折々のチェスのレシピ(472)少しだけ高度な知識をあなたに
白はできれば勝ちを拾いたい手番です。なぜなら先手だからです。
それを念頭に以下の局面を見てください。
見てのとおり形勢は互角です。ただ、せっかくの先手であるにもかかわらず、白には黒をメイトする手段がほとんどなさそうです。これ以降、白は間違わなければ負けはないかもしれません。でもそれでは白は寂しいです。
勝ちを拾いたい白は、マイナーピース(ナイトとビショップ)をできれば終盤(メイトが見えるような局面)まで残したいところです。そうでないと上の局面のようにほぼドローに持ち込まれてしまいます。
序中盤でマイナーピースを捌き合うのは、どちらかというとドローで構わない黒の戦術です。もちろん、自分(白)がよくなるのであれば取り合ってもいいのですが、そうでない場合は勝ちがなかなか見えない展開になりやすいです。
なるべくマイナーピースを残したい白と、そうはさせない黒の駆け引きになります。いつもいつもうまくいくわけではありませんが、先手番(白)の時はできるだけ駒を残すというのは、チェスのひとつの定跡です。