ブレット・ハリデイ『死の配当』
五月に読んだ本のまとめ。ひとつ目はブレット・ハリデイ。
ブレット・ハリデイ『死の配当』
ブレット・ハリデイといえばヘレン・マクロイとの結婚、離婚で有名なハードボイルド作家だけど、作品はあまり知られていない。マイクル・シェーン・シリーズも一部しか邦訳がなく、しかも絶版である。たまたまシリーズ一作目が手に入ったので読んだわけだけど、けっこう面白かった。
主人公はマイクル・シェーン。観光地マイアミのホテルを住居兼事務所にしている私立探偵だ。彼のもとにやって来た依頼人、フィリス・ブライトンは大富豪ルーファウス・ブライトンの義理の娘で、その依頼内容は「自分の母親を殺してしまうかもしれないので止めて欲しい」という突拍子もない物だった。母が義父と再婚して依頼、エレクトラ・コンプレックスから母親を憎むようになっているとブライトン家の精神科医に言われているという。
一度娘を家に返したところで、今度はその医師がやって来て「母親を殺そうとしている娘から守って欲しい」と言われる。
シェーンがブライトン家を訪ねると母親は殺されており、娘が血まみれで立っていた。
シェーンは事件現場からフィリスを逃し、警察とから匿いながら事件の渦中に飛び込むことになる。
気軽に読める良い私立探偵小説で、定期的に派手な暴力沙汰を起こしてくれるから飽きないし、錯綜した話はまあまあ綺麗にオチをつけてくれる。解決のためのクライマックスも派手。
関係者から金をせしめるシェーンの山師的キャラも良い。
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