折々のチェスのレシピ(381)少しだけ高度な知識をあなたに
いつもこまごまとした局面やら手筋やらばかりなので、たまには趣向を変えてみます。黒がほぼ間違いなく指して気持ちよく勝った一局です。気持ちよくと言っても急戦を仕掛けて相手が間違って勝ったという流れではなく、それなりの手数をかけてほぼ理想的な駒組みを構築し勝った対局です。これができるとたしかに本当に気持ちがいいと思います。
途中、疑問手がないわけではありませんが、受けの手は最低限で済ませ、あとはどう相手を寄せるかというプランが明確です。
上は途中の局面です。自分(黒)が相手を寄せるのに必要なファイルだけオープンになっており、他のファイルは相手の駒が進出できない形になっています。黒は今ビショップをひとつ上げてルークを下段で動かせるようにしました。これでもうメイトまで大体見える段階になりました。
その前に、
やることがなくなって白がヤケクソで黒のキング周りをこじ開けにきています。これはポーンで取ってしまえばいいだけの話ですが、黒としてはそんなことに構わずにf5と手を作っていっています。AIの解析ではその手で優勢だった形勢が互角に戻ってしまうのですが、おそらく黒としては「まあ、この相手なら負けないな」という感覚があって、強気強気で押していったのだと思われます。
ここでビショップを取らない以外、黒はほぼお手本のような指し回しをしていますので全体と流れと黒の狙いを含めて参考になると思います。「チェスのレシピ」を書いている人は他人の対局を見るのが好きで、こうして参考になる対局はないかといつも探しています。自分の対局を振り返ることはもちろん重要なのですが、それだけだとある程度のパターンにはまってしまい、その枠組みから外を見れなくなってしまいます。時間があれば人の対局を観察することもおすすめします。
せっかくなので別の意味で面白い対局をひとつ。
白が強引な仕掛け(Bxf7)をして行ってさてどちらが先に潰れるかみたいな一局です。途中お互いに騙し合いのような手もあって人間らしい対局と言えるかもしれません。chess.comで1700点台同士のプレイヤーの実戦例です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?