折々のチェスのレシピ(473)少しだけ高度な知識をあなたに
白を持った時にこの形にはしたくないなという形がいくつかあります。例えば下の局面です。
ナイトを進出させてしまったのもそうなのですが、この後f4のビショップを咎められる形で黒に手を作られてしまいます。
なんとか持ち堪えられるものの、
ビショップを取られてしまい、
キング周辺が早くから寒々としてしまいます。
それに加えて、先ほどから白は受け一辺倒の手を強いられてしまっています。
この局面をAIやソフトに解析させれば白が有利と判定するでしょう。でも白は実戦感覚としてかなり指しにくいです。AI(エンジン)による研究が全盛の現在ですが、指しにくさや指しやすさはまた別問題として残っていると思います。
ちなみに、上の局面からAIが示すお互いの最善手を指し進めてみたのが以下です。
白は負けないにしてもここからきっちり受けて攻めに転じるのがいかに難儀かが見て取れるとか思います。この展開を知っていると第1図にしたくない理由がおわかりいただけるはずです。
序盤はお互いにこうしたいという形を目指すわけですが、スコアが上昇してくるとそんなに上手く思惑どおりには進まなくなってきます。そんな時、逆にこの形にはしたくないというパターンをいくつか憶えておくと、次善策としての手を指していくことが可能になります。