Bondプロジェクトの物件は前所有者が1年抱いた後、仕入値の3.5倍で売買してるっぽいので説明が必要では?という話
2024年8月8日
なぜか東京都のサイトからBさんの2022/10期決算が消えました。
おそらく修正申告でもしようとしているのでしょう。
私の前受金絡みのことを追求した過去記事については内閣府、厚労省等への情報提供にも使われているので、それを受けた対応の可能性はあります。
どこをどう直すんでしょうかね。
さて、それは措くとして、Bさんの2023年度の事業報告(ただし東京都サイトに掲載される正規のものではない)で謎の不動産(土地)が貸借対照表に現れたことは記憶に新しいです。
今まで時間もなかったのでまとめていませんでしたが、何やら上述の動きを見るに、Bさんが経理を見直そうとする気配があるのと、私自身に少々時間ができたこともあるので、公知の情報に基づいて、この不動産について言及したいと思います。
結論としては一見すると売主が1年前に17百万円で購入した土地を3.5倍の58百万円で購入しているように見えます。
私はBさんが何か良からぬことをしたとは思っていませんが、そう思う人もいるかもしれないので、心配です。
1、Bさんが購入した不動産について
① 物件の特定
当該物件をBさんは事業所として使っており、住所は公開されています。公知の情報と十分言えるとは思いますが、一応配慮して住所等は消します。
東京都近隣の県の田舎とだけ言っておきます。
この住所から不動産謄本を確認して、所有者がBさんになっている物件が貸借対照表上の物件ということになります。
そこから公図等を用いて周辺の土地をなめていくとBが購入した土地の全容が見えてきます。
面積で物件が特定されることはないとは思いますが、一応多少ぼかして表現すると計7筆、約1300㎡ですね。内4筆約200㎡は周辺所有者との共有持ち分なので、道路に見えます。3筆約1100㎡が専有の土地で、459㎡が宅地、同程度の山林、200㎡強の畑がついています。
捕捉し損ねた土地がないとは言い切れませんが、宅地面積は後述のシステムと合致はしていますので、経済的な価値のある土地は網羅できていると思います。
ちなみに築古なので経済的な価値がないと思われる古民家もついています。Bの決算では簿価計上さえされていないオマケです。
② 価格の特定
あとはこの物件の売買価格が簿価約59百万円程度なのかを確認しましょう。
国交省不動産情報ライブラリという、不動産売買当事者へのアンケートや指定流通機構に登録された成約情報に基づいた不動産売買情報が集積されたサイトに情報があればいいのですが、、、
成約価格の情報がありました。
住所、道路の方向、取引時期、土地の面積も(価格がつきにくい農地・山林や道路部分を除いた宅地面積と)一致。建物の築年や面積も一致。
ちなみにシステムの面積の表記は5㎡刻みなので、土地は459㎡ではなく460㎡に、建物も91㎡ではなく95㎡に切り上がって表記されています。
B決算書上の土地の簿価は59百万円、売買価格が58百万円というのは不動産取得に係る諸費用が簿価に乗っている可能性を踏まえると、一致していると捉えていいでしょう。
当該情報がBさんの不動産売買を指していることはほぼ間違いなさそうです。
ここから売買に不審な点がないか等、見ていきたいと思います。
2、売買の不審点
① 価格の妥当性
総面積は1200㎡を超える土地ではありますが、上記国交省不動産情報ライブラリの通り、いわゆる宅地は460㎡程度です。
単純に購入価格の58百万円で460㎡を割ると、売買単価は126千円/㎡です。
市街地の住宅地並の単価ですが、ここは某県の田舎町です。付近の売買相場を見てみましょう。
詳説はしませんが路線価を1.25倍するという古典的な評価だと、平米単価は約44千円/㎡、近隣の本件土地よりももう少し良いところにある公示地価は55千円/㎡ですので、この辺りの40千円~60千円/㎡程度が相場観としてはせいぜいだと思います。
他の土地の実際の売買事例は以下。(建物なしの土地売買のみ)
田舎の同じ町の物件売買事例です。田舎の行政区画なのでかなり広いのですが、駅徒歩圏内で100千円/㎡内外、徒歩圏外だと20~70千円/㎡くらいが相場のようですね。
Bさんが買った土地はヤフー地図によると最寄り駅まで徒歩32分なので、上述した「40千円~60千円/㎡程度では?」という相場の読み方は大きく外してはいなさそうです。
当該土地の内、道路部分に経済的価値は見込めませんが、宅地の半分ほどの大きさの畑、宅地と同程度の大きさの山林はある程度評価できる可能性はあります。
(私見だと畑はとにかく、山林は写真で見た限りは鬱蒼と茂った雑木林であり、ここに経済的な価値はなさそうな気がします。)しかしそれを加味したにしても、購入価格の126千円/㎡という相場には到底届かないものと思われます。
ただし、不動産というのは個別要因が大きいので、上記だけで物件の相場観を想像するのは早計かもしれません。
畑や山林に思わぬ価値がある可能性だってありますからね。
当該不動産の相場を知る上で、手っ取り早いのは前所有者がこの物件をいくらで買ったかです。
同じく、システム内に前回取引の成約記録もありました。
Bさんが購入する1年前に、売主は17百万円で同じ土地と古家を購入していますね。取引時期も不動産謄本の動きともおおむね一致。
取引時期は厳密には2021年第4四半期(売買登記が12月なので)のはずですが、まあ売買契約日と登記日なんかの認識の違いで若干差異が出たのだと思います。
37千円/㎡(17百万円÷460㎡)ということであれば、やや安いかもしれませんが、上述の相場と比較してもそれほど違和感はないですね。私の見立ては正しそうです。
17百万円で買った物件を1年抱いて58百万円、約3.5倍で販売。ナイストレード!
