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折々のチェスのレシピ(213)

前回、可能な限り最短の寄せ筋でメイトしないと、相手にチャンスを残してしまうこともある、と書きました。下の局面はどうでしょうか。

無論、誰がどこから見ても黒の勝ちは確定しています。しかし、白のクイーンを上部に逃げることを許していたりしていて、黒は最短で白のキングをメイトすることができずに、いかにも寄せあぐねていることが見て取れます。

次に白から、

第2図

ナイト取りを掛けられた時、

上のように不用意に逃げたりすると、

メイトされてしまいます。最短の寄せを実現できないと、稀にこんな負け方もしてしまいますという例でしたが、もうひとつ、第2図で白がこれしかないであろうという勝負手を放っていることにも注目してください。

今はソフトやAIでチェスを研究する人も多いかと思いますが、一定程度差が開いてしまってから、劣勢な方がソフトやAIが示す最善手を指し続けてもその差が縮まることはありません(相手がミスをしない限り)。

よって、劣勢な方は第2図の白のように相手のミスを誘うような手を指さないと、普通は絶対に勝つことはありません。白は第2図に至った時点ですでに死に体なのですが、最後の希望を残すだけの駒の配置はしています。ここで第2図の手を放ち、相手が間違えなければ投了すればいいですし、今回の例のように勝ちを拾うこともあります。

将棋もチェスも逆転のゲームと言われたりしますが、こういう勝負術みたいなものも徐々に身につけていくと勝率が上がると思います。もちろん、一か八かの勝負手を指さないといけないような展開を避けられるのが理想ではありますが、追い詰められてしまうこともあるわけなので、心理戦のようなものを仕掛けられる老獪さも持ち合わせておきたいところです(今回はわかりやすいようにシンプルな例でしたが)。



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