天啓に凍えた夢,ないし縁側の特権

彼は怯えている.
彼は縮こまって,目を閉ざす.
異なる目を開けて,正しい世界を見る.
彼は再定義される.

彼は大きな空となった.景色となった.
宙に漂う巨大で平穏なアークとなった.
朝の煌めきと星の揺り籠のカクテルとなった.
正準を誇示する純白の機序となった.

未知の囁きは遠くまで届いた.
異なる存在はその定義とともに溶け合わさった.
今や一つに拘る必要もない.
数字を失う代わりに,新たな自己を取り戻す.

ふっと揺らめく無情の諧謔で
彼は旧き日に落ち込んだ.
彼が纏う震えもいつか
陽に熔けて消えますように.

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