見出し画像

【日記】これがガストロノミーなのか

 目の前の物事には必ず意味がある。
 その事を努努ゆめゆめ忘れてはならない。

 我々は、食事をする時、
 出された料理を俯瞰で眺める。
 大抵の人間はその際、
 美味しそうかそうでないか、
 どんな食感でどんな味か、
 感覚的に捉える。
 そして、綺麗に盛り付けられた食材を、
 崩して口に運ぶ。

 私もそう言った人間の一人である。

 しかし、それでは最大限に、
 皿の上の料理を楽しんだことにはならない。

 大切なのは意図を見いだす事である。
 料理に対し経験も知識もほとんど無い私は、
 その事を先日強く学んだ。
 コース料理の店で、友達と食事をした。

「皿の上のソースって食べるの?」

「当たり前でしょ」

「え、、っと。どうやって」

「この纏まって盛り付けられている魚と野菜を一緒にフォークで刺して、そこにナイフでソースつけて、口に運ぶの」

「ほう。確かにうまい。ソースも必要だったんだな」

「何も知らないんだね。あと、少なくとも美味しいって言って。言葉遣いが悪いです」

「そうか。皿の上の盛り付けには、シェフの意図が込められているんだな。共に食べて欲しい食材は近くに纏めて配置されていたり。崩れやすい食材があるならば、共に刺して食べるために硬めの食材があったり。各ソースと食材の相性も非常に考えられている。美味しさ、食べやすさ、見た目の良さ。それらが一皿に詰まっているんだな……。今の今まで、気づかなかった」

「う、うん。良いんじゃない。なんだか理解し過ぎな気がするけど」

「そして意図を理解すれば、手際良く料理を口に運び、綺麗に完食できるというわけか。素晴らしい」

「そこまで教えたつもりないけど、まぁいいか」

 これからは全ての食材とシェフに、
 感謝を込め、
 その上で意図を感じ取って、
 料理をいただきたい。

 あと、美味しいって言いたい。

いいなと思ったら応援しよう!