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<弘法山>伸ばし続ける、どこまでも
縦横無尽に張り巡らされた木の根をみると、生命力というものを感じずにはいられない。
生きるのに不可欠な栄養と水を得るために、木は根を張る。
どこまでも、どこまでも。
どんな鋭利な刃物や最新鋭の弾丸でも貫けない硬い大地を、こじ開けるようにして根を伸ばし続ける。
理由は単純で、生命維持に直結しているから。
貪欲さが生存競争に勝つ大切な要素。
ちょっとよろしいですかなんて人間みたく遠慮なく、だ。
がめつくなければ、生きていけない。
他の植物になんて構いっこなし。
我先にと自分だけの領地を拡大していく。
雪が吹き荒び、嵐が襲う。
生きる環境は優しくない。
きっと数多の死の危険があったはずだ。
それでも枯れ死ぬことなく、今に至っている。
僕は大きな木に、そっと、触れる。
この木のわずかしか生きていない自分と比べて、なんと長い時間を生き抜いてきたことか。
見上げて、ただただその逞しさに感嘆の想いを抱く。
生命力、何が生きさせ、長らえさせるのか。
人間なんか到底司ることはできない、自然の生死。
これからも、根を伸ばし続けるだろう。
どこまでも、どこまでも。