監査結果公表後のColabo弁護団の声明の適正性について
1月6日
Colaboの件、東京都の住民監査請求結果が出て数日が経つが、Colabo側の声明が正しくないように思われるので、端的に考えを述べる。
1、そもそも、住民監査とは
以下の通り、『都民の方からの監査請求により、都の財政面の適正な運営を確保し、都民全体の利益を守る』ことを目的として行われるもので、『都の財務会計上の行為』が対象となる。
都の財務会計、要するに当該委託事業における『違法又は不当な公金の支出』の疑惑と関係がないことに触れることはなく、監査で問題視されていない部分に問題がないわけではない。
2、監査結果本文の解釈
① 「請求人の主張は妥当ではない」とされた項目について
監査結果本文のP.18~21にかけて、請求人である暇空茜氏の主張は退けられている。
『請求人の主張は妥当でない』という文章を以て『不正が否定された』とするColabo弁護団の見解は誤りであろうと思う。
何故ならば、本件監査はあくまでも『令和3年度東京都若年被害女性等支援事業委託における履行の完了検査及び委託経費の精算等は、法令、当該委託契約書及び当該委託仕様書等に基づき適正に行われているかについて』が対象であるからである。
(『等』の範囲を拡大解釈する余地はないでもないが、無理があると思う)暇空茜氏は活動報告書の数値と事業実施状況報告書の数値との不整合を中心に主張を構成している。
しかし2022年7月27日にアップロードされた活動報告書は検査・精算が行われた2022年3月31日~5月10日には存在していない点に注意が必要である。
例えば「特定費目において経費総額を超える支出があること」等の活動報告書との比較によって判明する事項を、都は5/10時点で認識し得ないから問題視しようがなく、『請求人の主張は妥当である』との結論もまた出しようがない。
暇空茜氏の主張が退けられたのは、主張の根拠を用いられない時点を監査の対象とされてしまったことが要因としては大きく、そもそも監査でその主張を評価されていないという捉え方が適切だと思う。
そもそも都が監査の対象を5/10迄に行われた『検査・精算等の適正性』という、請求人である暇空茜氏の主張から微妙にずれた設定にしていることは奇妙に思える。
付言すると、各項目は「表3」が正しいという前提で事業への支出が確認できているという説明がなされているが、そもそも以下の通り「表3」の適正性が疑問視されているので、結論は『本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定し、客観的に検証可能なものとする』ようにとの勧告に基づく再調査の結果次第であり、現時点では「評価できない」というのが監査委員のスタンスではないかと思われる。
② 「表3」について
「表3」はColaboの本事業実施に係る収支に関する帳簿、領収書その他の諸記録を調査して判明した、本事業の実施に必要な経費としてColaboが台帳に記録した経費の一覧表を指す。
また監査ではこの「表3」を適正なものとしては見ておらず、むしろ懐疑的に見ていると考えるのが妥当だと思われる。
(そうでなくては、監査結果結果本文のP.22以降の厳しい指摘に繋がらない)よってインターネット上で散見される『「表3」で支出が確認されているので不正はない』という論法による擁護は誤りだと思われる。
③ 結論の見方
「事業全体を再検証するように」という勧告がなされているため、「全体として適当ではない可能性が高い」(黒に近い灰色)との見方が示されているとの認識が自然だろう。
一方で「不正が否定された」事項は現段階では何もないが、逆に不正が明確に認定された事項も未だない。
福祉保健局による再検査の結果を待つべきであり、擁護する側も追及する側も少し落ち着かれた方がいいと思う。
以上