雨の中今年を振り返って
バイトが終わった23時、街灯に少しだけ照らされている雪の映像を彼女に送って、もう30日かなんてエイリアンズを歌いながら帰宅。
電話。
もう明日には大阪帰っちゃうし最後にご飯でも食べようと親友から。
二人でラーメン屋まで歩く途中は雨が雪に変わっていた。
こんな年末まで働くなんてと思っていたのに店員さんが親友がバイト先であった面白いことを話すくらい笑顔なので少し暖まる。店内で流れる音楽を聴きながら今年はレコード大賞も流行語も知らないまま終わっちゃうなと思う。
会計時、その店員さんが「良いお年を」なんて言うもんだから今年は良い年だったなと二人と同じくらい笑った。
雨がどんどん強くなってる。もう大晦日。
携帯を開くたびに12月31日が目に止まる。こんな夜道を歩いてると親友はヒステリックに自分のことを評価し出す。クズだって。
僕も今年になってからそんな単語を使われることが増えたんだけどみんなバレてないだけど悪いこといっぱいやってるし、後ろめたい行為なんて山ほど積んでる。下を向いたら俺が手振ってるよなんて茶化してみるけど、さっきみたいには笑えない。そりゃまぁ色々ありすぎた2023を雨の中歩いたところで振り返れないよね。
いつも通り、街灯の少ない路地を二人で駄弁りながら帰る。僕の最近のことと言えば彼女との半同棲生活だけど、そんな話をしてると彼の足音が強くなる。怒ってるらしい、ごめんちゃい。
そんな話と少し真面目な話、人を慰めることなんて言える人間じゃないけど自分なりに頑張ってみる。「今日は風呂入ってあったかくして寝な、良いお年を」さっきの店員さんの言葉を真似たけどさっきみたいな力はやっぱりない。
「ただいま」
最近、また言い出した言葉。
玄関先に並べられた二足のスリッパの片方を履き、誰もいない部屋に言ってみる。帰っては来ないけど、少し落ち着く。数日前の痕跡と服に染み込んだ寒さのせいで今すぐに会いたくなる。どこでもドアないかな。中々家らしくなってきた我が家に荷物を置いて、そこら辺に服を置くと怒られるのでベッドに倒れる前に洗濯機に入れる。年末ということと夜ということ、連勤の疲れが膝にきてることから何か片付けるように物事が終わっていくような感じがするけど、まだまだやらないといけないことは山のようにある。まだ2023年が終わらない。