アジャイルチームによる目標づくりガイドブック
5月か6月だったかに予約したアジャイルチームによる目標づくりガイドブックがやっと届いて、読み終えた。
翔泳社のこのシリーズはずっと読んでたので楽しみしてた。
この本は、OKR(Objectives and Key Results)を題材にアジャイルチームの目標づくりについて書かれた書籍です。
よくある目標管理といった部分ではたくさんの本が出版されているが、かなりチームに状況を題材にアプローチの仕方などが書かれており、個人的に気に入りました。
また、参考書籍なども書かれており、読んでいない本などもピックアップされているので派生で読んでおくとより理解が深まります。
Forkwell Library のイベントのスライドも上がってるので、ざっくり読んでおくと本書の理解がさらに深まりました。(リアルにイベントやカンファレンスにいってみたかった。。)
OKRとは?
OKRとは、「Objectives and Key Results」 の略で、目標の設定・管理方法のことを指します。
インテル社から誕生して、GoogleやFacebookなどの企業が取り入れています。
目標管理で有名な方法として、ピーター・ドラッガーの提唱した MBO(Management by Objectives)があります。
OKRは、このMBOを元に作られたようです。
目標設定をうまく機能させるために2つの質問を定義したのが OKR です。
HIGH OUTPUT MANAGEMENT 人を育て、成果を最大にするマネージメントで以下のように書かれている。
MBOは、組織の目標に合わせて、個人の目標を上司と共有してスキルアップ・生産性向上につなげて100% の達成を目指して行動する。
OKRは、組織の目標と個人の目標をリンクさせて、組織全体で達成に向けて行動する。
個人の目標よりもチームや組織として成果を出すことに意識した目標設定フレームワークのようです。
MBOとは異なり、OKRでは 70%が理想達成度のようです。
しかし、本書の Q&A にも書いてるように 70%を目指すものではなく、100%達成を本気で追い求める点にあるため、常に達成にむけて全力で取り組み姿勢は必要です。
個人と組織で、目標をリンクさせるのは納得できた。
個人と組織がかけ離れた目標では、チーム全体で生産性や目標を達成できない。きちんとリンクさせて各自の目標がチームにとってのプラスになるように考えた目標設定が重要だと感じた。
お互いを知ろう
目標を決める前にすることは、まずはチームでお互いを知ることが大切です。
経験からわかるように、所属したばかりのチームメンバーのことをよく知らないままで物事は決められない。
相手のことを知らないことにより、なぜこの話しをしているのだろうという憶測が読んでしまい、間違った方法に進みかねない。
まずは新しいチーム・新しいメンバーが入ったとき等の節目節目にお互いを知る機会を設けることが大切だと改めて感じた。
ジョハリの窓といったコミュニケーションにおける自己開示のあり方の分析ツールなどを使って、偏愛マップを作ることで話しの話題や感じ方考え方の意思疎通が高くなると感じた。
本書で書いてた偏愛マップという教育学者の斎藤 孝 さんが提唱した言葉を知った。
なんとなく相手のことを知るときに、このひとはこの分野・このジャンルが好きなんだと思いつつ会話を始めることを意識してた。
脳内でこのマップのようなものは持っていたけど、相互理解していくために可視化は大切だと感じた。
好きなドラマ・アニメといった普段この人がなにが好きなのか・どのような話題で話したほうがスムーズに入り込めるか最初の一歩として使えると感じた。
なんとなくお酒の話しをしたら、そのあとすごく仲良くなれたとかそういうことなんだろうと思う。とくに体験したことがあるから偏愛マップは活用したい。
インセプションデッキを同期させる
プロダクトやプロジェクトでは、各自の意見をもって共通認識を作り出すための大事な質問のこと対話のためのインセプションデッキを用意しておく。
インセプションデッキという形で整理はしたことがないが、共通認識という点においては、ドキュメントに近いのかなと感じている。
だれがどの担当なのか。プロジェクトやプロダクトではこの共通認識を整理・見える化は必要だと思った。
インセプションデッキは10個の質問の構成になっている。
われわれはなぜここにいるのか?
顧客はだれか。なぜこのプロダクトに取り組むのかの背景や目的を揃える。チーム全員が「なぜ」を理解することで、チームの認識を揃える
エレベーターピッチ
プロダクトを知らない人(外部の人)向けに、簡潔に説明できるための資料
パッケージデザイン
商品パッケージのようにチーム全員が顧客の販売フローまでを明確にすること
「ご近所さん」探せ
チームメンバー・ご近所さんとなる顧客や営業などプロダクトに関わる関係者の関心事を明らかにすること。
やらないことリスト
何を取り組み・何を諦めるかを明確にすること
トレードオフスライダー
何を諦めるのかはっきりさせること。不測の事態に対して何を使って調整するか明らかにする
技術的な解決策
実現手段のアーキテクチャ構成を考えて、技術的な課題があればそれらを明らかにすること
期間を見極める
チームとの調整するために、何をいつまでに実施するか大まかなスケジュールを明らかにする。アジャイルの場合は、半年区切りで計画を立てる
何がどれだけ必要か
プロダクトのゴールとそれに伴うために必要なスキルや技術・金額を明らかにしてチームメンバーと知識を揃える。必要に応じて学習が必要。
この項目をまとめるにはかなり時間がかかるため小さく初めて1〜2時間程度で項目を絞って作成するといったことが書かれていた。
一気にやるとたしかに時間がかかることだから、やはり小さく時間を区切って絞った範囲を埋めていくことがチームにとって有効のようだ。
インセプションデッキは、出来上がったものも大切な成果物だがそれらを作り上げていく過程も重要になってくる。
長いプロジェクトでは、初期メンバーも異なる場合もある。そのときの石碑のインセプションデッキではなく常に新しい人との価値観を照らし合わせて変えていくようにすることが大切。
途中から入ったプロジェクトに入ったり、初期から入ったプロジェクトにも関わったことがあるからわかる。常にアップデートは必要だと改めて思った。
木こりのジレンマ
斧を研いだほうがいいですよの逸話。
チームで余白をもって、業務時間内での自己研鑽の場を設計する。
この考えは本当に大事だと思ってる。
仕事は、勉強をする場ではないというのは理解してるが、研いでない道具で仕事ができるのか?というのは自分は思ってること。
それがプライベートを犠牲にしてやる必要だという風習はたしかにあったけど、業務としてプラスになるのであればどんどん業務時間内で自己研鑽できる環境を作るべきだと思う。
それが会社や組織・チームにとって利益になるのだからと思ってる。
失敗することに成功する
「失敗は成功の母」ということわざがあるように、スタートアップでは誰よりも早く多く失敗することを奨励される「Fail Fast」という言葉がある。
エジソンが好きな自分なので、「失敗すればするほど成功に近づく」という言葉あったので記憶に残った。
失敗の数だけ経験となり、同じ轍を踏まずに成功へ進むことができる。
プログラムでも同様に失敗の数ほどよい設計に近づいていけると信じてる。
ただ人なので、失敗は怖い。失敗を恐れない環境づくりがチームにとって必要だと改めて感じた。
まとめ
この本は、これからアジャイルで目標づくりをするために必要に応じて見返す本だった。
ほかにも開発生産性だったり、チーム開発でおきるうるイベントで必要になる言葉・マインドが詰まっており個人的に何度も見返す必要な本だと感じました。
他シリーズのアジャイルプラクティスやSCRUM Master といった本も改めて読み直して、知識の整理をしておこうと思いました。個人的に読みやすくて経験したことも照らし合わせて読めた本でした。