チェスのレシピ(17) チェスでまずスコア1000点超えを目指す人のために
前回はシシリアン・ディフェンスについて軽く触れました。
しかし、白が初手e4と突いてこなかったらシシリアン・ディフェンスは採用できません。その時はどうするんだ?というのは当然の問いです。
白の初手は当然ながらe4以外にも考えられます。
ものすごく話を簡略化すると、白の初手がe4やd4以外であった場合(例えばNc3とか)、黒はセンターポーンを作る駒組みしていけば当面は間違いはありません。
そこで今回は白が初手d4と突いてきた場合について考えてみます。覚えておきたいディフェンスは下の図です。
シシリアン・ディフェンスの逆バージョンのような出だしになります。これをダッチ・ディフェンスと呼びます。ただ、チェスは将棋と違って左右非対称なので、単にシシリアン・ディフェンスの逆バージョンとは言えません(すみません)。
ダッチ・ディフェンスにもいくつかのバリエーションがありますが、数手進んだある局面が下の図です。
まだまだ序盤ですがすでに形勢は黒に傾いています。
シシリアン・ディフェンスにもダッチ・ディフェンスにも詳細な解説がウェブ上にはたくさん見つかりますので、ここでは細かい説明はしません。
しませんが、これからも黒の手番の例にはこの2つの戦術を例にすることが多くなるかと思います。その都度少しずつその利点と弱点を取り上げていくつもりです。
ダッチ・ディフェンスは守りにやや難がある点とc8のビショップの活用がどうしても遅れてしまうという弱点(駒の展開がやや遅れる)があり、使いこなすには少々訓練が必要になります。
とはいえ、この2つの黒番の戦術を使いこなせるようになれば黒の手番でも怖くなくなります。なぜなら、スコアが700〜1200点あたりのプレイヤー(白)でシシリアン・ディフェンスとダッチ・ディフェンスのどちらにも通じているプレイヤーはあまりいないからです。
そう書くとスコアを上げるための過渡期的な戦術と思われそうですが、もちろんトッププレイヤーも採用する定跡ですし、スコアがまだ低いうちからその戦術の経験を積んでおくと、相手のミスがすぐにわかるようになります(そして自分のミスも)。