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終演

豊岡2日目、プライベート空間のないドミトリーもこのモードなら余裕、だけどアラームがなった時の冷や冷や感。昨日の内に今日の準備をしてるなんて賢い自分は居なくて音を出さないよう大急ぎの身支度。田舎の空気がする朝方の豊岡を歩く、冷たいと言うよりもヒンヤリ、水っぽい、湿度100%越え、知らんけど。
脚本家のワークショップを受けて、今までに知らなかった脚本家が誰かを知る、改めて自分が現実的で夢想できない、無双できない現実主義者だって知る。左耳に近いところの脳みそに最近しょっちゅう言われる、もう数こなすしかないでしょう、が右手に伝わってくる。自分のやり方、なんて言い訳使って逃げてたのに内部から怒られる、内紛状態。とかくまぁ今回は横の繋がりを増やすしかない凡人盆踊りですから、WS終了後は色んな人に話しかけに行く。ただのWS後の雑談で終わらぬように深く深く、やりたいことやることを雑に語り合う。って、言ってる間にもう時間がないじゃないですか、いや時間はあるんだけどぶらつく時間がなくなってしまいそうなのでこの辺りでお先に失礼します。
エスカレーターで1回までゆっくり降りて少し早歩きで1、2歩進んだところで急に名前を呼ばれた、女性、短髪、黒髪、誰?しかも名前の後に先輩って付いてるのでおそらく後輩、でも豊岡に来る後輩なんてほんの数人、え!、っと誰か分かってない状況で無理して言ってみると向こうから名乗ってくれた。高校の二個下の後輩、演劇部でよく色んな舞台や美術館に行ってる子だった。前は長い黒髪が特徴的だったのにすっかり先輩の雰囲気をちゃんと醸し出した高校二年生になってた。急いで言われた通り先輩モードに切り替えて話す、全然続かない、てか話すことがない。ということで適当なことでいい感じ風なことを適当な具合に話してから別れた。
先程勧められたミーティングスポットに先輩と一緒に行ってTシャツを買った、稽古着、でも僕的美的センスだと大須辺りを歩いても何んにも恥ずかしくないTシャツのLサイズをバックに入れて竹野まで電車にユラユラ揺られて、ICOCAが使えない駅に降りて年老いた駅員さんを困らせて地図も調べずにド田舎を練り歩く。突起した山を見つけたのでとりあえずそこを目指して狭い道を歩き、車で来たら良かったけど車で来たら安全じゃなかったなとか思いながらどんどん狭い道の猫に挨拶したりしながら逃げられ睡眠の邪魔はしないようにと離れて行ったところ、狭い狭い、日本家屋がいつまでも続きそうな道の先を見た先輩が突発的に「海だ!!」と、まっさか山を目指してるのに海なんてあるわけないやろ、あるやん。ずっと感じてた風の強さを視覚化してくれる海が目の前で狂い揺れ、僕達はそこを目指して少し早めに歩いた。綺麗な砂浜には少しのプラスチックゴミと穴と、夏の落し物と流れ着いたペットボトルと割り箸などが上手く散りばめられ、その横を裸足で走る。今から僕達観劇するんですよ?なんて声もどっかから聞こえたけど、波打ち際にLoveと書けるか選手権を軽く4回戦くらいまで開いてから先輩が出した成功シーンは見逃してそこから白いだけの砂浜の上を足を汚しながら歩く。等間隔に並んだ喫煙どころを見た先輩がヤニカスフェスティバルを開催してる横で足に砂を擦り付けて黒い砂から白い砂に変えてた僕だけど濡れたズボンばどうすることもできずただ強い風と少しの太陽光に乾かしてもらう。乾燥機もないのでただ時間が来るまであの突起物みたいな山を見ながら適当に時間を潰す、適当に歩いて来たのに会場まではここから6分、開場20分前くらいにそっちへ向かいさっきのTシャツに着替える。全然知らない土地の知らない盆踊りを踊りながら20分程、だんだんとステップが分かってくる、次の腕のフリが分かってくる、好きな動きが出てくる、掛け声が発音できるようになってくる、他の人も見るようになってくる、ちょっとミスったりもする、暖かくなってくる、くらいに歌詞が急に変わって終わる。疲れてないのに楽しい、眠くない、まだ行けると思いながらも場所移動をして観劇。ホテル横のスペース、だんだんと青くなってきた頃、海を見ながらの観劇。途中、絶対に狙ってないだろうというおじさんの作業音が爆音で流れてよかった、一瞬だけ海っぽい匂いがした、だんだんと街灯の明かりが強くなってくる。星の光はちょっと弱い、青い、海は黒い。そこまで演劇の内容とか観劇に満足してないのに充足感、いっつもいっつも細かいことばっかりに目をやってたのに気にしなくなった。なんかそこまではいい、もう十分、充分貰って活用できるからそんな1個の事象から根こそぎ吸い取ったりしない。波打ち際に愛がなくても海はちゃんと綺麗だったしいいや、な感じで僕の豊岡演劇祭は終了、したら良かったのに電車遅延のおかげで6時間かけて地元に帰り、そこから鬼の初運転。お疲れ様でした!

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