もう推し作家の作品読みたくない
お気持ちというより巨大感情なんだと思います。
限界オタクの独り言です。
私は山川方夫という作家がめちゃくちゃ好きだ。
これはだいぶ色んなところで色んな人に話しているやつだ。
私の創作小説を読んだことがある方はなんとなくわかるかもしれない。
そういう感じだから。
出会ったきっかけは義務教育中(タイミングは忘れた)の国語の教科書に載っていた名作「夏の葬列」だった。
読んだことがある方はわかるだろう。
読んだことがない方は青空文庫へ行こう。
あのストーリー展開。あの追体験が容易な描写。
今以上に触れた作品数が少ないあの時代、「同じ季節かつ同じ空間なのに主人公の感情の揺らぎによって印象が変化する」みたいな文章は本当に新鮮だった。
ずっと「人間」が好きだったのもあり、元々歪み気味だった趣味もこれがきっかけで完全に歪んだ。
国語の教科書を配られたその日に家で読み、「夏の葬列」を読み終えた瞬間の心が震えるような心地は忘れられない。
あれ以来私は、青空文庫をフル活用しつつ山川方夫の作品を読み漁った。
そう。
青空文庫だ。青空文庫に収録されているのだ。
つまり、著作権が切れている。
山川方夫は、没後50年(改正著作権法適用範囲外)の作家だった。
でも戦後とか経済成長期の話も書いてるじゃん。
30代で事故死してました。
マジで無理。
新作がこれ以上増えないのに、いくら筆が速い短編作家でも後期高齢者になるまで生きた作家と比べたらそもそもの総数が少ないだろうことが無理。
あと全集全巻セットが見た感じ絶版してたのも無理。
Kindleじゃなくて物理で欲しいんだ。誰かわかってくれないか。
好きなアニメの最終回とか、キャラが9割方死んで終わる作品とかであってもなんだかんだ諦めはつく。
一応物語にケリはついたし、本当に終わりがしんどかったら自らの手で二次創作をするぐらいならやれるからだ。
作家の死は完全に無理。
毎日食べてるレベルで好きなお菓子の終売と同じだ。買い占められるからこっちの方がいいかもしれない。本は賞味期限がないとはいえ、初見の感情は一度きりだから。
でもまだ、今のところ多分読んでいない作品があることを把握している。
「もう読んだことない山川作品がない」という絶望に陥りたくなくて、常に最低一作は青空文庫に未読作品を残しているからだ。
本当に有難いことに現在進行形で山川作品は青空文庫に日々追加されており、おかげでまた一作読むことができる(でもそれはそれとして物理本は見かけたら買うし図書館で借りはする、そして未読のストックは大幅に減る)。
でもいつか終わりは来る。
このままだと永遠に読めない一作が爆誕してしまう。
いくら文章の模倣が上手い人が現れたって「似て非なるもの」でしかない。
他の文豪にも言えることだが、あの物語とあの文章を兼ね備えた人はその当人しかいない。AIのべりすとは置いておく(限界になっているこのタイミングでもし完全な模倣をされたら情緒がめちゃくちゃになりそうだから)。
私はこれからどうすればいいんですか。
呻き苦しみながら全作を読破しなきゃいけないんですか。
私はもう夏になれば「夏の葬列」が、冬になれば「煙突」が、個性とかを考える時期は「お守り」、ノスタルジックな気持ちになれば「未来の中での過去」が頭によぎる……みたいな感じの人生にさせられているんですよ。
なんであなたは没後50年ちょっと経ってからも多感な子供を狂わせるんですか。2月20日没って一昨日じゃないですか。この間じゃないですか(57年前)。
誰か助けてください。飢えた怪物になりたくないんです。
なんかこう……雰囲気が似てるとかでいいんです。もう全然。
小説でなくてもこの飢えを多少満たせるストーリーとかテイストがあれば飢えはしのげるので、誰かそういった作品があれば教えてください。
この哀れな人間を助けてください。
あわよくば山川作品を読んでください。共に苦しんでください。
私はもう欲望のままに未読の山川作品を既読にしてしまうのが怖いんです。
次に似たような話をするとしたら多分、山川作品の完全読破にまた一歩近づいてしまった時だと思います。
よろしくお願いします。