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折々のチェスのレシピ(465)少しだけ高度な知識をあなたに

序盤のミスは後で何倍にもなって跳ね返ってくると以前書きましたが、そんな例のひとつです。

第1図

誰もが指してしまいそうな手です。しかし、

この手に対する対応が簡単そうでそう簡単でもありません。単純にビショップに紐を付ければいいのでは?と考えるかもしれませんが、

やはり逃げることになるのに加えて、キャスリングをするかもしれないキングサイドが開いてしまい、なおかつ黒は中央を厚くすることが可能です。ということで最初からビショップを逃げますが、

この場合、

後々d4の地点が白の瑕になりそうなため、黒はビショップをg7に展開する準備をしてくるでしょう。

また、

ここに引いた時には、

堅実に手を進めてくるはずです。

では、

この場合はどうでしょうか。

同じように手を作ってくるはずです(c1に引くのはただの手損なので検討していません)。

白の第1図の手の何がいけないかと言えば、どのパターンであっても一手損をしている点です。せっかく先手なのに早くもその優位をここで手放してしまっていることになります。さらに、ビショップをどこに引いても黒のナイトを咎める手が当面ないこともネックです。

交換を促すことは可能ですが、交換したところで白がよくなるわけではありません。ということで、白の三手目は黒にうまく咎められた場合、後で必ず後悔する手です。

「序盤が強い=チェスが強い」という等式は必ずしも成り立たないかもしれませんが、序盤で緩手を指しているうちはどこかで壁(それ以上スコアが上がらない)に当たってしまうと思います。


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