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折々のチェスのレシピ(384)少しだけ高度な知識をあなたに

白で初手e4とした場合、黒がシシリアン・ディフェンスを採用してくることはよくあります。

第1図

チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」では後手番(黒)でシシリアン・ディフェンスの変則バージョンを何度もご紹介しました。それというのも、白の対応が難しいからです。

今回はそのどこが難しいのかを白の目線から検討してみたいと思います。まず検討しないといけないのはギャンビットです。

これを取らないと黒は形勢をかなり損ねますので普通は取ってきます。

問題はここからです。古典的な手筋はこのポーンをクイーンで取るものですが、そうすると黒はNc6としてきます。白はクイーンをd3などに逃さなくてはいけません。この手損的一手を後々うまく回復することが難しいです。

例えば、少し進むと、

このような進行が考えられます。先手の白としては最低でもややリードで中盤を迎えたいところですが、逆にここから黒がリードする展開になりやすいです。つまりこれは、Qxd4では中盤までに白がリードを奪えない可能性が高いことを意味します

すると、

Nf3で相手に手を渡すことは可能です。しかしながら、

この後に黒からe5を見せられており、対応が簡単ではありません。では、

これはどうでしょうか? 当然黒はこのポーンを捌いてきます。白はクイーンが効いているdファイルのポーンを失った代償を求めることができなくなっています。

この何手かを検討しただけではまだわからないじゃないかと言われるかもしれませんが、「チェスのレシピ」を書いている人はこの何手かでもうシシリアン・ディフェンスに対してギャンビットをやる気がなくなります。

では白は第1図でどうすればいいかは、Nc3かNf3が有力なことはすでにご紹介しています。

シシリアン・ディフェンスに対してギャンビットを敢行し、うまく行った例がありましたので参考までにご紹介しておきます。

かなり黒のミスに助けられていることがわかるかと思います。


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