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アーティストが直販ストアを活用するメリットは、自由にファンの喜びを形にできることだと思う。

Direct to Fan (D2F/ダイレクトトゥファン)というワードをご存知でしょうか?
音楽・エンタメ業界を中心に使用されているビジネスモデルを指す言葉で、アーティストやクリエーターがファンと直接的なコミュニケーションを取ったり、直接販売によって関係を深めるという考え方だそうです。
英語版Wikipediaにも掲載があったのでリンク貼っています!

国内外の音楽マーケットではD2Fサービスが広がりをみせていて、アーティストがファンと直接的なコミュニケーションや体験を共にすることで、より関係を深めていく動きが活発になっています。

カナダのD2FサービスBandzoogleを利用したアーティストの直販ストア売上が1億ドルを超えたというニュースも出ていました。

日本国内でもレコード会社が開設する直販ストアがたくさんありますよね。

レコチョクでは、こういった変化を受けてアーティストの方々がファンの方々に向けた直販ビジネスの実現をサポートするためにECソリューション「murket(ミューケット)」を2021年10月に立ち上げています。

今回は、murketを活用いただいた事例から、D2Fアーティストとファンのコミュニケーションという視点で新しい音楽ビジネスの可能性を考えます!

各事例に携わった営業グループの担当に私・ゆるりが話を聞いてきました!

Case1 石川さゆり:YouTubeの生放送で本人が実物を手に限定アイテムを紹介

ゆるり:石川さゆりさんのデビュー50周年を記念した直販ストア「石川さゆり50周年記念ストア」について教えてください。

担当MK:2022年にデビュー50周年イヤーへ突入した石川さゆりさんですが、50周年記念特設サイトのなかに、これまでリリースしてきた楽曲、アルバム、ミュージックビデオ、50周年に合わせたデジタル音源やデジタル商材などを扱う直販ストアを開設されました。
ストアにはこれまでの活動を振り返ることができるラインナップ、また、これからの活動を届けるような限定コンテンツなどを取り揃えています。

ゆるり:常に第一線で活躍されてきた石川さゆりさんが新しいものを積極的に取り入れていらっしゃる姿は印象的ですね。ジャンルに囚われることなく、様々なアーティストとのコラボなど、 チャレンジを続けてきたからこそ、幅広い世代の方々に支持されているんでしょうね。

担当MK:そうですね、『石川さゆり50周年記念BOX』を数量限定で発売したんですけど、販売開始直前にYouTubeの生放送でご本人が実物を手に取りながら紹介してくださいました。

石川さゆり50周年記念BOX

オンライン販売だとサイトに載せられる情報量はどうしても限られるし、どんな商品かよく分からないく戸惑う事も多いと思うんです。
石川さゆりさんご本人やレコード会社のご担当者様が手に取りながら分かりやすく説明してくださったので、ファンの方々にも魅力が伝わったんじゃないかなと思います。私も生放送をとても楽しく拝見していました。
生放送終了後、用意していた直筆サイン入りのコンプリートセット20個は即完。好評のお声をたくさんいただいたので、その後、追加販売も決定しました!

Case 2 亜咲花:デジタルシングルにデジタルならではの特典を企画

ゆるり:アニソンシンガーとしてTV アニメ『ゆるキャン△』シリーズや『ひぐらしのなく頃に 業』『サマータイムレンダ』の主題歌など、数多くの TV アニメ主題歌を歌唱し、様々なアニソンライブにも出演している亜咲花さんのデジタルシングル「燈火」の企画について詳しく教えてください!

担当RS:亜咲花さんの所属するレコード会社が運営する「MAGES. DL STORE」限定で「システムボイス集」「デジタルカード」といったコンテンツ付きのデジタルシングル「燈火」を販売しました。

「システムボイス集」は、「こんにちは!」「おはよう!」「充電開始!」「充電完了」「メッセージが届いたよ」「You’ve got mail」など亜咲花さんご本人の声で収録したものです。
スマホにボイスを設定すれば、ふとした瞬間に亜咲花さんの元気な声が聞こえてファンの方々も自然と元気がでるように、と想いが詰まっています。

亜咲花:声優さんみたいに可愛らしく「起きて」とか、「おはよう」とか、甘い感じの雰囲気で録ることができないので(笑)、“亜咲花らしいね”とか“これ面白いな”って思ってもらえるものにしよう、とシフトチェンジをして、自分の中で考えてボイスを録ってみました。

