28 ベーカーの法則 29 接近欲求と回避欲求 30 返報性の法則

◆ 28 ベーカーの法則
当事者は自分の過失をかばって、もっともらしく取り繕って、事故の状況を説明する傾向があるという法則。
この事例をもっともわかりやすく見ることができるのが交通事故、違反の場面です。
交通事故を起こしたドライバーは、もっともらしい範囲で、自分の責任(不注意)を最少化するような話をします。
たとえば、信号無視を疑われた場合、「赤にはなっていない。まだ黄色だった!」と主張するなどです。飲酒取り締まりの現場でも、「そんなに飲んではいない!」と呑んだアルコールの量を少なくいうドライバーが多いそうです。
事故心理学の研究者、J.S.Bake (スタンフォード大学)の名前をとって、ベーカーの法則と呼ばれています。
日常の仕事でも、失敗をしたスタッフは、無意識に、責任を回避するような言い訳をする傾向があります。
「ちゃんとやろうと思っていましたが、つい忙しくて!」
「指示のしかたが良くないと思います」
「今日は身体の調子が悪くて・・・」
スタッフに対して、何に気付いてほしいのかをきちんと伝えましょう。失敗した事実について、どこに誘発する原因があったかを一緒に考える姿勢が大切です。間違っても、スタッフの人間性を非難しないこと。
「あなたは、いつもだらしがない!」は感心できません。

◆ 29 接近欲求と回避欲求
「好き」という気持ちを持っているとき、相手に近づきたいという接近欲求をもっています。それならば、アプローチをすればよいのですが、人というのは、やっかいなもので、「声をかけて、嫌われたらどうしよう?」とか、「自分に関心をもっているだろうか?」など、いろいろな想いを巡らせます。
嫌な思いをしたくないから、あえて近づかないような態度、行動をとるのです。これが、回避欲求です。
接近欲求と背中合わせの欲望です。そして、この両者の間を行ったり来たりしているときに、精神的な高揚が生まれるといわれています。
誰かを好きになる。今日こそは、思いを伝えようと張り切っている。けれども、いざとなると、不安が大きくなって、なかなか行動に移せない。何も言えずに、一日がおわる。
自己嫌悪に陥りながら、明日への勇気を蓄える。朝が来る、今日こそはと奮い立つ。
このように接近欲求と回避欲求のギャップを行き来するときに、気持ちが高ぶるのです。
このバランスが崩れて、回避欲求ばかりが強くなったとき、ストレスという堆積物が積みあげられていきます。
「接近」も、「回避」もエネルギーがあるという点で、同じ状態です。エネルギーの方向が真反対なだけです。
人間関係は、このバランスをほどよくコントロールすることがコツ!

◆ 30 返報性の法則
返報性の法則とは、相手から何かしらの施しを受けたとき、「お返しをしなくては申し訳ない」という気持ちになる心理をいいます。人が本来持っている義理や人情の一部と言えます。試食をすすめられると、「試食をしたら買わないと申しわけない」というのもこの心理です。相手が優しかったり、人柄が良かったりすると、「断りにくい」と思うのは、「好意の返報性」が働くからです。
「好意の返報性」は、好意ある施しや親切にしてもらったときに、それ以上の好意や親切をもってお返ししたいと思う心理です。バレンタインデーとホワイトデーの関係などが良い事例です。
たいして好きだとは思っていない相手でも、何度もプレゼントをされたり、まわりから「あなたのことを好きみたいだよ」といわれるうちに、気持ちが傾いていく場合もあります。これも、好意の返報性といえそうです。
人間関係をスムーズに築くために、有効なスキルです。ただし、行きすぎると押しつけになります。そして、素直な態度、実直な人柄が必須条件ですね。
これの応用として、相手に頼みごとをするとき、大きなお願いから始めるというアプローチがあります。たとえば、「1万円貸してほしい」といわれて断ると、つぎに、「じゃ、3000円でいいから貸してほしい」といわれたときに、一度断っているので、重ねては断りにくいという心理が働きます。これは、「ドア・イン・ザ・フェイス」というテクニック。悪用はしないでくださいね。

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