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声楽曲における「歌詞」の誤解とその背景



1. 歌詞の意味と誤解

一般的に「歌詞」と聞くと、ポップソングやロック、民謡などの歌詞を想像する方が多いかもしれません。しかし、クラシック音楽や声楽曲においては、「歌詞」という表現は誤解を生むことがよくあります。声楽曲では、歌う内容を作り上げるのは詩人や脚本家であり、これらの言葉は「歌詞」とは呼ばれません。また、声楽曲には「作詞家」という概念そのものが存在しません。詩や脚本が音楽の一部として捉えられるため、これらの作品は詩人や劇作家の手によって生み出されるのが一般的です。

歌詞=作詞された言葉という一般的な意味とは異なり、声楽曲においては「詩」や「脚本」として、音楽と相互作用する形で書かれるのが普通です。この点で、声楽曲における「歌詞」という表現は本来間違っていることになります。


2. 歌詞の正確な使い方

歌曲やオペラでは、詩や脚本の意味を音楽的に解釈し、それを表現することが重要です。ここでは、「歌詞=歌に合わせて言葉を並べる」というポップ音楽的なアプローチとは一線を画し、音楽にぴったり合った形での表現が求められます。

さらに、声楽曲では言葉が意味する内容が直接的であるだけでなく、音楽的な背景や演技などと密接に関連しています。そのため、原語で歌う場合、翻訳された「歌詞」が必ずしも正確にニュアンスを伝えているわけではない点にも留意が必要です。


3. 「歌詞」の誤った使い方

ポップスやロックなどでは「歌→詞」という順番が一般的で、歌詞が先にあり、メロディーに合わせて歌うという構図が多く見られます。しかし、声楽曲ではこの逆、すなわち「詩や脚本→歌」という形が取られるため、歌詞という表現は本来、声楽においては適切ではありません。

この誤った「歌詞」の使い方は、音楽的な表現の意味を深く理解せずに、文字通りに歌詞を歌ってしまうことによる誤解を招くことがあります。演技や歌唱の解釈が必要な場面では、「歌詞」そのものに執着しすぎることが、逆にパフォーマンスに制限をかけることになりかねません。


4. まとめ

声楽曲において、言葉は「歌詞」ではなく、「詩」や「脚本」として捉えるべきです。音楽と相互作用する言葉の役割を理解し、その表現を深めることで、より豊かな演奏が可能となります。また、「歌詞」という言葉が持つ意味を正しく理解し、誤解を避けることが、演奏者にとっても聴衆にとっても重要なポイントです。



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