33 モード対応の接客 34 モード対応の接客(2)35 モード対応の接客(3)

◆ 33 モード対応の接客
コミュニケーションにおいて、仕草・声の表情など、ノンバーバルな手段が果たす役割が93%もあります。とくに、目の動きはたくさんの手掛かりを伝えてくれます。その「目」の動きを掴むことで、接客に活かすスキルのトレーニングです。
1.ペアを組んでもらいます。一人は、インストラクターの質問を聞いてもらう役割です。とくに言葉で答える必要はないと伝えます。一人は、相手の反応を見る役割です。見るのは、「目」の動きです。反応は、人によって様々ですが、一瞬のうちに起きます。見逃さないように注意してくださいと念を押します。正面に座ると緊張しますから、斜めの位置が良いでしょう。
2.インストラクターは各ペアの準備ができたら、いくつかの質問を読みあげていきます。それぞれ、目が上に上がる質問、横に動く質問、あるいは目線が下がるものを織り交ぜて投げかけていきます。  
*質問の例は、別項参照
3.10個から15個の質問を終えたら、役割を交代します。同じように、質問をしていきます。
4.両者への質問が終わったら、相手の目の動きについて、なにを感じたか、気付いたことはあるかなど、2人でディスカッションしてえもらいます。場合によっては、4人程度のグループにまとめても大丈夫です。
5.10分から15分のディスカッションを終えたら、インストラクターから解説をします。ホワイトボードなどに、「目」が上を向いている図、下を向いている図、横の図を書きながら解説します。

◆ 34 モード対応の接客(2)
6.解説は、質問と関連させて行います。そして目線が上を向いているときは、色、形 など目に見えるもの、映像を思い浮かべていることが多いと伝えます。大切なのは、目線が上を向いていると、気分が上がる、気持ちが高揚することが多い事実です。接客では、できるだけ目線が上を向くような働きかけが効果的とアドバイスします。
7.次に、お客様の気持ちになってみて、実際の買物で、目線が上にあがるのは、どのタイミングで、なにを思い浮かべているのかを考えます。これもディスカッションで進めます。
 →クローゼットにある手持ちの服を思い浮かべている
 →商品を着たときの姿をイメージしている
 →他の店にあった商品を思いだしている
8.まとめとして、売場でついお客様にかけている言葉とタイミングが、実は、目線を下げてしまい、テンションを下げる危険が 高いことに気付かせます。それを回避するためにはどのような言葉をかけられるかをディスカッションして探します。
 →「お手持ちのものとのコーディネートをイメージされてますか?」など、目線が上にあがる問いかけをする
9.同じように、目線が下を向くケースについて解説します。手触り、肌触りを確かめている場合と、購買を決めようとしてクロ-ジングに入る瞬間に目線が下がります。手触り、肌触りを気にするお客様は感覚タイプの場合が多いのですが、視覚タイプのお客様もモード(瞬間的)として反応することがあります。
10.売場で使っている働きかけを振返ります 購買を決めた瞬間を察知したスタッフは、客単価アップ、コーディネート販売の指示を思い出して、追加の商品をお勧めしようとします。しかし、このタイミングで新た に商品をみせることは、気持ちが振り出しに戻る危険があり、感心しません。まずは おちついてレジにご案内して、一つの買物 をきちんと終了させることが大切であると 教えます。
 →「どうぞごゆっくりお選びください」などと伝え、自由にしてもらう

◆ 35 モード対応の接客(3)
11.目線を横に移動するのは、音に反応した ときです。接客のシーンでいえば、スタッフの言葉に関心を持ったとき、興味をしめしたときです。この瞬間は、スタッフの言葉をお客様が聴こうとしている状態です。あわてずに、お客様の口調を思い出し、ミラーリングを活用して情報提供をします。また、自分が発した言葉のなにがきっかけになったかを探り、そこから話題を広げます。共感につながる可能性が大きくなります。
12.お客様の入店からレジまで、目の動きをトレースしながら、どのタイミングで、どのように働きかけることができるかを考え ます。同時に、普段の流れを改善することを考えます。
モード対応の接客スキルは、瞬間的、または一時的に表れる「タイプ」のことです。目の動きをきちんとキャッチすれば、お客様にとって、会話をしやすい、心地よい間合いが生まれます。実際には、「目」の動きまでを活用しているスタッフはほとんどいません。お客様がくれる手がかりを活かさないのはもったいないことです。
目の動きが示すお客様のモードをキャッチして、歩み寄ることで、押しつけ感のない接客の印象が生まれます。
理解度を確認するには、最後に、相手の目の動きに注意しながら、相槌をうって会話をしてもらうなどの方法があります。今まで、この細かさでお客様を見てはいなかったので、いざとなるとアイコンタクトがぎこちなくなるケースが見られます。斜めのポジショニングと笑み感の表情もあわせてトレーニングしましょう。

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