ちなみに造成が必要な土地を相場より安く買い、造成工事等を施した後に相場程度で売却するのは一般的な土地取引でよくあります。
本件Bの売主は相場程度で土地を買い、相場と思われる金額の倍以上で販売しているように見えるので、それにも当てはまらなさそうですね。
また大規模な造成工事等が施されたのであれば測量が行われるはずですが、法務局に提出された測量図は2013年が最新なので、その可能性も低そうです。
以上から、一見するとかなり不可解な価格で売買がなされていることがわかります。
もちろん私はBさんが悪さをしたとは思っていませんが、悪さをしたと誤解される可能性があるので、心配です。
② 売買相手と購入の原資
売買相手はいわゆる宅建事業者ではありません。
とある宅建事業者の関連会社っぽい合同会社です。
危なっかしい取引をする際、本体の宅建事業に害を及ぼさないように別会社を噛ませることがあります。
本件がどうなのかはわかりませんが、見る人によるとあらぬ疑いを深くするかもしれません。
また購入資金がどこから出たのかということですが、これを推定するためには売買日に近い2022/10末時点の貸借対照表が参考になります。
この時点で現預金を206百万円有していますが、その出どころは前受金・仮受金が147百万円が大部分です。この内、104百万円は都・国の事業の前受・仮受なので流用は難しいです。
これらを勘案するとタイズ財団という外国の民間団体からの助成金と一部手元資金から支出したのかな?という気はします。
タイズ財団の助成金が44百万円、私が冒頭で紹介している指摘の記事で不明瞭な前受金は少なくとも12百万円なので、58百万円くらいという金額は偶然ながらこの両者を合算した額に近似していますね。
これは他にも仮説は立てようがあるので、定かではありません。
③ 何を疑われる可能性があるか
疑り深い専門知識がある人間が、こういった不動産の、一見すると極端な高値買いに見える取引を目にした際、真っ先に疑うのはキックバックです。
本件の場合、表面上の売買額は58百万円、実際の売買額は28百万円だと仮定すると、「58百万円で物件を売買したものの、物件に瑕疵が見つかったで30百万円の返金を行う」等の覚書を交わした上で、買主から売主に58百万円を振り込んだ同日に、売主から買主に30百万円をバックします。
ただしこのバックは振込ではなく現金なんかでこっそりと行います。
売主は売却額は28百万円、実際に懐に入ってくるのも28百万円で何の問題もありません。経理処理もきちんとできます。
しかし買主は覚書と返金の事実を隠して58百万円で売買をしたことにしてしまうわけです。
ふた昔前くらいは売買契約自体を二重に結ぶ等の手口もままありました。
ただしこのスキームは売主も私文書偽造等の犯罪行為に加担することになってしまうので、なかなか成立しにくいという欠点?がありました。
最近は上述のような売主のリスクが少ない、覚書を使った返金スキームが人気です。
日銀が利上げをしましたが、覚書スキームを多用して収益不動産をいっぱい買ったフルレバ大家さんたちはお元気でしょうか?皆さん頑張って借金返してくださいね。
売主はこれに協力する見返りとして、相場より少し高い金額で売買を成立させてもらったり、バックされた資金の一部をもらうことがあります。
買主からすると売主への分け前という余分なコストがかかる行為ですが、仮に出どころが寄付金や助成金なのであれば、他人の財布から出たお金です。
多少目減りしても法人の資金をオフバランスして個人で受け取れるのであれば充分メリットはあります。
と、いうような無用の疑いを招きかねない状況なので、私は非常に心配です。
3、まとめ
繰り返しますが、私はBさんが不正をしたのだと疑っているわけでも決めつけているわけでもありません。
きっと売主さんは何か物件に手を入れて物件の経済的な価値を高めたんでしょう。
ただし一見すると上述のようなスキームでの不正を疑われる余地があるので、無用の疑いを避けるために、1年前は17百万円だった物件が58百万円になったことを踏まえ、何を以て物件の経済的価値が58百万円であると判断したのか、対外的に発信した方が支援者の方々に対して望ましいと思います。
また、私が特にBさんのことで特に心配しているのは対税務署です。
Bさんの経営者が「覚書スキーム」等を用いて、キックバックを受け取ったのではないか?というのはあり得ないことだと思います。
しかし、Bさんが騙されてこの物件を高値買いしてしまった可能性はないとは言えません。
相場よりも著しく高い価格で不動産を購入したということであれば、相場相応の価格と当該売買価格との差は贈与等と見なされる可能性があります。
営利企業への贈与は特定非営利活動とは見なされないでしょうから、その支出応分の収入には課税されるかもしれません。
色々と困ることになりかねないので、頑張って下さい。
以上