20230505学習ノート『三つのインタナショナルの歴史』第2章
20230505
ウィリアム・Z・フォスター
『三つのインタナショナルの歴史』
【第2章 科学的社会主義】
[共産主義者同盟と『共産党宣言』]
カール・マルクスは、1818年5月5日、プロイセン、ライン州のトリエルに生まれた。
ボン、ベルリン、イェナの大学で教育を受け、1841年に哲学博士の称号を得た。
学生時代はヘーゲルを研究し、卒業とともに政治活動に飛び込んだ。
1842年、24歳の時、急進民主主義新聞『ライン新聞』の主筆となった。そのころ、プロイセンの貴族の娘、イェンニー・フォン・ウェストファーレンと結婚した。エンゲルスと出会ったのもこのころだった。
エンゲルスは1820年9月28日、プロイセンのバルメンで生まれた。紡績工場主の父親は彼に実業で身を立ててほしいと考えていたが、エンゲルスもマルクスと同じように革命運動に没頭していった。1843年にイギリスに渡ると、チャーティストやオーウェン主義の運動に参加するようになった。1844年にパリでマルクスと再会した。
ここから、2人の素晴らしい協力関係が始まった。
1846年2月、マルクスとエンゲルスは「共産主義通信委員会」を結成し、隣接する国々で共産主義の宣伝を行った。更に、パリ在住の正義者同盟の人々とつながりを持ち、1847年の夏、「共産主義者同盟」を結成した。これが、共産主義の最初の国際的な組織であり、のちの国際労働者協会(第1インターナショナル)の先駆となった。この同盟は、主にロンドン、パリ、ブリュッセルの亡命労働者と知識人でできていた。1847年11月29日から12月8日まで開かれた第6回大会で規約と綱領ができ、この時に組織がしっかりと固められた。この綱領の起草はマルクスが担当し、エンゲルスとともに作成に当たった。これが、一般には『ザ・コミュニスト・マニフェスト』と呼ばれる『共産党宣言』である。『共産党宣言』は、労働者に、資本主義のもとで自らを守る道を、そして資本主義体制を廃止する道を、さらに、新しい社会主義社会の組織を建設する道を教えた。
[階級闘争]
階級闘争についてのマルクス主義の根本的な立場は、抑圧するものと抑圧されるものとは常に対立し絶え間なく戦ってきた、というものである。自由民と奴隷、貴族と平民、領主と農奴、ギルドの親方と職人、こうした「抑圧するものとされるもの」の闘争は、全社会の革命となるか、階級の共倒れに終わった。
階級闘争については、マルクスの時代よりも前にすでにブルジョア歴史家や経済学者の間で気づいたものがいた。マルクスはそのことは認めながらも、自分の功績を次のように述べている。
(1)諸階級の存在は、生産の特定の歴史的発展段階だけに結びついたものであるということ。
(2)階級闘争は、必然的に、プロレタリアートの独裁へ導くということ。
(3)この独裁そのものは、一切の階級の廃止と無階級社会とに至る過渡を成すにすぎないということ。
階級闘争の分析にあたっては、マルクスは、プロレタリアートだけが真に革命的な階級であると述べている。そのほかの階級、例えば小工業者、小商人、手工業者、農民など、彼らがブルジョアジーと戦うのは自分たちの存在を没落から守ることであって、革命ではない。したがって、彼らは革命的ではなく保守的であり、反動的であり、日和見主義者なのだ。
資本家階級に対して勝利をおさめることのできる労働者階級は、共産主義思想と闘争力と規律を兼ね備えていなければならない。
階級闘争の戦略と戦術については、過去一世紀にわたる労働運動での多くの問題について分析した。労働者にはいくつもの弱点があり、それはマルクスの著作の教訓を学ぶことができなかったり、学ぶことを拒んだためであるとした。支配階級は自分たちの階級的権力を守るために、あらゆる形の暴力をもいとわないのだ。したがって、これら支配階級と戦う労働者階級は、力には力で対抗するしかない。マルクスは、「力は、新しい社会をはらむすべての社会の助産婦である」と言った。
この、「力には力」という戦略は、イギリスとアメリカにおいては少し違った。イギリスとアメリカの場合に限っては、ブルジョア民主主義が非常に発達していたことから、労働者の手で平和のうちに社会主義に移行する可能性があるとしていた。
このことから、マルクスとエンゲルスは、労働者階級も時と場合によっては、その利益が一致する限り他の階級と一時的に手を結ぶこともやむを得ないと考えていた。しかしその場合でも、労働者は自分自身の階級的組織と政策を持つことが絶対に必要だとしていた。
階級闘争におけるもう一つの問題は、労働者の当面の問題解決と、社会主義実現のための闘争の関係をどうすれば正しく打ち立てることができるのか、ということだった。これについてマルクスは『共産党宣言』の中で、「共産主義者は、労働者階級の直接当面する目的と利益とを達成するためにたたかうが、しかし、現代の運動のなかで同時に運動の未来を代表する。」と述べている。運動の未来とは共産革命のことであると思われる。
そのほかの問題として、階級闘争における労働組合と協同組合運動の役割について、戦争に対するプロレタリアートの政策の打ち立て方、ゼネラルストライキの役割、民族問題についてなど、それらの基礎を作り上げた。
また、解放のための労働者の闘争が国際的な性格を持つことを論証し、「万国の労働者、団結せよ!」というスローガンとなった。
マルクスとエンゲルスは、社会の未来はプロレタリア独裁の社会であることを明らかにしようとした。
「各人からは能力に応じて、各人へは仕事に応じて」をモットーとするものが社会主義であり、そのさらに高い社会機構は、「各人からは能力に応じて、各人へは必要に応じて」をモットーとする共産主義へ進む第一段階であると思うと述べた。
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