折々のチェスのレシピ(231)
序盤の早い段階でクイーンを取り合った対局です。
クイーンがいないと指しにくさを感じる人も多いかもしれません。しかし、クイーンがお互いにいないと、メイトされにくい(これもお互いに)という利点もあります。ただし、一気に相手をメイトに持っていく手筋もなくなります。
つまり、クイーンを交換しあった後の展開は、基本的には少しずつ形勢をよくする手しかありません(これも、そこまでの駒組み次第ですが)。
では、駒の損得のない上の局面を検討してみてください。ここから相手を寄せていくのはお互いにかなり難儀です。本当に少しずつしかよくしていくしかない局面です。しかし、黒にはちょっといい手があります。
これで白のビショップの動きに制約を加えることができています。見て明らかなように、白のビショップはどこに動かしてもポイントを稼げるようなマスがなく、動かすことによってかえってまずいことになります。
これをされると白は手待ちの手を選ぶか、あるいはポーンを動かすかなどの選択肢しかなくなり、どれも黒を利する手になってしまいます。
クイーンを取り合った後の展開に限りませんが、駒を動かすと相手が不利になる(少なくとも有利にならない)という局面を作って手を渡すというのも重要な戦術のひとつです。
これで黒の勝ちが確定したわけではありませんが、少なくともやや優勢な局面を作ることには成功しました。
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