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折々のチェスのレシピ(496)少しだけ高度な知識をあなたに

前回、ダニッシュ・ギャンビットに対する応対を知らないプレイヤーが高段者でも多いと書きました。

その例をご覧ください。

多くの人は薄々でもお気づきかもしれませんが、ここのところダニッシュ・ギャンビットの例をよく引き合いに出しています。それはたまたまではなく、ダニッシュ・ギャンビットに対する黒の対応を見るとそのプレイヤーの棋力がわかりやすいからです。

ネットで対局する場合、初手合いが多くなります。相手のことをまったく知らないで対局が始まるわけで、どうしても手探りで指していくことを強いられます。でも、ダニッシュ・ギャンビットを採用すると相手の序盤の知識が二手目か三手目でおおよそわかったりします。

上の例では白がはっきりと指しやすくなっています。こういうプレイヤーの時には「またどこかで間違う」可能性が高いため、ここぞという時には少々無理筋でも突っ込んでいくようなこともできるかもしれませんし、間違えやすい局面に誘導するといったことも有効でしょう。

逆に序盤から中盤の入り口あたりまできっちりと指してくるプレイヤーの場合には、こちらも警戒しながら持久戦も視野に入れて指していくことになります。とはいえ、ダニッシュ・ギャンビットは持久戦にはなりにくい戦型ですが。

どの序盤定跡でも相手の知識を試すことはできますが、ダニッシュ・ギャンビットの場合は黒が緩手や悪手を指すとすぐに形勢が白に大きく振れるという特徴があったり、dファイルのポーンの使い方に黒は悩まされたり、白からすれば急戦を仕掛ける筋があったり、さらにはダニッシュ・ギャンビット自体を知らないプレイヤーも多かったりと、何かと短い時間の対局(早指し)では白が指せる戦術のように感じられます。もちろん他の序盤定跡同様ダニッシュ・ギャンビットにも固有の瑕があります。


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