亜咲花さんインタビューより抜粋

亜咲花さんご自身がシステムボイスの収録秘話やスマホを手にして実際の音声などを紹介する動画も公開されています。

デジタルシングルを直販ストアで販売するという取り組みだったので、通常の流通では難しい事も、デジタルならではのコンテンツを企画し、音源と組み合わせた商品として自由度高く実現できたのではないかなと思います。
 
ゆるり:新しい楽曲がリリースされると、音楽そのものを楽しむのはもちろんですけど、限定特典には+αの楽しみがありますよね。
アーティストさんの個性やアイデアが光るコンテンツの可能性がデジタルを活用することで広がると思うと、ファンとしては期待がふくらみます!

Case 3 椎名慶治:ファンの希望に応えてコンテンツを販売

ゆるり:SURFACE/ソロとしても活動する椎名慶治さんのコメント動画販売は、ファンの方々の希望に応える形で実現したそうですが、どういった取り組みですか?
 
担当RN:椎名さんが所属するハイウィンドプロダクションの直販ストア「ハイウィンドショップ」で、椎名さんの公式モバイルサイト「ROOM 417」で9年間配信された人気企画「椎名慶治が答える質問コーナー」の動画179本をダウンロード販売しました。
きっかけは、公式モバイルサイトのサービス終了に伴い動画の公開も終わってしまったのですが、ファンの方々から「あの動画をもう一度見たい」という声が数多く寄せられたことです。

椎名慶治:人は終わると分かった途端に寂しくなるものじゃないですか?(中略)ファンの皆さんから、「できればどこかに残していただけませんか?」という声が上がって、それがマネージャーの耳にも届いて、実現しました。

椎名慶治さんインタビューより抜粋

「椎名慶治が答える質問コーナー」は、ファンの方々から届いた疑問・質問に椎名さんが即興で答える企画なんですけど、素に近い椎名さんを知ることができたり、9年間も続いた企画だったのでファンの方々にとっても歴史のような大切な動画だったんだと感じました。

ゆるり:9年間、179本は重みが違いますね・・!ファンの方々の質問に応えるという企画内容も面白いですし、自分の質問に応えてくれた回なんて宝物ですよね。手元に残しておきたい気持ち分かります。
 
担当RN:本当にそうですよね!そんなファンの方々の希望にスピーディーに応えることができたのも直販ストアならではのメリットかなと思います。

動画コンテンツを販売するにあたって、「当時の質問に今の椎名慶治が答える」と題した購入者限定動画を特典として用意したり、179本すべての動画をご購入いただいた方には「椎名慶治があなたのためだけに、今、聞きたい質問に回答する」特別動画を撮影してプレゼントする企画を用意したり、椎名さんご本人もファンの方々が喜んでいただけるように尽くしていただきました。


Case 4 POiNT:いち早くNFTに注目しファンコミュニケーションに活用

ゆるり:POiNTは「日本最古のNFTアイドル」というワードの印象が強いですね!

担当HK:POiNTは2020年からいち早くNFTにチャレンジしています。これまでサイン入りNFTの配布やクリスマスプレゼントとしてNFT配布などを実施してきました。音楽を間口としたファンだけでなく、NFTをきっかけに興味をもってくれたファンとの出会いもあったようです。

NFTを上手に活動に取り入れてきた彼女たちですが、NFT購入にウォレットの作成や暗号通貨の購入が必要になることでファンの方々に「難しくてわからない」と感じさせてしまう事を悩んでいました。
今回、レコチョクの独自基盤を利用して発行から販売までをサポートしたのですが、「日本円で購入することができるNFTを発売したい」という希望を実現できたので、彼女たちもとても喜んでいました。

POiNT:今までのNFTは、ETHでの販売だったため、購入したいし興味はあるけど、購入の仕方がわからないというお声をたくさんいただいていました。今回は日本円で購入できるNFTということで、より気軽で手に取りやすくなっていますので、今まで難しそうと躊躇していた方にもぜひNFTの魅力を感じていただきたいです。

POiNTからのメッセージより抜粋

ゆるり:確かに・・暗号通貨っていうワードだけで難しく感じちゃう方もいますよね。日本円で購入できればぐっと身近に感じられそうです。
POiNTが販売した NFT「POiNTを一緒に応援しよう~日本最古のNFTアイドルの歩み~」はどんなコンテンツなんですか?
 
