折々のチェスのレシピ(454)少しだけ高度な知識をあなたに
黒が攻めと受けをバランスよく組み合わせて優勢な駒組みをしている対局です。参考になると思います。
白の最大のミスは、
この局面でキャスリングをしたことにあります。クイーンサイドにキャスリングをしたがゆえに失敗だったと思われるかもしれませんが、どちらにキャスリングをしてもかなり形勢を損ねます。
まだお互いにマイナーピースがすべて盤上に残っており、どちらにキャスリングをしても相手にターゲットを絞った明確な攻め方を許してしまうことになります。そもそも、白のキングの上部や周辺には自身を守る駒が豊富にあり、急いでキャスリングをする差し迫った必要はありません。
それよりも、自陣に迫ったポーン(cファイル)を消してしまわないとリスクを抱えたままになってしまいます。よって、ここはキャスリングをするのではなく、b3として捌いておかないとまずいです。
キャスリングが敗着になる例でした。
何気なくやってしまいがちなキャスリングですが、この例のように敗着となることも多々あります。本来キングを守るために実行するキャスリングなのにその逆のことが起こるのは不思議ですが、そういう例はどの序盤戦術であっても中盤のある局面であっても存在しています。キャスリングについて書こうとすると一冊の(それも分厚い)本になると思います。それぐらいキャスリングというのは神経を使う一手です。少しだけ以前にキャスリングについてまとめてありますのでよかったらお読みください。「キャスリング孝」
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