折々のチェスのレシピ(525)少しだけ高度な知識をあなたに
下の局面図からはさまざまなことが読み取れます。
白はナイトをサクリファイスして強引に黒の左辺を開けにいきました。それによって黒はキャスリングができなくなりましたが、ここで白の攻めは頓挫します。
一応チェックは掛かります。ただ、黒のキングが逃げて、クイーンを交換したとしても、白は駒損がかなり痛いです(駒損をしたとしてもその代償を得られればいいのですがそれもありません)。
加えて、駒組みが悪すぎます。eファイル以外のポーンを動かしていないことからわかるように、黒は早々にマイナーピースを捨てる手のほかはほとんどクイーンに頼るだけで、実際にはなにもしていないに等しいです。
さらに白は、黒の左辺をクイーンで崩すことによって、自分がキャスリングをした方面の黒のファイルを開けてしまっており、自ら守りを弱くしています。
序盤早々に定跡を離れる力戦になった場合、棋力の差が如実に盤上に現れます。今回の例では、黒はキャスリングをしなくともキングが逃げられることを知っており、クイーンを取り合っても自分が有利なことをあらかじめ認識しています(というふうに棋譜からは見えます)。
スコア的に言えば、白よりも黒のほうが300〜400点ぐらいは高い印象です。