担当HK:二人の幼少期からPOiNT結成、日本最古のNFTアイドルとなった今に至るまでを未公開写真を含む100点を超える写真でたどれる内容で発売しました。30点限定で販売しましたが、ありがたいことに完売しています。

今後の活動も随時更新したりとPOiNTの成長をファンの方々が応援していけるストーリー性を持たせた企画になっています。
NFT所有者にはオンラインイベントの参加権、有観客イベントのチケットが先行でゲットできるなどの特典や、NFT所有者限定のメタバースコミュニティ「ReCone(リコーン)」と連携してメンバーのオフが詰まったブログやライブ配信を楽しめるPOiNTの限定コミュニティ「POiNTの部屋」に参加できるなど、ファンクラブ的な要素もあります。
年末には、NFT所有者限定のZoomイベントを開催していましたよ。

ゆるり:いち早くweb3にチャレンジしてきたからこそ、使いこなし方というかファンの方々とのコミュニケーションに上手に取り入れている所がとても参考になります。
POiNTのお二人とレコチョクのweb3プロジェクトを担当する次世代ビジネス推進部の対談記事を読みましたが、ファンの方に喜んでもらいたい・楽しんでもらいたいという想いが強く伝わってきました!

ARISA:やっぱり私たちはアーティスト、アイドルとしての一番いいNFTの使い方をしていって、ファンの人に喜んでいただけるようなものを提案できたらいいなと思っています。 
MOE:ファンの方との絆を一番大切にしてきたので、テレビだと“高額で売れたNFT”とか、話題性が高いものが紹介されがちなんですが、NFTってそんなもんじゃないぞ、と言いたいです(笑)。そういうことに惑わされず、みんなが楽しく使えるようなものになったらいいなと思っています。

POiNTインタビューから抜粋

Case5 純情のアフィリア:ファン心理を捉えたソロ歌唱音源を直販ストアで限定販売

ゆるり:純情のアフィリアは、メンバー8名それぞれのソロ歌唱楽曲のNFTを所属レコード会社が運営する「MAGES. DL STORE」限定で販売していましたね。通常音源だと担当パートが振り分けられているので、NFTでしか聴けない推しのフル歌唱というのはめちゃくちゃ魅力的です!
 
担当RS:ファンにはたまらない企画ですよね!
もともと、純情のアフィリアのレコーディングはメンバーそれぞれがフル歌唱した後から担当パートを決めて1曲を完成させるというやり方をしていたということで、レコード会社発案のソロ歌唱音源と自撮りの動画コメントを見ることができる限定アイテムという企画が実現できました。
彼女たちもファンの方々に、貴重な歌声を聴いて欲しいと語っていましたよ。

カオリ:今回のソロ歌唱音源は、好きなメンバーがソロでフル歌唱している、それってもうソロ曲と同じようなことですよね。それを聴けるって純情のアフィリアとしてはすごいレアなことなんです。(中略)普段の曲の中のソロパートなどでは分かりづらいメンバーの歌声とか味とかが、今回のソロ歌唱音源でわかると思います。

純情のアフィリアインタビューより抜粋

ゆるり:ファンの方々に向けた直販ストアだからこそ、推しメンバーが歌唱している音源というコンテンツを自由に企画できるし、良さやレアさを感じてもらえるんだろうなと思いました!

おわりに

D2Fアーティストとファンのコミュニケーションという視点で、各担当に話を聞いてみましたがいかがでしたか?
 
ゆるりが学んだ「アーティストが直販ストアを活用するメリット」は、この3つです!

  1.  ファンが喜ぶような企画やストーリーが実現できる

  2.  直販だからこそ自由度が高く新しい価値を提供できる

  3.  楽しみや体験をファンと継続的に共有できる

アーティストさんもレコード会社の方も「どうしたらファンの方に喜んでもらえるだろう?楽しんでもらえるだろう?」と真摯に考えていました。
営業グループのメンバーも、これまでの音楽配信サービスに加えて、より幅広くデジタル領域で音楽ビジネスのサポートができるように最前線で向き合っていました。

レコチョクは、ファンの方々が喜んでくれること、アーティストさんがやりたい事を実現するためのお手伝いができる会社で居続けられるように、必要なソリューションの提供や企画の提案をがんばらないと!とイチ社員として気合が入りました。
 
murketやNFTを活用してできることをもっと知りたいという方は、ぜひレコチョクへご連絡ください!

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