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折々のチェスのレシピ(459)少しだけ高度な知識をあなたに
終盤に入った局面です。
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駒の損得もなく一見したところでは優劣不明ですが、もはや相手陣を突破することが難しい白に勝ちはないとわかります。駒の損得がない以上、彼我の差の要因は駒組みでしかありません。
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局面を戻してみると、序盤に白はこんな手を指していました。f6のナイトが邪魔なのでどかしに行こうとしているようです。気持ちはわかります。わかりますが、黒のナイトはe8に逃げられます。
低い陣形を組んできた黒に対して白は攻撃の糸口が見つからずに焦っているのが伺えます。次に黒からNd4とされたらどうするつもりなのか、あるいは活用が遅れているナイトをどう使うつもりなのか、おそらくまったく念頭にないようです。
焦っても相手の陣形は崩れません。そういう時は自分も堅い陣形を目指すなり、駒を活用しやすくするなり、やることはいくつもちゃんとあります。序盤で一手ミスをすると中盤以降何倍にもなって返ってくるという好例になってしまっています。