Exsultate, jubilate 解説
1. 作曲の背景
モーツァルトが17歳の時、1773年1月16日に作曲され、翌日にはテアチノ教会で初演されました。彼がこの時期に多くの器楽曲を作曲していることからもわかるように、この作品は彼の若き才能の一部を示しています。
2. イタリア旅行と作曲の動機
1772年秋から始まったモーツァルトの第3回イタリア旅行の一環で、このモテットはミラノで作曲されました。この旅の目的は、現代でいうところの就職活動でしたが、最終的には失敗し、地元のザルツブルクに戻ることになります。この旅行中、カストラート歌手ヴェナンツィオ・ラウッツィーニのために「Exsultate, jubilate」が作曲されました。
3. 「Tu virginum」について
この部分は聖母マリアを讃えるラテン語の詩で構成されています。ラテン語で書かれていますが、イタリア風の華麗なコロラトゥーラを交えたソプラノ独唱のためのモテットであり、オーケストラ伴奏も特徴です。
4. アレルヤの意義
このモテットの最後にある「アレルヤ」は、ヘブライ語で「神を讃えよ、主を褒め称えよ」という意味があります。この部分は特に有名で、ソプラノの技巧的な歌唱が要求されます。
5. 用語解説
•モテット: 中世末期からルネサンス期にかけて発達した宗教曲。多くは葬式のために臨時で作られる単一楽曲として使用されました。
•カストラート: 声変わりを防ぐために去勢された男性歌手。当時のオペラや宗教音楽で活躍しましたが、現在では人権侵害として行われていません。
作品の特徴
1.形式と構成
•三部構成: 「Exsultate, jubilate」は典型的な三部構成を持ちます。各部分が異なる感情やムードを表現し、全体として豊かな音楽的体験を提供します。
•アレルヤのフィナーレ: 特に終曲の「アレルヤ」は輝かしく、技巧的なソプラノ独唱が印象的です。
2.音楽的スタイル
•イタリアオペラ風の要素: 当時のイタリアオペラの影響を強く受けており、華麗なコロラトゥーラや劇的な表現が見られます。
•明快な旋律: モーツァルトらしい透明感のある旋律が特徴で、聴衆に親しみやすさを感じさせます。
3.オーケストレーション
•豊かな伴奏: オーケストラ伴奏はソプラノ独唱を引き立てる役割を果たし、作品全体に一層の華やかさを加えています。
•弦楽器の活用: 弦楽器の華麗なパッセージが、作品に軽やかで祝祭的な雰囲気をもたらします。
4.宗教的内容と表現
•精神性と喜びの融合: 宗教的なテキストに基づきながらも、音楽は明るく希望に満ちています。これは、宗教音楽としては特に革新的な特徴です。
5.技術的要求
•ソプラノの技巧: 歌手には高度な技術と豊かな表現力が求められ、特にコロラトゥーラの技巧が試されます。
•演奏者間の対話: ソリストとオーケストラの間に緻密な対話があり、アンサンブルとしての一体感が重要です。
6.用語解説
・コロラトゥーラ:特にソプラノ歌手に求められる、華麗で技巧的なパッセージや装飾音を指します。この技法は、速いテンポの音階、トリル、跳躍音程など、歌手の高度なテクニックを必要とします。モーツァルトの「Exsultate, jubilate」のような作品では、コロラトゥーラが楽曲の華やかさを引き立て、聴衆に感動を与える要素となっています。
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