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わが町、故郷

 ひょんなことから数ヶ月ぶりの帰省。
 最近大学の友人から僕の故郷はセレブの街だと言われる。本人からしたらそんなことはないと断言できるほどなのだが、細かな話を聞いたり色々と思い出してみるとセレブまでとは言わないけれど確かにいい街なのかなと思う時がある。

 2月ぶりの帰省、大学に来てからこっちに帰ってきても全然ゆくっりできない、多分今回もそんな気がする。少し前に実家が引っ越したらしいのだが、今日の今日までその場所を教えられてなかった、なんで。
 まだ新しい畳の匂いがする家。前の家と違って各部屋がちゃんと区切られていて、入り組んだ構造なので何度も迷子になりそうになる。未だに電気の位置が分からない。引越しの跡がまだまだ残っている。相変わらずシラフでもうるさい姉と母。友人に写真を見せると「お前のお姉ちゃんほんとに可愛いよな」と言われるけれど僕からすれば大騒ぎして品性のかけらもない悪魔たち。軽快な音楽が鳴るという新しいレンジと共に踊り出す姉と母。示し合わせてもないのになんでそんなことになるのか全く分からない。ウルセェ。

 久しぶりのちゃんとした夕食、鍋、やっぱろキムチ鍋。マロニーの争奪戦、肉は鶏肉。おじやは作るけど人気なし。

 せっかく帰ってきたんだと思い親友に連絡して夜の故郷を散歩することになった。歩き慣れた綺麗なコンクリート、見慣れた街。というわけにはいかず記憶の中の故郷とはもう全く違う。確かにコンクリートは綺麗だった気がするけれど、家の近くにあった歯医者さんは駐車場になっているし、知らない建物が増えてて前に何があったのか思い出せない。記憶と今目の前にある景色がなかなかに合わない。ふと友だちに言われた言葉から派生して”やっぱり自分って恵まれた土地に生まれたのかな”と思う。深夜だから爆音のバイクが2台横切るけれど。何でもある、探せばなんでもある。元々あったのか最近できたのかは分からないけれど、少し遠めの散歩をするとこんなのがあるんだ、これが家の近くにあれば__というものがいくつも並んで建っている。終電も12時を回るらしい。
相対的に見ても絶対的に見ても確かにいい街だなと思う。おまけに古墳もある、最近劇場もできた。

 高校から地元を離れ、大学では大きく地元から離れることになったため、地元の友人、特に中学以前の友人の情報が全く入ってこない。誰がどこの大学に行ったのか、今何をしているのか。そういうのは大体成人式まで待つというのがあるらしいが全くもって成人式に行く気力が湧かないので今のうちに聞いておく。それでも音信不通になった人がいたりだとか、回ってくる情報が極端に少なかったりと街を歩けば思い出される顔や名前はあってもその人が今何をしているのか知る術がない。
このご時世だしインスタやSNSを辿りに辿れば分かるのだろうけどそもそもそこの繋がりもなければ相手がSNSをやっていない可能性もあるのでその場合は本当にどうなっているのか分からない。
 一日だけでいいから中学でも何でも全員を集めて話すみたい機会が欲しいけど日程が上手く合わないよな。多分それが成人式ってやつかもしれないけれど。

 愛知に戻った時に色んな話ができるように街の写真を沢山撮った。綺麗な景色は写真フォルダを見返せばいくらでもあるので、できるだけ普通のごくありふれた景色を。と言ってももう大層綺麗な街だなと感じてはしまうのだけど。
 明日は久しぶりに地元でゆっくりできる。どこか懐かしい土地、行ってみたいところへいこう。

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