトルが現在購入可能なイメージエポック開発作品だ。なお注意点としては、PS Vita用Playstation Storeを使用して購入する場合、五十音順リストやメーカーリストでは表示されないことがあることに留意してほしい。このため、目当てのタイトルを探す際にはそれぞれのタイトル名を入力するのが確実な方法だ。
今回の放送と販売タイトルの調査に際してわかったことがいくつかある。
まずイメージエポックの自社パブリッシュ作品は入手が困難であるということだ。ニンテンドー3DS向けeショップが終了した現在、イメージエポックの活動期からダウンロード販売が行われているコンソール向けストアはPS Vita用Playstation Storeのみだ。PSPで展開されたイメージエポックタイトルは数多く、上記リスト6タイトルの大半もPSPが占めている。
同社の「JRPG宣言」プロジェクト第一弾である『最後の約束の物語』をはじめ、自社パブリッシュタイトルは軒並みダウンロード購入できないことは、放送を終えてみて残念に思えることだった。
一方で、他社からの開発受託や、他社パブリッシュでリリースされたタイトルも数多かったからこそ、上記6タイトルがいまだに生き残っているともいえる。現在購入可能なタイトルはマーベラス、セガ、日本一ソフトウェアと3社に渡る。さらに購入不可なタイトルまで目を移せば、カプコンの『ラストランカー』、バンダイナムコゲームスの『時と永遠~トキトワ~』なども存在している。
放送内でも触れたことだが、同社が手広く各パブリッシャーと手を組み、開発を行っていたことを改めて窺い知れた(それゆえ現場の開発規模を超えてしまったのかもしれないが)。
とはいえ、PS Vitaももはやレガシーなものになっており、上記6タイトルもいつまで購入できるかわからない。継続こそされたものの2021年に一度はPlaystation Storeが終わりかけたこともあったし、ことしの4月25日にはPS Vitaのアフターサービスが終了する。これらのタイトルが今後、入手困難になるのはほぼ確実だろう。
このリストがどれほどの人に役に立つかはわからないが、イメージエポックを知ろうと思っている人や、改めてプレイしておきたい方々の一助となれば幸いだ。
同社は「JRPG」という言葉をあえてネガティブに捉えられていると喧伝したうえで、肯定的にしていこうというステートメントを掲げていたが、2024年現在、「JRPG」という言葉は国内でゲームに携わる人々にある程度認知され、日本のみならず海外においても概ね好意的に受け止められている印象がある。
日本製のRPGとしては『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』が2017年に古典的なターンベースの作りながら海外でも高い評価を得ているし、「HD‐2D」という手法を確立した『OCTOPATH TRAVELER』、『二ノ国』などのレベルファイブのRPG、果ては『崩壊:スターレイル』、『Sea of Stars』といった「海外製JRPG」とでもいうべきもの、そしていま最大の話題作といえる『FINAL FANTASY VII REBIRTH 』など、その豊饒ぶりは横溢せんばかりだ。
イメージエポックの活動期と重なるゲームにしても、3以降スタイルを一新させた「ペルソナ」シリーズや『ゼノブレイド』といった現在まで続く人気タイトルも存在する。こうした点で「JRPG宣言」というプロジェクトはいささか期を逸していたのかもしれないし、同社代表取締役であった御影良衛氏のRPGに対する思想が色濃く出ていたものだったように思える。とはいえ、イメージエポックが「JRPG」という言葉を用いて、ある程度日本製RPGの自意識の確立を促したことや、自らRPGの形態や姿勢を問おうとしたことに対し、放送に集った私たちは惹かれたのかもしれない。
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(2024/3/20)
(2024/3/21脱字修正と一部追記)
以上で記事は終了です。
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