いつか物語になるから

 Xで"No risk No story"という文字を見てなんとなくカッケーなと思いながらも僕は元来、どこか分からない場所から物語に対して苦手意識があります。今思いつくものでいえば、同じような設定の同じような展開ばかりする連ドラに辟易した学生時代があるのかなと思います。それに加えて、昔のそれが良かったならそれを模倣したこれも良い作品でしょう、誰も言っていないけれどそんなことを思ってしまいテレビから離れました。
 あとはそんなことない、そんな展開になるはずがないのに主人公マジックによって泣いている主人公の元に愛しの人がやってくる、みたいな展開にももの凄く嫌悪感があります。実際はどれだけ泣いても誰もそれを知らないから。

 しかし、今回の製作の中でも思ったのですが、過去の出来事は大方何かしらの物語になるのだなと思いました。それは自分の思い込みや都合のいいことだけを思い出したり引っ付けて繋げると素敵な話にできる、そう思ったからです。
 眠気のせいで上手く頭が回らない夜には勝手に頭の中に自分がヒーローになる妄想もしたりします。あの時の選択を変えていたらこんな今になっていたのかもしれないと考えることも。最近では高校生活も遠い昔の淡い青春物語にしようものならできそうです。
 でも、それじゃダメなんですよね。そういうものがあるということをどこまで分かり切っていても、過去や自分に嘘をついてまでフィクションを作ろうとは思えないのです。どこまでも自分に素直に、流れや雰囲気に身を任せず、手を止めて、耳を澄ませて、頭をフラットにして、自分が今何を思っているのか、何をしたいのか。それにどこまでも忠実であることの方が重要で、物語を作るよりも尊重されるものだと僕は思います。だから今になってどうしようもないことをまた1から考え直したりするのですが。
 公演まで残り2週間です、もうそんなにもない。今一度、自分と、一緒に作品を作っているみんなにフラットに向き合って製作をする

 台本を書いている時に見つけた詩の一部です

If I must die
Let it bring hope
Let it be a tale

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