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折々のチェスのレシピ(209)
白は相手の受けが効かないと思われる地点を見つけたようです。
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たしかにc5の地点を守る駒を黒は足すことができません。黒はせっかく構築したポーンの壁の一部を壊されてしまうことになりそうです。ここで黒が取った手は、
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Nf6でした。白は予定どおり、Bxc5としましたが、
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実はこれ、黒の思惑どおりになってしまいます。
そもそも白は、ここまでの展開でビショップとクイーンしか使っていません(ポーンは使っていないも同然です)。ビショップとクイーンだけで攻めて行って勝てる対局はありません(相手がミスをすれば勝てるかもしれませんが)。
どんな序盤戦術を採用するにしても、その基本は同じです。つまり、なるべく早く各駒を戦力化する(前線に出していく)、なるべく早くキングの安全を図る(キャスリングをするまではセンターポーンがキングの守りになっています)。その過程で相手がミスをしたら、そこは基本を外れてもすかさず咎めていきます。
基本を無視した駒組みをすると、要は今回の白のことですが、上のような陥穽に陥る可能性が高くなります。