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「新・チェスのレシピ」(予告編)

「チェスのレシピ」も140回を超えました。10回ぐらい書いて読む人が少なかったらやめるつもりでいました。ところが、チェス人口が少ない日本にもかかわらず、意外なことに毎回多くの人に読んでいただいています。

中には、スコアが900台だったのに今では1200ぐらいまで上がったという人もいます。「チェスのレシピ」を読むだけではそんなに棋力はアップしないはずなので、ご自分で相当努力・研究されたはずです。

「チェスのレシピ」をこのまま続けてもいいのですが、もう少し噛みごたえのある内容がいいという人もちらほら出てきたことから、「新・チェスのレシピ」のような名前にして、1300〜1500までスコアアップが狙える内容にしようかと考えています。

「チェスのレシピ」はあと10回ほどは続きます。お付き合いいただければ幸いです。

「新・チェスのレシピ」では、序盤からすでに終局を見据えた指し回しや、それに必要なやや抽象的な考え方、ふたつ以上のコンビネーション(手筋)の組み合わせなど、少し高度な内容になるでしょう。

上の局面は「チェスのレシピ」を書いている人が、うん十年前に実際に指したことのある一局からです。「チェスのレシピ」を書いている人は黒です。指している時は、メイトまでは難しそうだけれども、まあまあよく指しているような気がしていました。実際にそんなに悪くはないのですが、この後、見事なサクリファイスなどを見せられて負けてしまいました。あまりにも気持ちのいい負け方だったので清々しくさえ感じました。

ただ、時間が経つとだんだん悔しさが募り、翌日からチェスの研究にのめり込みました。当時はソフトもネットもなく、棋書(主に定跡集)を片手に、マグネット式の盤駒でああでもないこうでもないと独学を繰り返していました。当時、棋書と言っても日本には入門書レベルぐらいのものしかなく、海外の書店や出版社にファクスで注文し、忘れた頃に届くという時代でした。

時は流れ、ネット対局ができるようになり、チェスを指す機会が断然増加し、すっかり冷めていたチェス熱が再燃。うん十年前に考えた定跡崩しや定跡をちょっと改良したものなど、当時の研究が案外いまでも通用することがわかってちょっと嬉しかったり、ソフトやAIの活用でまったく考えもしなかった指し回しがあることを教えられたり、そうした成果のいくつかは「チェスのレシピ」でもご紹介してきました。

なお、文中でスコアと表現してきたのはchess.comのスコアのことを指しています。もうひとつlichess.orgというサイトもありますが、こちらのスコアはchess.comよりも100〜200ほど高く出る傾向があるみたいです。利用者はchess.comが圧倒的に多いですが、lichess.orgのほうでは比較的利用者が少ないためでしょうが、同じ相手と2度、3度と当たることがあり、そのうち相手の棋風がわかってきて、それは結構楽しいことです。また、これは完全に個人的な感覚ですが、lichess.orgのほうが強い人が多いような気がしています。というのは、ある序盤定跡を採用して、相手がこうきたら数手先でミスをするような罠みたいなものを仕込んでおくことがあるのですが、lichess.orgでは引っかかる人が少ないのです。それを考えるとchess.comよりもスコアが高く出てもいいのではないかと思います。

少々話が脱線しましたが、あと10日ほどしたら「新・チェスのレシピ」(仮題)を始める予定です。引き続きお付き合い頂けたら幸いです。

下の映画、チェスをやる人なら(そうでない人でも)感動すると思います。おすすめです。


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