#8 看板女優が大好き
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菖蒲さんと稽古を重ねる日々
とにかく、上達したいから菖蒲さんの側にいたい
菖蒲さんと張り合える女優になるために
稽古場ではいつも菖蒲さんを見つめていた。
どのように稽古に挑むのか、空気を掴むのか
その一挙手一投足を逃したくなかった。
高麗さんは執筆活動に入るとのことで
徐々に稽古場に顔を出す回数が減っていった。
菖蒲さんは、反比例するように不機嫌になっていった。
事実を知り衝撃を受ける。
稽古の後は、安い居酒屋で反省会と称する飲み会が常だった。
下戸の私にとって、お酒が入ったナンバー2の青竹さんが
異常に絡んでくるのが嫌だった。
だが、菖蒲さんの貴重な意見が聞ける場でもあるので
飲み会には必ず参加した。
菖蒲さんは
『この劇団で芝居するなら高麗の生きざまを知りなさい』
としきりに劇団員に言っていたのだが、ある日酔っ払いすぎた
青竹さんが
『他人の旦那を寝取ったあんたの話なんて聞きたかないわよ』
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